DJIがロボット掃除機の第2世代「ROMO 2」シリーズを世界向けに発表しました。上位のROMO P2と標準のROMO A2の2モデル構成で、ドローンで培った測距技術を使ったミリ単位の障害物検知、123度振れるLiDAR誘導のアーム、36,000Paの吸引力を備えます。加えて、2026年第4四半期からは端末の通信を遮断するローカルデータモードにも対応します。欧州価格はP2が1,299ユーロ(約23万5,000円)です。
ドローンの技術をそのまま掃除機に持ち込んだ
ROMOシリーズの出発点は、DJIが航空機で積み重ねてきた測距と回避の技術を家庭内に持ち込むという発想でした。ROMO 2ではその知覚システムが作り直され、床面の障害物をミリ単位で捉えるミリメートル級障害物検知2.0を名乗っています。
センサー構成は、前方に向いた3D ToF LiDAR、高性能な魚眼センサー2基、そして側面の3D ToF LiDARという組み合わせです。ケーブルのような薄いものだけでなく、これまでロボット掃除機が苦手としてきたガラスや鏡といった透明・反射する対象も検知の対象に入ります。DJIは、過去に認識した状況から推論することで、一度も出会ったことのない障害物にも反応できると説明しています。
暗い場所への対策として、本体には塵を照らし出すためのライトが組み込まれました。照らせる範囲は2,000平方センチメートルで、家具の下やベッド周りのように光が届きにくい場所で取りこぼしを減らす狙いです。
123度振れるアームと36,000Paの吸引
掃除そのものの機構も手が入っています。水拭き用のアームはLiDARで誘導され、123度という広い範囲を振ります。前世代と比べて7.8cm遠くまで届くため、ソファや収納の下、壁際や机の脚の周りといった、これまで拭き残しになりやすかった場所に入り込めます。
吸引はカタログ値で36,000Paです。数字だけが独り歩きしがちな部分ですが、ROMO 2ではカーペットの上で圧力板が下がって床面とほぼ密閉状態を作り、その状態で吸引力を繊維の奥に集中させる構造を採っています。絡まり対策としては、サイドブラシとローラーブラシの掃く範囲を意図的に重ねるDualSweepという設計が入りました。
段差の乗り越えには、脚を使う機構が引き続き採用されています。単段で4cm、二段重ねの状態で8.5cmまで越えられるため、部屋の間の敷居程度であれば止まらずに進めます。
静音性も改良点として挙げられており、素材の見直しによって騒音のエネルギーを最大85パーセント削減したとしています。実際の動作音は、吸引と水拭きを同時に行うモードで約54dBA、基地局が乾燥している間で約40dBAという値です。
基地局は高温高圧の自己洗浄に対応し、80度の湯でモップを洗います。DJIはこれにより365日メンテナンス不要の運用ができるとしています。稼働時間の目安は、吸引のみで静音設定にした場合におよそ3時間で、178平方メートルほどを掃除しても12パーセント程度の電池が残る計算です。30分の充電でおよそ18Whを回復し、吸引と水拭きを同時に行うモードで36分ほど動かせます。
通信を遮断するローカルデータモード
今回の発表でDJIが前面に出しているのが、家の中の映像をどう扱うかという点です。ROMO 2は2026年第4四半期から、もともとDJIのドローンに搭載されていたローカルデータモードに対応します。
このモードを有効にすると、専用アプリであるDJI Homeのインターネット接続そのものが切られます。掃除機のカメラが撮った写真や動画が外部のサーバーへ届くことがなくなる、という仕組みです。あわせて、カメラとマイクを使わない設定にすることや、DJIに渡した個人データを削除することもできます。
カメラを積んだ機器が家の中を動き回る以上、映像がどこへ行くのかは避けて通れない論点です。設定でクラウドを止められる選択肢を標準機能として持たせた点は、同じ価格帯の競合と比べたときの分かりやすい違いになります。なお、ROMO 2シリーズ自体は防水仕様ではないため、本体と基地局は水に触れさせない前提で使う必要があります。
価格と、P2とA2の違い
現時点で公表されているのは欧州向けの価格です。フラッグシップにあたるDJI ROMO P2が1,299ユーロ(約23万5,000円)、標準モデルのDJI ROMO A2が1,199ユーロ(約21万7,000円)で、DJIの直販か取り扱い販売店から購入できます。ドイツの公式ストアでは発売記念の値引きが適用され、P2が1,059ユーロ(約19万2,000円)、A2が1,049ユーロ(約19万円)で並んでいます。
※1ユーロ=181円換算(2026年9月5日時点)
2機種の中身はよく似ています。障害物検知、36,000Paの吸引、123度のアーム、8.5cmの乗り越え、80度の自己洗浄はいずれも共通です。違いが出るのは基地局で、P2は半透明の筐体で床用の消臭剤に対応し、A2は白い筐体でダストバッグ用の紫外線ランプを備えます。ロボット側のごみ受けを乾燥させる機能は両方にあります。掃除モードは吸引と水拭き、吸引のみ、水拭きのみ、吸引してから水拭きの4種類で、アプリから独自の計画も組めます。
日本国内での取り扱いについては、この記事の時点で発売時期も価格も示されていません。DJIの日本向けストアに並んでいるのは第1世代のROMOシリーズまでで、ROMO 2の投入がいつになるかは今後の発表を待つことになります。
まとめ
ROMO 2は、DJIが航空機で使ってきた測距と回避の技術を家庭用ロボットへ移した第2世代です。123度のアームと36,000Paの吸引という掃除性能の底上げに加えて、通信を切って映像を外へ出さないローカルデータモードを標準の選択肢として用意した点が、この世代のいちばんの変化と言えます。日本での展開は未定ですが、カメラを積んだ家庭用ロボットが増えるほど、この種の設定が製品選びの基準になっていくはずです。
