Dysonが電動歯ブラシに参入しました。Dyson CameraJetフロッサー付き電動歯ブラシは、ブラシヘッドの根元に10万ピクセルのマクロレンズカメラを内蔵し、映像から歯と歯の隙間を検出して、そこへマウスリンスを噴射します。ブラッシングとフロスを1本でまとめて済ませる設計です。日本ではすでに販売が始まっており、価格は79,800円(税込)です。

歯間を「見て」から狙って撃つ

この製品の中心にあるのは、Gap Optical Targetingと名付けられた仕組みです。ブラシヘッドの下に置かれた直径1ミリのカメラが毎秒28枚の画像を撮り、機械学習アルゴリズムがそこから歯間を探します。カメラの視野を広げるドーム型のターゲットレンズと、暗い口の中を照らすストロボスコープライトが組み合わされていて、口腔内という条件の悪い場所で画像認識を成立させるための構成になっています。

隙間が見つかると、ダイヤフラムポンプが最短0.1秒で液体を送り出します。噴射されるのは円すい形に広がるコニカルジェットで、一般的な水流式フロッサーの針状の水流とは形が違います。Dysonはシンガポール国立大学と共同で人工的な歯垢モデルを作り、それを使って水流の形状を検証したと説明しています。針状の水流は歯垢を点で突くだけで剥がしきれないことがあるのに対し、円すい形は面で洗い流せるという理屈です。圧力を上げずに接触面積を稼ぐぶん、歯ぐきやエナメル質への当たりも柔らかくなります。

液体を溜めるタンクは容量12.5mlと小さめですが、内側のシリコンが伸縮して気泡の発生を抑えるアンチグラビティタンクという構造で、本体をどの角度に傾けても噴射できるようになっています。奥歯の裏側のように、手首をひねらないと届かない場所を想定した設計です。

ブラシとしての基本性能

カメラばかりが目立ちますが、歯ブラシとしての作りも作り込まれています。ブラシヘッドは硬さの異なる2層の毛を組み合わせたデュアルブリスル構造で、外側の柔らかい毛が歯ぐきのキワを、内側のやや硬い毛が歯の表面の着色を担当します。毎秒245回振動するモーターは、押し付けたときに動きが止まってしまう失速を避ける制御が入っているとのことです。Dysonは、主要な電動歯ブラシと比べて最大69パーセント多く歯垢を除去できるとしています。この数字はブラッシングのみのデイリークリーンモードで、市場価格200米ドル(約3万2,000円)以上のプレミアム価格帯の競合製品と比較したラボ試験の結果です。

※1米ドル=160円換算

モードはオートジェットとブラシの同時実行、オートジェットのみ、ブラシのみの3種類。ブラッシングの強さはセンシティブ、デイリークリーン、ディープクリーンから選べます。ブラシヘッドにはRFIDタグが入っていて、摩耗の度合いから交換時期を知らせます。

口の中をスマートフォンで覗く

カメラは噴射の照準だけに使うものではありません。MyDysonアプリと2.4GHzのWi-Fiでつなぐと、磨いている最中の映像をそのまま画面で見られます。歯科医院で口腔内カメラを向けられたときに見えるあの映像を、自分で確認できるという位置づけです。磨き残しを地図のように表示するカバー範囲マッピングや、使用履歴のレポートも用意されています。

口の中を撮るカメラだけに、プライバシーの扱いは気になるところです。Dysonは、映像はリアルタイムでアプリに直接届くだけで、本体にもクラウドにも保存されず、同社や第三者がアクセスすることはないと説明しています。カメラが動作中は白色のLEDが点灯し、使っていないときはオフになります。

使うときの制約と国内での買い方

注意点もあります。カメラが歯間を見るには視界が確保されている必要があるため、歯磨き粉とマウスウォッシュはSLSフリーのジェルタイプや無発泡タイプ、透明で低発泡のものが推奨されています。泡立ちの良い製品を使うと、カメラの前が泡で塞がれてしまうわけです。なお、Dyson純正の歯磨き粉とマウスリンスは2026年9月時点で日本未発売とされています。

本体の仕様は、質量230g、充電端子はUSB-C、バッテリーは満充電で10日間ぶんの運転時間です。同梱の充電ドックはボタンひとつでタンクへの給水ができ、保管と充電も兼ねます。ドックを収めるケースも付属し、持ち運び時にバッテリーを消耗しないスリープモードも備えています。IPX7の防水仕様で、シャワーを浴びながらでも使えます。

カラーはセラミックピンクとセラミックウルトラブルーの2色。米国では499.99ドル(約8万円)で、日本ではダイソン公式オンラインストアが79,800円(税込)で販売しています。ちなみに電動歯ブラシとその関連製品は衛生上の理由から30日間全額返金保証の対象外で、返品は未開封・未使用に限られます。

まとめ

Dyson CameraJetは、カメラと機械学習で歯間を検出し、円すい形のジェットで洗浄する電動歯ブラシです。ブラッシングとフロスを1本にまとめ、磨いている最中の口の中をアプリで確認できる点が新しいところです。79,800円という価格は電動歯ブラシとしてはかなり高い部類に入りますが、フロッサーが一体になっていること、そしてフロスを続けられない人の習慣を機械側で肩代わりしようとしている設計を踏まえると、狙いどころは分かりやすい製品です。