Googleが、スマートウォッチを画面に触れずに操作できる片手ジェスチャーを、Wear OS 7からサードパーティ製アプリにも開放しました。端末メーカー向けのフレームワークと、アプリ開発者向けのAPIが同時に用意されています。すでにSpotifyが採用しており、ダブルピンチで音楽の再生と停止を切り替えられます。

時計を着けている側の手だけで操作を完結させる

片手ジェスチャーは、端末を装着している側の手だけで主要な操作を済ませるための仕組みです。荷物を持っているときや料理中など、もう一方の手が塞がっている場面を想定しています。

この機能自体は新顔ではありません。Pixel WatchのWear OS 6.1で先に導入され、タイマーの開始と停止、着信への応答、メディア操作といった限られた用途で使えていました。ただし対象はシステム側の機能に限られ、他社製アプリからは触れませんでした。

Wear OS 7では、ここに2つの入り口が追加されます。1つは端末メーカーがジェスチャーを操作に割り当てるためのフレームワーク、もう1つはアプリ開発者が自分のアプリにジェスチャー操作を組み込むためのAPIです。

主操作と取り消し、役割を2つに絞った

用意されているジェスチャーの役割は2種類だけです。増やしすぎて覚えられなくなる事態を避けた設計といえます。

1つ目は主操作(プライマリーアクション)で、Pixel Watchではダブルピンチが割り当てられています。その画面で最も重要な操作を紐づける想定で、カメラアプリでのシャッター、タイマーの開始と停止、着信への応答などが例として挙げられています。

2つ目は取り消し操作(ディスミスアクション)で、Pixel Watchでは手首をひねる動作が対応します。既定ではシステムの戻る操作にあたり、割り込みで出てきた画面を閉じたり、文字盤に戻ったりするのに使えます。用途によっては上書きも可能で、着信音を止める操作に差し替えるといった使い方が示されています。

主操作はスクロールにも回せます。通知を読み進めて返信に入る場面や、ワークアウトの数値を次々に送っていく場面など、タップを挟まずに読み進めたいケースが対象です。

開発側は既存のUIに後付けできる

アプリ側の実装は、Compose for Wear OSの1.7ベータから利用できます。依存関係を1.7.0のベータ版に上げると、片手ジェスチャー用のModifierが使えるようになります。

組み込みの手順は3段階です。まずジェスチャーの性格を決める設定を用意し、次にボタンやリスト向けのインジケーター状態を初期化し、最後に対象のコンポーザブルへModifierを適用します。ジェスチャーが有効になったタイミングと、実際に検出されたタイミングでそれぞれ処理を差し込める作りです。

既存の操作可能なコンポーザブルに後付けする形なので、画面構造を作り直す必要はありません。動作にはWear OS 7の土台が必要で、APIレベルは37にあたります。

ヒントの出し方は仕組み側が調整する

触れずに操作できるといっても、どの画面でジェスチャーが効くのかが分からなければ使われません。そこで用意されているのがジェスチャーインジケーターです。

これはアニメーションで操作可能な場所を知らせるヒントで、表示の頻度や見え方はフレームワーク側が管理します。開発者が独自に出しっぱなしにするのではなく、邪魔にならない範囲で自動的に案内される作りです。頻度が気になる利用者は、システム設定側で控えめに変更できます。

インジケーターはボタン向け、スクロール向け、横方向と縦方向のページ送り向けが個別に用意されており、UIの種類に合わせて選ぶ形になります。

Spotifyが先行採用、対象はPixel Watch 3以降

先行して採用した例としてSpotifyが挙げられています。片手ジェスチャー用のModifierを組み込むことで、主操作のジェスチャー、つまりPixel Watchではダブルピンチで再生と一時停止を切り替えられるようになりました。物理ボタンを押したときと同じ動作が、画面に触れずに呼び出せます。

利用できる端末は現時点でPixel Watch 3以降です。ただしジェスチャーのフレームワーク自体はWear OSの端末メーカー全体に開放されているため、今後は他社製スマートウォッチにも広がる余地があります。

まとめ

Wear OS 7で、これまでシステム側の機能に限られていた片手ジェスチャーが、サードパーティ製アプリにも開放されました。役割は主操作と取り消しの2つに絞られ、Pixel Watchではそれぞれダブルピンチと手首のひねりが対応します。開発者はCompose for Wear OS 1.7ベータの新しいModifierで既存のUIに組み込めます。対象端末はPixel Watch 3以降ですが、フレームワークは他メーカーにも開放されています。