Valveの単体動作型VRヘッドセット「Steam Frame」が、米国連邦通信委員会(FCC)の機器認証を通過しました。認証は7月29日付で確定しており、米国で製品を販売するうえでの法的な関門が1つ外れたことになります。Valveは出荷時期を2026年の夏としか説明していないため、残された8月と9月前半に注目が集まっています。
5月に申請、7月29日に「機器認証の付与」が確定
FCCの資料によると、Valve Corporationは5月13日にSteam Frameの試験書類を提出し、7月29日に「機器認証の付与」(Grant of Equipment Authorization)を受けました。この経緯はハードウェアの事前情報で知られるBrad Lynch氏が公開しています。データベース上での扱いは型番1015のVRヘッドセットで、Wi-FiやBluetoothといった無線機能を備えるため認証の対象になりました。
注意したいのは、認証が下りても中身の情報がすぐには出てこない点です。取扱説明書や内部・外部の写真といった添付書類には秘匿の要求が出されており、公開は11月10日まで伏せられます。つまり今回わかったのは「売れる状態になった」という事実だけで、価格や発売日を読み解く材料はFCC側からは出てきません。
同じ道を通ったSteam MachineとSteam Controller
認証の通過を発売間近のサインと受け取りたくなりますが、Valveの直近2製品を並べると話はそう単純ではありません。
| 製品 | FCC認証 | 出荷開始 | 間隔 |
|---|---|---|---|
| Steam Controller | 2025年11月24日 | 2026年5月4日 | 約5カ月半 |
| Steam Machine | 2025年12月31日 | 2026年6月29日 | 約6カ月 |
| Steam Frame | 2026年7月29日 | 未定 | ― |
どちらも認証から出荷までに半年近くかかっています。同じ間隔をあてはめると年明けになってしまうため、Steam Frameは過去2製品よりかなり短い助走で市場に出る必要があるという計算です。逆に言えば、認証がここまで遅れたこと自体が、夏の出荷という約束に対してかなりぎりぎりの日程であることを示しています。
Snapdragonの値上げという新しい不確定要素
もう1つ気になるのが部品コストです。Bloombergの報道では、Qualcommがチップの価格を2桁パーセントの幅で引き上げる方針とされています。Steam FrameはSnapdragon 8 Gen 3を搭載しているため、この動きは製造原価にそのまま響きます。
Valveのミニデスクトップ機であるSteam Machineは、メモリ価格の高騰が発売時期に影響しました。Steam FrameもLPDDR5Xと内蔵ストレージを積む構成ですので、同じ問題を抱えています。Valveは価格をまだ一切公表していませんが、部材の確保が思うように進んでいなければ、発売の段取りを組み替えている可能性もあります。
発売準備を示す痕跡は積み上がっている
一方で、水面下の準備が進んでいる形跡は複数あります。米国のValveの倉庫にはVRヘッドセットとみられる大型の入荷が繰り返し届いており、Steamのストアには「Great on Steam Frame」というカテゴリーが追加されました。初回起動時の案内にあたるWelcome Tourがバックエンドに置かれ、専用ワイヤレスアダプターのドライバーは「Released」の扱いに変わっています。個別のゲームにSteam Frame Verifiedの表示が付く動きも続いています。
Steam Frameそのものは2025年11月12日に発表済みで、主要な仕様は判明しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| SoC | Snapdragon 8 Gen 3 |
| メモリ | 16GB LPDDR5X |
| ディスプレイ | 片目あたり2160×2160のLCD |
| リフレッシュレート | 最大144Hz(実験的) |
| 視野角 | 最大110度 |
| レンズ | パンケーキレンズ |
| ストレージ | 256GBまたは1TB、microSDで拡張可 |
| 重量 | コア部185g、フル装備で440g |
| OS | SteamOS |
単体でVRタイトルを動かせるほか、VR非対応のSteamのゲームも仮想の大画面で遊べる設計です。専用のワイヤレスアダプターを使えば、視線の向きに応じて描画の精度を割り振る方式でPCからの映像を低遅延で受け取れます。
残っている空白は価格だけと言ってよい状態で、その1点が最後まで伏せられているところにValveらしさが出ています。
まとめ
Steam FrameがFCCの機器認証を7月29日に通過し、米国で販売できる状態になりました。ただし添付書類は11月10日まで非公開で、価格も発売日も未定です。Steam MachineとSteam Controllerは認証から出荷までに半年近くを要しており、夏の出荷を守るなら例外的に短い助走になります。Qualcommの値上げという逆風もあり、8月から9月前半のValveの動きが最大の見どころです。
