Googleが、8月12日に控えるPixel 11シリーズの値上げを事実上認めました。理由はAI向け需要で逼迫したメモリ市況で、同社のハードウェア部門はこれを供給側に起因する深刻なRAM危機と表現しています。価格の見直しは新型のPixel 11だけでなく、すでに店頭に並んでいる端末を含むPixelファミリー全体に及ぶ見込みです。

RAMは1GBあたり6倍の水準に

今回の値上げの土台にあるのは、部材そのものの価格です。デバイス&サービス担当バイスプレジデントのShakil Barkat氏は、いま世界が経験しているようなメモリの値上がりは過去に例がないと述べています。同氏が示したMorgan Stanleyのデータでは、RAMの価格は1GBあたり2025年の2.80ドル(約460円)から2026年には12ドル(約2,000円)へ、およそ6倍に上がりました。

※1ドル164円換算(2026年7月28日時点)

供給が細った理由もはっきりしています。メモリメーカーが生産能力をAIデータセンター向けの広帯域メモリ(HBM)へ振り向けたためです。HBMは製造に大きな負担がかかり、1ビット作るごとにスマートフォンやPC向けの一般的なメモリを何ビットも作れなくなります。端末メーカー側から見れば、調達したくても物理的に供給が回ってこない状態です。

値上げの対象はPixel全機種

Googleは、これまで部材価格の変動を可能な限り顧客に転嫁せず自社で吸収してきたとしています。ただし採算の構造そのものが変わってしまい、自社だけが影響を免れることはできないという判断に至りました。

価格の調整は特定の1機種にとどまりません。Pixel 11シリーズはもちろん、Pixel Watchを含むPixelファミリー全体が対象で、供給の実情に合わせて順次適用されます。すでに市場に出ている端末も例外ではありません。具体的な機種名は明かされていませんが、中位機として投入されてからまだ日の浅いPixel 10aも影響を受けるとみられます。現行価格がいつ改定されるかは公表されていないため、購入を検討している人は早めに判断したほうが安全です。

一方で、Googleは手が届く価格帯を維持する姿勢自体は崩していません。割引施策や下取り、Google Oneの特典を組み合わせる売り方は今後も続けるとしており、本体価格以外の部分で負担を和らげるという考え方です。

8月12日の発表で何が見えるか

Pixel 11シリーズの正式発表は8月12日です。値上げ幅の具体的な数字は当日まで示されません。

現時点で出回っているリーク情報では、入門にあたるPixel 11 ProのRAMが16GBから12GBへ減るとされています。価格面では、Pixel 11とPixel 11 Proが100ドル(約1万6,000円)程度上がる代わりに、ストレージが256GBへ倍増するという見立てです。上位のPixel 11 Pro XLとPixel 11 Pro Foldについては、内容の見直しを伴わずに100ドルの上乗せになる可能性が指摘されています。いずれも発表前の情報であり、確定した仕様ではありません。

RAMが減って価格が上がるという組み合わせは、消費者から見れば受け入れにくい話です。ただしメモリ単価が6倍になった市況を踏まえると、搭載量を据え置いたまま価格も据え置くという選択肢は残っていなかったとも言えます。

AndroidのRAM消費量を下げる取り組み

Googleは価格転嫁と並行して、技術側からの対策も進めています。Barkat氏が挙げたのは、Androidとアプリのエコシステム全体でメモリの要求量を引き下げる専任の取り組みです。搭載RAMが少ない端末でも体験の質を落とさずに済む状態を目指すという内容で、これが実を結べば、メモリ市況に価格が振り回される度合いを構造的に減らせます。

加えてGoogleは、AI・ソフトウェア・シリコンを自社で一貫して押さえている点を、端末上でのモデル実行を効率化する強みとして挙げています。オンデバイスAIの搭載が進むほどメモリ要求は増える方向にあるだけに、ソフトウェア側で吸収できる幅がそのまま製品の競争力につながります。

まとめ

Googleは、AIデータセンター向け需要によるメモリ価格の高騰を理由に、Pixel 11シリーズを含むPixel全機種の価格を引き上げる方針を明らかにしました。RAMは1GBあたり2.80ドルから12ドルへ約6倍に上がっており、すでに販売中の端末も価格改定の対象になります。具体的な価格は8月12日の発表で示される見通しで、それまでの間は現行モデルを買うタイミングも判断材料になりそうです。

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