中国のスマートフォンブランドTECNOが、画面の縁に黒い枠がまったく残らない「Next-Gen Bezelless Concept Phone」の実機を、ベルリンで開幕したIFA 2026に合わせて初めて一般の目に触れる形で公開しました。7月末に画像だけが先行公開されていたコンセプト機で、表示領域とフレームのあいだに通常1〜2ミリ残る黒縁を0ミリまで詰めたとTECNOは説明しています。市販時期は未定ですが、カバーガラスを2層にして画面を背面側から組み込むという、これまでのスマートフォンとは逆向きの組み立て方が特徴です。

7月の予告から1か月、ShowStoppersで実機が登場

TECNOがこのコンセプト機の存在を明かしたのは2026年7月31日です。このときは公式の画像が数点公開されただけで、iPhone 17 Proと並べてベゼルの太さを比べるカットが話題になりました。技術的な説明も「内部の積層構造の高度化、構造の再設計、新しい画面パッケージング」という簡潔なものにとどまっていました。

実機が姿を見せたのは、IFA本会期の前日にあたる9月3日夜にメッセ・ベルリンで開かれたプレス向けイベント「ShowStoppers」です。TECNOはここで、360度回転するヒンジを備えた15.6インチのタッチ対応ノートPC「MEGABOOK T15 360 Pro」や、Tonino Lamborghiniとのコラボ製品群と並べてこのコンセプト機を展示しました。IFA 2026は9月4日から8日までの開催で、TECNOにとっては2026年のMWCで披露した薄型モジュラー式コンセプトに続くお披露目になります。

黒縁が消える理由は「2層のガラス」と「逆向きの組み立て」

現在のフラッグシップ機でも、有機ELの発光領域と金属フレームのあいだには1〜2ミリの黒い帯が残ります。ここには配線や組み立ての公差、パネルを支える部材が集まっており、削り切るのが難しい部分です。TECNOはこの帯をなくすために、3つの要素を組み合わせたと説明しています。

1つ目はカバーガラスの2層化です。上側のガラスの下にもう1枚のガラスを重ね、下側のガラスをフレームの下まで張り出させることで、パネルの非表示領域や固定用の部品をフレームの内側に隠しています。2つ目は組み立て方向の反転で、通常は前面から取り付けるディスプレイモジュールを、背面カバー側から前方に向けて差し込む構造にしました。3つ目は前面側からの接着です。張り出した2層目のガラスの縁とミッドフレームのあいだに専用のホットメルト接着剤を流し込み、ガラスを前面側から固定しています。

つまり黒縁を物理的に消したというより、黒縁が見えるはずの場所をフレームの真下に移し、その上を透明なガラスで覆っているという考え方です。会場で実機を触った海外メディアの報告でも、画面の周囲に黒い線はほぼ見えない一方で、金属フレーム自体は一般的なスマートフォンより幅広く感じられると伝えられています。

手にした印象と、コンセプト機ならではの粗さ

実機の画面は6.78インチのフレキシブル有機ELで、解像度は1.5K、リフレッシュレートは144Hzです。前面カメラはパンチホール型で残っており、TECNOが謳う0ミリはあくまで外周の黒縁についての話です。このカメラ穴が画面内に残っている点を惜しむ声は複数のメディアから出ています。

使用感については、アプリやUIの要素が画面端まで広がるため、同じサイズの端末より表示が少し拡大されたように感じるという評価が目立ちます。比較対象としてよく挙がるiPhone 17 Pro Maxのベゼルは約1.36ミリで、並べると差は一目で分かるレベルです。一方で、画面下側の角にはわずかに黒い部分が残っていたという指摘もあり、斜めから覗き込むとごく薄い縁がのぞく場面もあったようです。このあたりはコンセプト機としての完成度と割り切るべきでしょう。

中身はTECNOが最近発表した薄型機「CAMON Slim」の設計と部品を流用しており、SoCはMediaTekのDimensity 7300e、バッテリーは6,000mAh、OSはAndroid 16です。背面は白地に立体的な花柄を浮かび上がらせた仕上げで、本体には機能を割り当てられる物理ボタン「One-Tap Button」も備えています。ただし、これらは0ミリベゼルの効果を見せるための土台であり、性能を競うための構成ではありません。

指を置く場所がない画面をどう扱うか

縁のない画面には、これまで気にしなくてよかった課題も生まれます。端末を握ったときに指が触れる場所がそのまま表示領域になるため、TECNOはタッチの感度とUI要素の配置を作り直したと述べています。誤タッチをどこまで抑えられているかは、短時間のハンズオンでは判断が難しい部分で、実際に日常で使ったときの評価はまだ出ていません。

TECNOはこの設計を今後のフラッグシップ機に生かすと表現しており、発売予定はないものの、実験だけで終わらせるつもりはなさそうです。ベゼルをめぐる競争は、ここ数年は1ミリ強の幅をわずかずつ削り合う段階で落ち着いていましたが、Appleも2027年の20周年モデルでベゼルのないガラス中心のデザインを準備していると報じられています。TECNOが先に「0ミリ」を実機で示したことで、次の一手を各社がどう打つのかに注目が集まりそうです。

まとめ

TECNOは、画面の外周に黒縁が残らないコンセプトスマートフォンをIFA 2026のShowStoppersで実機展示しました。2層構造のカバーガラス、背面側からディスプレイを差し込む逆向きの組み立て、前面側からのホットメルト接着という3つの要素で、通常1〜2ミリ残る黒縁をフレームの下に隠しています。画面は6.78インチの1.5K・144Hz有機ELで、中身はCAMON Slimをベースにした構成です。フレームがやや幅広に感じられる点や下側の角にわずかな黒縁が残る点は課題ですが、発売未定のコンセプト機ながら、ベゼルの「その先」を具体的に示した1台と言えます。