ASUSのゲーミングブランドROGが、リフレッシュレート720Hzの24.5型OLEDモニター「ROG Swift OLED PG259QWS Ace」を発表しました。ドイツで開催中のGamescom 2026に合わせた発表で、同社はこれを現時点で世界最速のOLEDモニターと位置付けています。価格は1,099ドル(約17万5,000円)、出荷は2026年第4四半期の初めを予定しています。

※1米ドル=159円換算(2026年8月26日時点)

720Hzが実際に短くするもの

720Hzは、1フレームあたりの表示間隔が約1.4ミリ秒という計算になります。240Hzの約4.2ミリ秒、360Hzの約2.8ミリ秒と並べると、削られているのは「次の絵が出てくるまでの待ち時間」です。撃ち合いの最中に相手が物陰から出てくる瞬間を、画面がどれだけ早く知らせてくれるかという部分に効いてきます。

もっとも、リフレッシュレートだけを上げても画素の切り替わりが遅ければ残像が残ります。PG259QWS Aceが積むのはTrueBlack Glossy仕様のタンデムWOLEDパネルで、応答速度は0.02ミリ秒。解像度は1920×1080で、ピーク輝度は1,700ニトに達します。有機ELらしい沈み込んだ黒はそのままに、大会会場の強い照明下でも輪郭が甘くならない見え方を狙った構成です。

色まわりも競技用としては手厚く、DCI-P3カバー率99.5パーセント、真の10ビット表示、色差Delta E 2未満をうたっています。競技シーンで24.5型という小ぶりなサイズが選ばれ続けているのは、視線を動かさずに画面全体を把握できるからで、720Hzという数字は派手でも、製品としての狙いはかなり実務的な方向に振られています。

4機種に広がったROG Esports OLEDシリーズ

Gamescomで新たに公開されたのは、720HzのPG259QWS Ace、560HzのRGB QD-OLEDパネルを積む「ROG Strix OLED XG259QDPG Ace」、そして360Hzの「ROG Strix OLED XG259QDNS Ace」の3機種です。Computex 2026で先に公開された540Hzの「ROG Strix OLED XG259QWPG Ace」を加えると、24.5型で統一されたシリーズは4機種構成になりました。

型番 パネル リフレッシュレート 応答速度 輝度
ROG Swift OLED PG259QWS Ace TrueBlack Glossy タンデムWOLED 720Hz 0.02ms 1,700ニト
ROG Strix OLED XG259QWPG Ace TrueBlack Glossy タンデムWOLED 540Hz 0.02ms 1,700ニト
ROG Strix OLED XG259QDPG Ace RGB QD-OLED(アンチグレア+BlackShieldフィルム) 560Hz 0.03ms 1,800ニト
ROG Strix OLED XG259QDNS Ace RGB QD-OLED(アンチグレア+BlackShieldフィルム) 360Hz 0.03ms 1,800ニト

QD-OLED側の2機種に入っているBlackShieldフィルムと低反射コーティングについて、ASUSは体感上の黒の締まりが最大40パーセント向上し、パネル表面の硬度も2.5倍になると説明しています。映り込みを嫌う環境で有機ELを使う際の弱点に手を入れた形です。接続端子は、XG259QDPG AceがDisplayPort 1.4(DSC)1系統とHDMI 2.1が2系統、USB 3.2 Gen 2 Type-Aが3系統。XG259QDNS AceはDisplayPort 1.4(DSC)とHDMI 2.1という構成になります。

設定を数値で持ち歩けるようにする

Aceシリーズで面白いのは、パネルよりもむしろスタンドまわりの作り込みです。全機種で、チルト(-5度から+33度)、スイベル(±45度)、高さ調整(0から155mm)に目盛りが刻まれています。自分にとって最適な角度と高さを数値として覚えておけば、別の会場、別の個体でも同じ姿勢を再現できるという発想です。

最上位のPG259QWS Aceでは、これがさらに一歩進みます。内蔵センサーが傾き、高さ、スイベル角を測定して画面上に表示するPosition Sensorを備え、メジャーを当てずに数字を合わせるだけでいつもの環境に戻せます。加えて、ASUS DisplayWidget Centerを使ったPro Setting to Shareで、画質設定を書き出して別の個体に取り込んだり、他の選手と共有したりできます。QD-OLEDとWOLEDというパネル方式の違いをまたいでも見え方を揃えられる点が、シリーズを4機種に広げたことと噛み合っています。

このほか、試合前に主要な設定だけを素早く触れるQuick OSDメニューと、FPSの状況に応じて3種類のプリセットを切り替えるEsports Colorモードが全機種共通です。ROGはPGLや世界トップクラスのプロ選手から開発中に直接フィードバックを集めたとしており、スタンドの目盛りからPosition Sensorまで、機能の並びを見るかぎり誇張ではなさそうです。

焼き付き対策は保証で裏書き

もう1つ地味ながら効いてきそうなのが、電源設計に窒化ガリウム電界効果トランジスタ(GaNFET)を採用した点です。狙いは省電力そのものよりも発熱の抑制で、パネルにかかる熱ストレスを減らしてOLEDの寿命を延ばすことに置かれています。人の接近を検知するNeo Proximityセンサーと組み合わせたOLED Care Proとして提供され、PG259QWS Aceには3年間の焼き付き保証が付きます。

有機ELモニターの購入をためらう理由の上位には、いまだに焼き付きと経年劣化が並びます。高リフレッシュレートのパネルは駆動条件も厳しくなりがちなので、熱の逃がし方に手を入れ、そのうえで保証年数を明示したのは理にかなった順序です。

初のOLED開催となるCS2 Major

PG259QWS Aceは、2026年11月24日から12月13日にかけて開催されるPGL CS2 Major Singapore 2026の公式モニターに採用されます。東南アジアで初開催となるCounter-Strikeのメジャー大会であり、メインステージに有機ELモニターが並ぶ最初のMajorにもなります。

PGLのCEOであるSilviu Stroie氏は、この規模の大会にふさわしい表示装置をROGが用意したとコメントしています。ASUSでディスプレイ事業を統括するVincent Chiou氏も、競技Counter-Strikeが有機ELへ移る瞬間だと表現しました。競技用モニターは大会での採用実績がそのまま信頼性の証明として扱われる世界で、ROGは今回のGamescomでブランド20周年も打ち出しています。

価格が公表されているのは2機種で、PG259QWS Aceが1,099ドル、Computexで先行公開されたXG259QWPG Aceが699ドル(約11万円)です。いずれも2026年第4四半期の初めに市場へ出る予定で、日本での取り扱いや国内価格は現時点で明らかにされていません。

まとめ

720Hzという数字が先に立つ発表ですが、中身を見ると、応答速度0.02ミリ秒のタンデムWOLEDパネル、設定を数値で再現できるPosition Sensor、熱を抑えて3年保証で裏書きしたOLED Care Proと、競技用途に必要な要素を順番に埋めた製品に見えます。1,099ドルという価格は24.5型としては明らかに高価ですが、初のOLED開催となるMajorの公式モニターという肩書き込みで評価される種類の製品です。国内での価格と発売時期がどう出てくるかが、次の見どころになります。

参考リンク