HONORが、本体からカメラ部が物理的にせり出す新型スマートフォン「Robot Phone」の予約受付を中国で開始しました。上部に組み込まれたチタン合金製の4軸ジンバルが0.8秒で立ち上がり、被写体を追って首を振るという、既存のスマートフォンとは成り立ちの違う端末です。正式な発売は2026年8月を予定しており、まずは中国市場からの投入となります。
カメラが本体から起き上がる4軸ジンバル
Robot Phoneの中心にあるのは、本体上部に格納されたチタン合金製のジンバル機構です。普段は筐体の内側に収まっていますが、カメラを起動すると0.8秒で持ち上がり、そこから360度の旋回と首振りができます。可動軸は4自由度(4DoF)で、上下左右の首振りに加えて回転と傾きを組み合わせられる構造です。
これを成立させたのがモーターの小型化で、HONORは業界最小クラスの超小型モーターを開発し、体積を約70パーセント削減したと説明しています。スマートフォンの厚みに収まるサイズでロボットに近い動きを実現するための、いわば土台にあたる部分です。
手ブレ補正はCIPA規格で5.5段相当としています。3軸のメカニカル補正とAIによる補正エンジンを組み合わせる構成で、歩きながらの撮影や大きくカメラを振る動きでも画面が流れにくいとしています。ソフトウェア処理だけに頼る一般的な手ブレ補正とは、揺れを打ち消す仕組みそのものが異なります。
2億画素を2基積む撮影まわりとARRIとの協業
カメラは3眼構成です。ジンバルに載る主カメラは有効2億画素でF1.6の明るいレンズを組み合わせ、これに5000万画素の超広角、さらに2億画素の望遠(ペリスコープ)が加わります。望遠側にも2億画素センサーを充てているのは、遠景を切り出しても解像感を保たせる狙いがあると見られます。
被写体追尾も物理的な動きと結びついています。画面上の被写体を2回タップするとAIがロックオンし、動きの軌跡を先読みしながらカメラ自体が向きを変えて追い続けます。一瞬さえぎられて見失っても、再度同じ被写体を識別して追尾に復帰する仕組みです。加えて、ジンバルを90度または180度回して撮る「AI Spinshot」という撮影モードも用意され、片手のまま映画的なカメラワークを作れるとしています。
映像面ではドイツのARRIとの技術協業も発表済みです。ARRIは映画撮影用カメラで100年以上の歴史を持つメーカーで、Robot PhoneではLog-C記録とプロ向けのLUT(色設定ファイル)に対応します。撮影後に色を作り込むカラーグレーディングを前提とした素材が、スマートフォン単体で撮れるという位置づけです。
「首を振る」端末としてのAI体験
HONORはRobot Phoneを、単にカメラが動く端末としては説明していません。可動するカメラ部を端末の「身体」と位置づけ、AIアシスタントとのやり取りに動作を持ち込んでいます。同意するときは大きくうなずき、否定するときは首を強く横に振る、といった具合です。音楽に合わせてリズムを取り、曲調に応じて動きを変えるといった振る舞いも紹介されています。
ビデオ通話でも、画面の画角に縛られず利用者を捉え続ける使い方を想定しています。端末が机の上に置かれたまま、話す人を追って向きを変えるイメージです。端末内で動作するHONOR独自のYOYO AIが感情認識や先回りしたタスク実行を担い、可動するカメラ部がその表現装置として機能します。
なお、本機はHONORが掲げる「Alpha戦略」の最初の量産製品にあたり、初お披露目は2026年2月のMWC 2026でした。今回の予約開始は、そこから約5カ月を経て市販段階に入ったことを示しています。
基本仕様と予約特典
基本仕様は、Qualcommの Snapdragon 8 Elite Gen 5 を搭載し、6.3インチから6.4インチの1.5K解像度で四辺の縁を細くしたフラット画面、120Wの有線急速充電に対応する見込みです。これらは正式なスペック表として公表された数値ではなく、発表前段階の情報として伝えられている点には注意が必要です。
予約特典は中国国内向けにまとめられています。YOYO AIの上位会員資格が永年付帯するほか、ジンバル機構の1年間の交換サービス、標準アクセサリー一式、最長24カ月の分割手数料無料、そして下取り時に最大2,000元(約4万8000円)の補助が用意されます。実店舗で予約する場合は、優先購入の権利を確保するために1,000元(約2万4000円)の申込金が必要です。※1元24円換算
価格そのものは予約開始の時点では公表されていません。日本を含む中国国外での展開についても、現時点で具体的な計画は示されていない状況です。
まとめ
HONOR Robot Phoneは、本体からせり出す4軸ジンバルに2億画素カメラを載せ、被写体を物理的に追いかけるという構造を持ち込んだ端末です。CIPA 5.5段相当の補正やARRIとの協業によるLog-C対応など撮影機能の作り込みが目立つ一方で、うなずきや首振りといった動作をAIとの対話に組み込んだ点も特徴になっています。予約は中国で始まりましたが、価格と国外展開は未定で、8月の正式発売でどこまで具体像が見えるかが次の焦点になりそうです。
