Intel は、大学の研究者をたたえる「2025 Outstanding Researcher Awards(卓越研究者賞、ORA)」の受賞者を発表しました[1]。今年は AI や半導体デバイス、メモリ安全性など幅広い分野で成果を上げた 10 名が選ばれています[1]。Intel が支援する大学研究のなかでも、特に優れた取り組みを毎年表彰するプログラムです[1]。
「卓越研究者賞」とはどんなプログラムか
卓越研究者賞は、Intel が資金提供する大学研究のうち、次世代技術につながる成果を上げた研究者を表彰する制度です[1]。基礎科学から実用化を見据えた応用研究まで対象は幅広く、Intel の社内組織である Corporate Research Council(企業研究評議会)が運営を担います[1]。同評議会は、主要な大学や研究機関、エコシステムのパートナーとの連携を進める役割を持ち、卓越研究者賞はその連携活動を象徴する取り組みの一つに位置づけられています[1]。Intel は、世界を変える技術で人々の生活を豊かにするという自社の使命を、こうした学術界との協力によって前に進めたいとしています[1]。Intel は研究部門の Intel Labs を通じて、大学との共同研究センターの運営や、米国立科学財団などとの連携プログラムにも取り組んでいます[2]。
受賞研究にみる AI と半導体の最前線
2025 年の受賞研究は、AI と半導体技術の両面に広がっています。サプライチェーン分野では、John Fowler 氏(アリゾナ州立大学)が、生成 AI と強化学習を使ってサプライチェーンの「デジタルツイン」開発を自動化する研究で受賞しました[1]。Mohsen Imani 氏(カリフォルニア大学アーバイン校)は、脳の仕組みに着想を得た「ハイパーディメンショナル・コンピューティング」で学習や推論の効率を大幅に高める記号 AI の研究が評価されています[1]。Vijay Raghunathan 氏(パーデュー大学)は、CPU・GPU・NPU を組み合わせて AI 処理を効率化するヘテロジニアス計算の研究で選ばれました[1]。
半導体デバイスや回路の研究も並びます。Farzan Gity 氏(ティンダル国立研究所、アイルランド)は、次世代の 2 次元材料における結晶粒界と電気特性の関係を解明しました[1]。Visvesh Sathe 氏(ジョージア工科大学)は、3D 積層チップの発熱を精密に測る小型の温度センサーを開発しています[1]。Uwe Schroeder 氏(NaMLab、ドイツ)と Eilam Yalon 氏(テクニオン・イスラエル工科大学)は、強誘電体メモリ材料の制御に関する研究で共同受賞しました[1]。このほか、Cristiano Giuffrida 氏(アムステルダム自由大学)はメモリ安全性、Jiayi Huang 氏(香港科技大学)はチップ内のデータ転送効率、Shenlong Wang 氏(イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校)は物理法則に基づく仮想環境の生成 AI で、それぞれ受賞しています[1]。
大学研究との連携が持つ意味
Intel が学術界との連携を重視する背景には、半導体や AI の競争が、企業単独では担いきれないほど広い裾野を必要としている事情があります。受賞研究の多くは、メモリ安全性や発熱管理、チップ内のデータ転送、新しい計算方式など、いずれ Intel の製品や基盤技術に関わりうるテーマです[1]。実際に Intel は、ヘテロジニアス計算や仮想環境の研究について、自社の次世代 AI プラットフォームや 3D コンテンツ生成のロードマップに役立つと説明しています[1]。大学の研究者にとっても、企業の課題意識や実環境のデータに触れられる利点があり、優秀な学生の採用につながる側面もあります。Intel Labs は大学研究への投資を続けており、今回の表彰もその長期的な取り組みの一環といえます[2][3]。
まとめ
Intel の 2025 年「卓越研究者賞」は、AI から半導体デバイスまで幅広い分野の大学研究者 10 名を表彰しました[1]。基礎研究と実用化の橋渡しを担う学術連携は、半導体・AI 競争が激しさを増すなかで、Intel にとって重要な土台であり続けそうです。
出典:https://www.intel.com/content/www/us/en/research/academic-collaborations.html
出典:https://www.intel.com/content/www/us/en/research/news/outstanding-researcher-awards-2024.html
