OpenAIが9月3日、ゲーム開発会社Playcoの導入事例を公開しました。同社は最新モデルGPT-6 Astraを使い、1つのグレーボックス試作からテーマの異なる3本のプロトタイプを一度に作り上げたと説明しています。人手による修正の回数は従来モデル利用時と比べて50パーセント減ったとのことです[1]。
1つの土台から、3本のテーマ別プロトタイプ
Playcoが今回試したのは、ゲームの骨格だけを作る工程からの積み上げです。まず単純な図形だけで、見た目を作り込まないグレーボックスの試作を用意します。そこにゲームプレイと演出の調整を何度か加えて土台を固め、その共通の土台からテーマの異なる3本のプロトタイプへ展開しました。Playcoによれば、GPT-6 Astraはこの3本を一度の実行で出力したとしています[1]。
しかも大半は最初の出力のまま動いたそうです。リードプロダクトエンジニアのJoao Vieira氏は、最初のプロトタイプの時点で既に完成度が高く、あとから加えた変更はゲームプレイの好みによるものだけだったと述べています。サイバーパンク調の1本だけは処理速度の修正が必要だったものの、残りは追加の作り直しなしにまとまったということです[1]。
手直しが半減した背景
前世代のモデルでは、最初に出てくるグレーボックスの完成度がそこまで高くありませんでした。そのうえ、修正を促すプロンプトを重ねてもかえって状況が悪くなる場面があり、最後はエンジニアが自分の手で直すしかなかったといいます。この工程が減った結果として、手作業による修正が50パーセント少なくなったという数字が出ています[1]。
Playcoが改善を感じた点として挙げているのは、空間の把握、参考画像の再現、Unity内での応答性の高いUI、そして操作感の作り込みです。Vieira氏は、GPT-6 Astraは空間について考え、要素を筋の通った位置に置くことがかなり得意になっており、画像を扱う能力も向上したように見えると語っています[1]。GPT-6 Astraは、OpenAIが9月3日に広く展開を始めた最新モデルにあたります[2]。
エンジンの中で動くことが前提のIDE
事例の土台になっているのは、Playcoが開発中のPlaybotというツールです。プロのゲーム開発者向けのAI搭載IDEで、UnityやGodotといったゲームエンジンに直接つながります。モデルがシーンを編集し、ゲームを実際に遊んでテストし、変更が成立しているかを検証し、開発者が普段使っている環境の中で並行して作業できる構成になっています[1]。
ゲーム開発でAIに求められることは、コードを書くことだけにとどまりません。空間や視覚的な参照、応答性のあるインターフェース、遊んだときの手触り、そして加えた変更が実際にプレイして機能するのかまで見る必要があります。Playbotはモデルにエンジンの中で作らせ、テストを走らせ、バグを見つけ、自分が作ったものを改善させることでそこに対応しようとしています[1]。
モデルが自分で遊んで変更を検証できる仕組みがあるため、Astraはバグをより簡単に見つけ、プレイ体験を良くできる箇所も指摘したとPlaycoは報告しています[1]。
数を作って比べられることの価値
Playcoが最も大きい変化として挙げているのは、速度そのものよりも、思いついた案を実際に遊べる形にして比べられる点です。Vieira氏は、ゲームの案が10個あるなら10個とも作って実際に遊び、頭の中で想像するのではなく手触りを確かめられると表現しています[1]。
試作の段階で捨てる案を早く見極められるかどうかは、ゲーム開発では品質に直結する部分です。今回の事例は、AIが企画そのものを肩代わりするというより、比較検討のための材料を短時間で並べる役割で使われていると読めます。なお公開された数値はPlayco1社の報告であり、他社の開発体制や作るゲームのジャンルによって結果が変わる可能性は残ります。
まとめ
Playcoの事例は、GPT-6 Astraが空間の把握やUIの作り込みで前世代より扱いやすくなり、その結果として手作業の修正が50パーセント減ったという内容でした。Playbotのようにエンジンの内側でモデルを動かし、生成したものを実際に遊んで検証させる作り方が、ゲーム開発でのAI活用の形として現実的な線になってきています。
出典:https://openai.com/index/playco-game-prototyping-with-astra
