AppleはWWDC26で、アプリにAI機能を組み込むための新しいインテリジェンスフレームワークと、エージェントによるコーディングを強化した「Xcode 27」を発表しました[1]。AnthropicやGoogle、OpenAIの最新モデルを開発ワークフローに直接取り込めるようになり、Google Geminiとの連携で構築した次世代のApple Foundation Modelも利用できます。開発者向けベータ版は同日から提供が始まっています。
AIをアプリに組み込む「インテリジェンスフレームワーク」
今回の目玉は、開発者がアプリにAIを組み込みやすくする新しいインテリジェンスフレームワークです[1]。昨年のFoundation Modelフレームワークを基盤に、単一のネイティブなSwift APIとして提供され、画像入力やサーバモデルの利用、カスタムスキルの作成に対応します。App Intentフレームワークのアップデートにより、アプリをSiri AIのパーソナルコンテキスト理解やオンスクリーン認識と連係させることもできます。
このAPIから使える次世代のApple Foundation Modelは、GoogleおよびGeminiモデルとの連携によって独自に構築されたものです[1]。注目したいのは、App Store Small Business Programに登録済みで初回ダウンロード数の合計が200万件未満の開発者であれば、プライベートクラウドコンピューティング上で動くこのモデルにクラウドAPIコストなしでアクセスできる点です。個人や小規模の開発者でもAI機能を試しやすくなります。さらにClaudeやGeminiなど他社のモデルも選んで組み込めるため、用途に応じた使い分けが可能です。
独自のモデルをアプリに載せたい開発者には、新フレームワークの「Core AI」が用意されました[1]。Appleシリコンのユニファイドメモリとニューラルエンジン向けに最適化されており、フルスケールの大規模言語モデル(LLM)をデバイス上でローカルに動かせます。
Xcode 27とエージェントコーディング
開発環境のXcodeも、エージェントコーディングで大きく前進します[1]。Xcode 27では、Anthropic、Google、OpenAIが提供する現時点で最高クラスのモデルとエージェントを、開発ワークフローに直接取り込めるようになりました。エージェントとの対話には、計画を練るインタラクティブなプランニングや複数ターンのQ&A、コードの変更箇所とプレビューを並べて確認できるキャンバスが備わっています。
特徴的なのは、コーディングエージェントが自分の作業を検証する仕組みです[1]。テストの記述と実行、プレイグラウンドでの隔離された実験、プレビューによる視覚的な確認、新しいDevice Hubでのシミュレータ操作などを通じて、より長く自律的に作業を進められます。プラグインにも対応し、Model Context Protocolで日常的に使うツールを取り込んだり、Agent Client Protocolに対応するエージェントを接続したりできます。GitHubとFigmaが、Xcodeとのシームレスな連携を提供する最初のプラットフォームになります。
Xcode 27本体も刷新されました[1]。Appleシリコン専用となり、サイズは30パーセント小さく、起動やセットアップも高速になります。ツールバーは完全にカスタマイズでき、配色を変えられるテーマシステムも加わりました。Xcode Cloudは最大2倍高速になり、Metalを使うアプリやvisionOSのビルドにも新たに対応します。
SwiftやデザインからゲームまでAppleシリコン前提に
開発言語とデザイン面の進化も見逃せません[1]。統一されたビジュアルデザイン「Liquid Glass」は読みやすさとカスタマイズ性が向上し、設定アプリの透明度スライダで外観を調整できます。SwiftUIは状態の初期化とレイアウト描画が効率化され、コードを書き換えなくてもアプリの応答性が高まります。フルスタック開発を担うSwiftも6.4へと進み、警告の抑制やコンパイラ診断の改善で日々の作業がより快適になります。
ゲーム開発者向けのツールも拡充されました[1]。プレイヤーの言語に必要なアセットだけをダウンロードしてインストールサイズを抑える「Managed Background Asset」や、PCゲームをAppleの各プラットフォームへ適応させる「Steam Asset Converter」が登場します。Macゲーム移植を加速する「Game Porting Toolkit 4」はエージェント用のオープンソーススキルを導入し、公式Unityプラグインによってアプリ内課金をネイティブに実装できるようになります。空間体験を作る「Reality Composer Pro 3」では、編集結果をその場で確認できるLive Previewが使えます。
まとめ
WWDC26でAppleが開発者に示したのは、AIを組み込む新フレームワークと、エージェントコーディングを取り込んだXcode 27という2つの軸です[1]。小規模開発者への無料クラウドアクセスや、Anthropic・Google・OpenAIの主要モデルを直接使える設計は、アプリ開発のハードルを下げる狙いがうかがえます。iOS 27やXcode 27などの開発者向けベータ版は、すでにdeveloper.apple.com/jpで提供が始まっています。
