AI回答エンジンを展開するPerplexity AIとハーバード大学の研究者が、AIエージェントの実利用実態を解析した大規模な共同研究を公開しました[1]。匿名化された数億件のインタラクションを分析した結果、利用の57%が「認知タスク」に分類され、AIエージェントが単なる雑務代行ではなく、ユーザーの思考を支援するパートナーとして定着しつつある様子が浮かび上がっています[1][2]。

CometとComet Assistantの数億件データを統計分析

今回公開された研究は、Perplexityが提供するAIブラウザ「Comet」と「Comet Assistant」のユーザーによる、匿名化された数億件のインタラクションを統計的に分析したものです[1][2]。研究チームは、AIエージェントを「誰が」「どれほど深く」「どのようなタスクに」使っているのかという3点に焦点を当てたとしています[1]。

分析対象のデータはすべて匿名化処理されており、個人が特定される情報は含まれていないとPerplexityは説明しています[1]。研究の全文は、Perplexity公式ブログ「How People Use AI Agents」で公開されています[2]。

利用の57%は「認知タスク」、内訳は生産性36%と学習21%

研究のなかでも特に注目される数値は、全利用の57%が認知タスク(cognitive work)に分類されたという結果です[1]。内訳は以下の通りです[1]。

  • 生産性・ワークフロー向上に関する用途: 36%
  • 学習・リサーチ支援に関する用途: 21%

Perplexityはこれらを「人間の能力を拡張するタイプのタスク」と位置づけており、ホテル予約や雑務処理のような「デジタルコンシェルジュ」的な使い方とは異なる利用層が広がっていると説明しています[1]。具体例としては、調達担当者が事例分析の下調べをAIに任せたり、学生が講義内容の理解のためにAIに要点整理を頼んだり、金融担当者が株式情報の整理・分析に活用したりするケースが挙げられています[1]。

いずれの場合も、AIエージェントは情報収集と初期的な要約・整理を自律的に担い、最終判断は人間が下す構図になっている点が共通しているとPerplexityは指摘しています[1]。

「娯楽から実用へ」、初期PC普及との重なり

利用行動の経時変化にも明確な傾向が表れています。Perplexityによると、新規ユーザーは旅行の計画や雑学といった低リスクの質問から使い始める傾向が強い一方で、コードのデバッグやビジネスレポートの要約のような高度なタスクに一度活用すると、その後は生産性や学習領域での利用が継続的に増えていくことが行動データから確認されたといいます[1]。

Perplexityはこの過程を、初期のパソコンが「趣味の機械」から「業務インフラ」へと進化していった歴史になぞらえ、AIエージェントも同じ経路をたどって実用ツールとして定着しつつあると分析しています[1]。

6職種で全体の70%、職種ごとの使い方も鮮明に

ユーザー側の特徴として、「導入率」よりも「日常的な活用の深さ」に注目すべきだという点も研究は強調しています[1]。実利用の深さで見ると、現在6つの主要職種が全体利用の70%を占めているとされ、特にマーケティング、営業、マネジメント、起業家といった層が、AIエージェントを日々のワークフローに組み込んでいる傾向が顕著だと報告されています[1]。

業界ごとの使われ方にも違いが出ています[1]。

  • 金融職: 利用の47%が生産性タスク
  • 学生: 利用の43%が学習・リサーチ
  • デザイナーやホスピタリティ業界: 業界固有のタスクが中心

また、個人的な用途が全クエリの半数以上を占めているとも報告されており、Perplexityは「Comet Assistantが文脈ごとに姿を変える汎用アシスタント」として機能していると評価しています[1]。

Perplexityが提示する「ハイブリッド・インテリジェンス経済」

Perplexityは今回の研究について、AIエージェントが人間の認知労働を拡張する「ハイブリッド・インテリジェンス経済」への移行を裏付ける、最初の実証的な証拠と位置付けています[1]。認知タスクが主流である事実は、AIが人間の業務を代替するのではなく、より高度な判断や創造的作業を支える役割へシフトしていることの表れだと結論づけています[1]。

なお、Perplexityは2022年にOpenAI、Meta、Quora、Bing、Databricks出身の技術者によって創業されたAI検索エンジン企業で、現在は毎週2億件以上の質問に回答しているとしています[1]。リアルタイムで信頼できる情報源から回答を取得し、出典付きで返答する会話型AI検索エンジンを主力サービスとしている企業です[1]。

まとめ

Perplexityとハーバード大学が公開した今回の研究は、AIエージェントが「執事」から「思考のパートナー」へと役割を変えつつある現状を、数億件規模の実データで裏付けるものとなりました。利用の57%が認知タスクで、6職種が全体利用の70%を占めるという数字は、AIエージェントが業務インフラとして定着する段階に入りつつあることを示しています。今後は、AIが常に関与することを前提とした働き方や学び方に、社会全体がどれだけ早く適応できるかが論点になりそうです。

出典:[1] https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000018.000157647.html

出典:[2] https://www.perplexity.ai/ja/hub/blog/how-people-use-ai-agents