OpenAIが8月11日、ChatGPTの広告について「ChatGPT Adsが英国、メキシコ、ブラジル、日本、韓国で提供を開始した」と発表しました[1]。2026年2月に米国の一部ユーザー向けテストとして始まった仕組みが、半年で主要市場へ広がった形です。日本ではすでに6月から表示が始まっており、今回の更新でパイロットの拡張が一区切りついたことになります。

テストから「提供開始」へ、半年でここまで来た

ChatGPTの広告は、2026年2月9日に米国で始まりました[1]。対象はログイン済みの成人で、なおかつ無料版とChatGPT Goの利用者だけ。Plus、Pro、Business、Enterprise、Educationの各プランには広告が出ない、という線引きは当初から変わっていません[1]。

3月26日の更新では、初期の手応えとして、利用者の信頼に関する指標に悪影響が見られないこと、広告を非表示にする操作の割合が低いこと、関連性が改善し続けていることが挙げられました[1]。ここでカナダ、オーストラリア、ニュージーランドへの拡大が決まり、5月7日には次の候補として英国、メキシコ、ブラジル、日本、韓国の5カ国が名指しされます[1]。

そして今回の8月11日の更新で、その5カ国すべてについて提供開始が明言されました[1]。海外メディアのNotebookcheckが8月6日時点で確認したOpenAIヘルプセンターの広告管理画面の提供状況では、オーストラリア、カナダ、日本、韓国、ニュージーランド、英国、米国の7カ国が利用可能で、ブラジルとメキシコにはComing Soonの注記が残っていました[3]。5日ほどでその2カ国が埋まった計算になります。なお、ドイツは同じ一覧に登場していません[3]。

日本では6月19日に表示開始、窓口は電通デジタルとHakuhodo DY ONE

日本での広告表示自体は、6月19日にすでに始まっていました[2]。対象は米国と同じく、無料版またはChatGPT Goのログイン済み成人ユーザーです[2]。

日本市場では、電通デジタルとHakuhodo DY ONEがパイロット運用のローンチパートナーとして広告の取り扱いを開始したと発表されています[2]。国内の広告主にとっては、既存の代理店経由でChatGPTという新しい在庫を扱えるようになった、という意味を持ちます。

広告は回答の下に、スポンサー表記付きで出る

表示のされ方はかなり抑制的です。広告は回答の下に置かれ、スポンサー提供であることが必ず明示され、通常の回答とは視覚的に区別されます[1][2]。OpenAIは、広告がChatGPTの回答内容に影響を与えることはないと繰り返し説明しており、広告はチャットのモデルとは別系統の仕組みで動いているとしています[1][3]。

どの広告を出すかは、広告主が入稿した広告と、会話のトピック、過去のチャット、広告への過去の反応を突き合わせて決まります[1][2]。レシピを調べていればミールキットや食材宅配の広告が出る、といった具合です[1]。複数の広告主が該当する場合は、そのチャットに最も関連性が高いものが先に表示されます[1]。

出ない場所も決まっています。18歳未満と申告している、あるいはOpenAIが18歳未満と判断したアカウントには広告を出しません[1][2]。健康、メンタルヘルス、政治といった機微な話題や規制対象の話題の近くにも広告を出さない設計で、政治広告そのものが現時点ではChatGPT上で認められていません[1][3]。一時チャットにも広告は出ません[3]。

広告主が見られるのは集計値だけ

プライバシー面の設計も、発表では正面から説明されています。広告主はチャット本文、チャット履歴、メモリ、個人情報にアクセスできません[1][2]。受け取れるのは表示回数やクリック数といった集計された成果情報だけです[1][2]。名前、メールアドレス、正確な位置情報、IPアドレスも広告主には渡らないとされています[3]。ただし、広告経由で広告主に直接メッセージを送った場合は、そのやり取りだけは相手に見えます[3]。

利用者側の操作も一通り用意されています。広告の非表示、フィードバックの送信、なぜその広告が出ているのかの確認、ワンタップでの広告データ削除、広告のパーソナライズ設定の管理が可能です[1][2]。削除した広告データがOpenAIのサーバーから消えるまでには最大30日かかります[3]。

ここで誤解されやすいのが、パーソナライズをオフにしても広告そのものは消えないという点です[3]。オフにすると、広告を選ぶ材料が現在のチャットスレッドだけに絞られます。オンのままなら、過去のチャットや保存されたメモリ、広告への反応も材料に加わる、という違いにとどまります[3]。

広告を消したいなら、支払うか使用量を削るか

広告を出さない方法は3つあります。1つ目は有料プランへの移行で、Plus(20ドル、約3,200円)またはPro(100ドル、約1万6,000円)を契約すれば広告は表示されません[2]。

※1ドル159円換算(2026年8月11日時点)

2つ目は、無料プランのまま広告をオプトアウトする方法です。ただし引き換えに1日あたりに使えるチャット数が減ります[1][2]。Notebookcheckによれば、設定の広告コントロールからプラン変更に進むことで無料のまま広告を外せる一方、メッセージ上限が下がり、画像生成やディープリサーチといった一部のツールが使えなくなるとされています[3]。3つ目が一時チャットの利用で、こちらは常に広告が出ません[3]。

無料で広告なし、しかも従来通りの使用量、という選択肢は用意されていません。広告を受け入れるか、お金を払うか、使える量を削るか。この3択に整理されたのが今回の到達点です。

競合はここを突いてきている

広告の導入は、競合にとっては攻めどころでもあります。Anthropicは自社のClaudeについて、会話に広告を入れないと表明しており、この点を打ち出した広告も展開しました[3]。

OpenAI側の言い分も一貫しています。無料版とGoを高速かつ安定して提供し続けるにはインフラへの継続的な投資が必要で、広告がその原資になり、結果としてより多くの人がAIに手を伸ばせるようになる、という説明です[1]。会話型のインターフェースでは、利用者が選択肢を比べたり何かを決めようとしている最中に広告が出るため、従来より関連性が高く役に立つ広告になりうる、とも述べています[1]。

無料で使えることの対価をどこで払うのか。検索エンジンが20年かけて通った道を、対話型AIが数年で歩き直している格好です。

まとめ

OpenAIは8月11日、ChatGPT Adsを英国、メキシコ、ブラジル、日本、韓国で提供開始したと発表しました。日本での広告表示は6月19日に始まっており、電通デジタルとHakuhodo DY ONEがローンチパートナーとなっています。広告が出るのは無料版とChatGPT Goのログイン済み成人のみで、Plus以上の有料プランには表示されません。広告主が受け取れるのは表示回数やクリック数などの集計値だけで、チャット内容や個人情報は渡らない設計です。広告を消すには有料プランへの移行、無料のままオプトアウトして使用量を削る、一時チャットを使う、の3通りが用意されています。

出典[1]:https://openai.com/index/testing-ads-in-chatgpt

出典[2]:https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/2118443.html

出典[3]:https://www.notebookcheck.net/ChatGPT-ads-where-they-run-now-and-how-to-switch-them-off.1361301.0.html