JMGOが、家庭用プロジェクターの新シリーズ「IRIS」をIFA 2026に合わせてグローバル市場へ投入します。上位機の「IRIS Ultra Max」は4K解像度と120Hzのリフレッシュレートを同時に成立させたと説明されており、明るさは最大6,500 ISOルーメン。予約受付は9月4日に始まり、出荷は10月19日からの予定です。中国では2026年5月に先行投入され、最初の3か月で5,000台超を販売したとされています。

4Kと120Hzを両立させるという主張

プロジェクターの世界では、4K表示とリフレッシュレートの高さがなかなか噛み合いませんでした。一般的な機種は4K入力を受けると60Hzで止まってしまい、ゲーム機やPCが120フレーム毎秒を出力できても、そこで頭を打ちます。IRISシリーズはこの制約を外し、入力から投写までを4K120Hzで通すことをうたっています。

そのために使われているのが、DLPコントローラーを2基使うデュアルDLPC構成と、毎秒480回動作する「HyperPulse Actuator」と呼ばれる駆動部です。DLP方式のプロジェクターは微小なミラーを高速に動かして画素を作りますが、120Hzの信号を受けたときに解像度を落として処理量をごまかす製品も珍しくありません。JMGOはこの駆動速度によって、4Kの情報量を維持したまま120Hzを出せると説明しています。

ゲーム向けの機能もひととおり揃っています。フレームレートの変動に投写側を追従させて画面の裂けを抑えるVRR(可変リフレッシュレート)と、対応機器を接続すると自動で低遅延モードへ切り替わるALLMに対応。加えてIRIS Ultra Maxは、4K120HzのままDolby Vision HDRを扱える最初のプロジェクターだとしています。HDRの明暗と色の情報を保ったまま60Hzに落ちない、というのがJMGO側の言い分です。

映画やスポーツ向けには、4K120HzのMEMC処理も載ります。フレーム間を推定して中間フレームを差し込む技術で、パンやボールの動きは見やすくなる一方、映画に独特の質感を求める人にとっては、いわゆる滑らかすぎる映像になりがちです。効き具合をどこまで調整できるかは、実機を触って確かめたい部分です。

明るさとコントラスト、そして絞りの作り込み

光源はJMGOの3色レーザーエンジン「MALC 6.0」です。IRIS Ultra Maxは最大6,500 ISOルーメンとネイティブコントラスト10,000対1、下位のIRIS Ultraは4,500 ISOルーメンと7,000対1という数字が公表されています。ISOルーメンは測定条件を揃えた明るさの単位で、遮光を前提としない部屋で使うプロジェクターとしては強めの数値です。

面白いのは絞りの設計です。両機は15枚羽根の「6+9」構成というデュアルアイリスを備え、従来の12枚羽根「6+6」構成に比べて迷光の抑制が11.34パーセント改善したとしています。迷光は本来暗くあるべき部分に回り込む余分な光で、これが多いと黒が灰色に浮きます。絞りは6段階で調整でき、部屋の明るさや見るものに応じて明るさとコントラストの配分を変えられる構造です。

色域はBT.2020比110パーセント、色差はおおむねDelta E 0.7とされています。Delta Eは色のずれを表す指標で、1を下回れば管理された環境ではほぼ見分けがつかない水準です。ただし、この精度が普段使いの明るさモードでも保たれるかは別の話で、そこは実測待ちになります。

DLP方式で気になるレインボー現象については、ハードウェア側で抑える「Anti-RBE」処理が入りました。明るい被写体の周りや視線を素早く動かしたときに赤緑青の残像が見える現象で、まったく気にならない人と一度気づくと見え続ける人に分かれます。ファンの回転を上げずに処理する設計だとされており、静けさとのトレードオフを避けた点は寝室やリビングでは意味があります。

置き場所の制約をどこまで外せるか

大画面の理想は、たいてい家具と窓とコンセントの位置に負けます。IRIS Ultra Maxはここに3つの光学機構を投入しました。0.88〜1.7対1の光学ズーム、上下最大±130パーセント・左右最大±53パーセントの4方向レンズシフト、そして360度の水平回転と150度の上下チルトが可能な電動ジンバルです。

光学式のズームとシフトで位置と大きさを合わせられると、台形補正に頼る量を減らせます。台形補正はデジタル処理なので、掛けるほど使える画素が削られていきます。物理的に合わせられるほど画質面では有利です。

ソフト面では、検出した投写面に合わせて自動で画角を調整する「AI Screen Fitting」と、投写位置と紐づくアプリを場所ごとに記憶する「AI Spatial Image Memory」が用意されています。映画は正面の壁、運動するときは別の壁、寝たまま見るなら天井といった使い分けを想定した機能です。下位のIRIS Ultraは光学ズームと4方向レンズシフトは同じですが、公表仕様に電動ジンバルは含まれていません。

価格と予約、上位機と下位機の線引き

予約受付は9月4日開始です。IRIS Ultra Maxは通常価格3,499ドル(約56万円)に対し、早期予約価格が2,999ドル(約48万円)。欧州では通常3,499ユーロ(約64万円)が2,999ユーロ(約55万円)になります。

下位のIRIS Ultraは通常2,399ドル(約38万円)に対して予約期間中は1,899ドル(約30万円)、欧州では通常2,499ユーロ(約46万円)に対して1,999ユーロ(約37万円)からです。予約分の出荷は10月19日からで、機種別のアクセサリーやスクリーンの特典も用意されるとしていますが、具体的な組み合わせは今回の発表には含まれていません。

※1ドル159円、1ユーロ184円換算(2026年9月3日の三菱UFJ銀行公表仲値ベース)

2機種の差は、明るさとコントラスト、そして設置の自由度に集約されます。中心となる4K120Hz対応は下位機でも落としていないため、部屋の条件が素直で予算を抑えたいなら1,100ドル(約17万円)安いIRIS Ultraで足りる場面は多いはずです。逆に日中も使う、投写位置が素直でない、といった条件が重なるほどUltra Maxの機構が効いてきます。

まとめ

JMGOのIRISシリーズは、4Kと120Hzを同時に通すという一点を軸に、明るさ・コントラスト・設置自由度で上位と下位を分けた構成です。IRIS Ultra Maxは6,500 ISOルーメンと電動ジンバルを備え、早期予約価格2,999ドル(約48万円)から。予約は9月4日開始、出荷は10月19日からを予定しています。公表されている数値はいずれも強気ですが、迷光の抑制や色精度、MEMCの効き具合といった項目は部屋の条件で印象が変わります。デモを離れて普通の部屋に置かれたときにどう見えるかが、このシリーズの評価を決めることになりそうです。