XGIMIが、超短焦点レーザープロジェクターの新シリーズ「AURA 3」を発表しました。上位の「AURA 3 Max」と下位の「AURA 3 Pro」の2機種で、いずれも4K解像度のまま120Hzで投写できる点を最大の売りにしています。超短焦点タイプとしては世界初の4K 120Hz対応だとしており、9月4日から8日までベルリンで開かれるIFA 2026で実機を公開。販売はKickstarterで10月20日に始まり、限定価格はMaxが2,399ドル(約38万円)、Proが2,199ドル(約35万円)です。

壁から20cmで120インチ、超短焦点で4K 120Hz

AURA 3シリーズは、テレビ台の上に置いて壁面に投写する「レーザーTV」と呼ばれるジャンルの製品です。投写比は0.163対1で、壁から8インチ(約20.3cm)離すだけで120インチの画面が得られます。最大投写サイズは200インチ。天井への取り付けや長い投写距離が要らないため、設置場所の自由度が普通のプロジェクターより高いのが特徴です。

その上で今回の目玉となるのが4K 120Hz再生です。従来の超短焦点機は4K入力を受けると60Hz止まりになるものが多く、ゲーム機やPCが120フレーム毎秒を出力しても、その恩恵を受けられませんでした。AURA 3シリーズは4Kの解像度を落とさずに120Hzを通すとしており、XGIMIはこれを超短焦点プロジェクターとして世界初だと説明しています。なお、4K 120HzはHDMI 2.1対応の機器からの入力に限られ、USBメディアの再生では利用できません。

ゲーム向けの仕様も揃っています。フレームレートの変動に投写側を追従させるVRR(可変リフレッシュレート)、対応機器をつなぐと自動で低遅延モードに切り替わるALLM、AMD FreeSync Premium、Dolby Vision Gamingに対応し、応答は最短1msをうたっています。有線LANは1Gbpsで、HDMIはeARC対応を含む3系統。映画やスポーツ向けには、4K 120Hzで動作するMEMC(フレーム補間)も載っています。

2つの絞りで黒を沈める「Dynamic Dual Iris」

明るさはAURA 3 Maxが5,700 ISOルーメン、AURA 3 Proが4,100 ISOルーメンです。ネイティブコントラストはMaxが8,000対1、Proが7,000対1と公表されています。両機種の違いは基本的にこの明るさとコントラストの差で、光学系や機能面は共通です。

コントラストを支えているのが、超短焦点プロジェクターとしては初めてだとする「Dynamic Dual Iris」です。2つの絞りを場面の明るさに合わせて動的に制御し、光源側で光量を調整して黒を沈めます。これに「DBLE(Dynamic Black Enhancement)」と呼ばれる処理を組み合わせ、影の階調を保ったまま動的コントラストを最大10倍まで高めるとしています。絞りを2枚使う構成は、同社が今年Kickstarterで展開した長焦点機のTITAN Noirシリーズにも採用されていたもので、それを超短焦点に持ち込んだ形です。

光源はRGB 3色レーザーで、Maxの色域はBT.2020比110パーセント。3色レーザーのDLP機で気になるレインボー現象(視線を動かしたときに赤緑青の縞が見える現象)については、2Dと3Dの両方で大幅に抑えたとしています。3D表示にも対応し、3Dメガネが2組同梱されます。

映像処理には、XGIMIが自社開発した「X-VISION AI Image Processor」を搭載しました。HDRの各シーンをリアルタイムに解析し、明るさとコントラストを動的に最適化するというものです。対応するHDR規格はDolby Vision、HDR10+、HLG、IMAX Enhancedで、Filmmaker Modeにも対応。レンズは19枚構成で、色収差を抑えるED(特殊低分散)ガラスと広帯域コーティングを採用し、超短焦点機で崩れやすい画面端の解像感を保つとしています。

Google TVと80WのHarman Kardonスピーカー

プラットフォームはGoogle TVです。NetflixやYouTube、Prime Videoなどの主要な配信サービスを追加機器なしで再生でき、Google Homeとの連携や音声操作にも対応します。使っていないときは「XGIMI WALL」というアプリで壁面にデジタルアートを表示でき、大きな黒い箱がリビングに居座る違和感を減らす工夫です。

音響はHarman Kardonのスピーカーで、出力は80W。Dolby AtmosとDTS Virtual:Xに対応します。設置まわりでは、スクリーンへの位置合わせを補助する機能、自動台形補正、オートフォーカス、壁の凹凸や壁色に合わせた補正、目の保護機能を備え、初期設定はほぼ自動で済む設計です。

同梱物は本体、3Dメガネ2組、電源ケーブル、保証書、マニュアル、バックライト付きBluetoothリモコン。背面端子は電源、LAN、光デジタル、アナログ音声、USB 2.0、USB 3.0、HDMI 3系統(うち1つがeARC)です。

価格と入手方法、日本での扱い

販売はKickstarterで、キャンペーン開始は10月20日です。Kickstarter限定価格はAURA 3 Maxが2,399ドル(約38万円)、AURA 3 Proが2,199ドル(約35万円)。XGIMIの公式サイトでは先行して50ドル(約8,000円)の預かり金を受け付けており、支払っておくとキャンペーン開始日に案内が届き、さらに200ドル(約3万2,000円)の割引が上乗せされます。預かり金は返金可能で、キャンペーン終了後10営業日以内に割引分と合わせて精算されるとしています。公式サイトの案内では、最も早い段階の価格は最大2,800ドル(約45万円)引きと表現されており、出荷は12月から順次行う予定です。欧州向けサイトでは預かり金が50ユーロになっています。

※1ドル159円換算(2026年9月3日の三菱UFJ銀行公表仲値ベース)

日本向けの販売については、今回の発表に記載がありません。AURA 3シリーズの日本展開時期や国内価格は現時点で公表されていないため、まずはKickstarter経由での入手が前提になります。

IFA 2026の会場では、Hall 21のブースH21-111にAURA 3 Maxが同社の床置き昇降式スクリーン「Ascend」と組み合わせて展示されるほか、Kickstarterで1,937万ドル(約31億円)を集めたというTITAN Noirシリーズも並びます。

まとめ

AURA 3シリーズは、壁際に置ける超短焦点機で4K 120Hzを通すという一点に、2枚絞りとRGB 3色レーザー、AI画像処理を重ねた構成です。Maxは5,700 ISOルーメンとネイティブ8,000対1、Proは4,100 ISOルーメンと7,000対1で、それ以外の仕様は共通。Kickstarterは10月20日開始で、限定価格は2,199ドル(約35万円)からとなります。同じ4K 120Hzをうたう長焦点機がこの秋いくつも出てきた中で、設置の手軽さを持つ超短焦点で同じ土俵に立てるかどうかが、この製品の見どころです。公表数値の多くはメーカーの主張であり、実際の部屋でどう見えるかは実機の評価を待つ必要があります。