中国の自社設計プロセッサメーカーZhaoxin(兆芯)が、2026年4月24日から26日まで成都で開かれた「第87回中国教育装備展示会」で、自社の命令セット「ZX86」を基盤としたAI PCや教育向け端末をパートナー各社と共同で披露しました[1]。展示の中心となったのは、PC向けプロセッサ「開先(KaiXian)KX-7000」を搭載した端末群と、国産の大規模言語モデルをローカルで動かせるAI PCです[1]。海外勢に依存しない「自主算力(国産の計算基盤)」を教育現場に広げる狙いがうかがえます。

成都の教育装備展でパートナーと共同展示

会場となった成都中国西部国際博覧城では、Zhaoxinが Lenovo の開天(Kaitian)ブランドをはじめ、Seewo(希沃)、聯碩弘道、鴻合(Honghe)、iFlytek(科大訊飛)といった複数の生態系パートナーと組み、AI PC、デスクトップ端末、ノートパソコン、電子黒板型の対話パネルなど、自社プラットフォームの計算ソリューションをまとめて出展しました[1]。教育分野の情報技術を国産製品で置き換える「教育信創」を長く手がけてきた立場から、製品とソリューションの幅を一度に示す構成です[1]。

KX-7000搭載AI PCとローカルLLM対応

最も目を引いたのが、Lenovo 開天との共同テーマ「一起ZX86 AI真応用(ともにZX86でAIを実用へ)」のもとに並んだ端末群です[1]。

開天のAIミニワークステーションは、国産のdNPU(独自のニューラル処理ユニット)を採用し、Qwen3.5、Qwen3、GPT-OSSといった主要な大規模言語モデルに対応します[1]。これらをクラウドに頼らず手元の端末で動かす「ローカル実行」に対応している点が特徴で、安全性を保ちながら知的アシスタントや業務の自動化に使える構成です[1]。

一方、開天のAI PCは開先KX-7000プロセッサのプラットフォームを土台に、AI処理を高速化する専用のGPU設計を組み合わせています[1]。ローカルの大規模モデルと知識ベースを扱え、Lenovoの「天禧(Tianxi)AIエージェント」を搭載することで、外部に依存しないAI業務環境を目指すとしています[1]。

教育向けに広がるエコシステム

KX-7000は他社の展示でも姿を見せました。鴻合は、自社の対話型パネルや教材ソフトに加え、開先KX-7000プラットフォームを採用した新型のデスクトップ端末を披露し、教育情報化に向けた製品の幅を広げています[1]。

iFlytekは、Zhaoxin製プロセッサを使った「iFlytek Spark(訊飛星火)AIPC」を出展しました[1]。同社の大規模モデル「Spark」を中核に、小さなモデルを端末側で、大きなモデルをクラウド側で動かす「端末・クラウド協調」の方式を採り、統信(UnionTech)や麒麟(Kylin)といった国産OSにも対応するとしています[1]。このほかSeewoや聯碩弘道も、Zhaoxinプラットフォームのデスクトップ端末やノート、対話型の大型ディスプレイなどを展示し、電子教室やAIを使った教室といった応用例を示しました[1]。

ZX86を軸にした「全スタック国産化」

Zhaoxinがこれらの基盤に据えるのが、自社で定義・拡張した命令セット「ZX86」です[1]。x86をはじめとする主流ソフトウェアとの互換性を保ちながら、知的財産権を自社で押さえることで国産化政策の要件に応えやすくしている点を強みとして掲げています[1]。チップから完成機、ソフトウェア、応用までを一貫してそろえることで、既存の教育用ソフトや周辺機器を活かしたまま移行できる体制を整えたとしています[1]。

背景には、中国が教育分野で「数字化(デジタル化)」から「数智化(AIを取り込んだ高度化)」と「自主化(国産化)」へ進める政策があります[1]。「教育強国建設規画綱要」や「人工知能+教育」の方針のもと、自主管理が可能で安全性の高い情報技術の体系づくりが、教育産業の課題として位置づけられています[1]。

まとめ

今回の展示は、Zhaoxinが自社CPU「KX-7000」とZX86プラットフォームを軸に、ローカルでLLMを動かせるAI PCを教育市場へ広げようとしていることを示すものでした。Lenovo開天やiFlytekなどのパートナーと組み、国産OSや教育用ソフトとの組み合わせで端末からクラウドまでをまとめて提供する姿勢が鮮明です。海外製プロセッサに依存しない計算基盤を、AI時代の教育現場でどこまで実用に乗せられるかが、今後の焦点となりそうです。

出典:https://www.zhaoxin.com/news_view.aspx?nid=2&typeid=289&id=2031