SwitchBotが、ベルリンで開幕した家電見本市IFA 2026に合わせてスマートロックの新モデル「SwitchBot Lock Ultra Max」を発表しました。ドアの外側の見た目を変えずに既存の錠前へ後付けするタイプで、外側リーダー「Keypad Vision Pro」とハブを組み合わせたセット「Lock Ultra Max Vision Pro Combo」が339.99ユーロ(約6万3,000円)です。欧州と英国の公式サイトで9月3日に予約が始まりました。

シリンダーを交換せずに付け替える後付け型

Lock Ultra Maxは、ドアの内側に取り付けて既存のサムターンを回すタイプのスマートロックです。シリンダーの交換も穴あけも不要で、EUプロファイル、UKオーバル、スイスラウンド、ナイトラッチといった欧州で一般的な錠前の形式に対応します。合わない場合は別売のアダプターで対応する構成です。

本体はアルミ合金とPC/ABS樹脂を組み合わせた作りで、サイズは122×62.6×66.8mm、重さは391gです。縦に溝を刻んだ円筒形の外観に、台座との段差を無くしたベースリングを組み合わせており、後付け感を減らす狙いが見て取れます。接続はBluetooth 4.2以降、動作温度は-10度から45度までとされています。

モーターを一新して解錠1.1秒、静音モードは56.3dBA

駆動系にはUltraDriveと名付けたブラシレスモーターを採用しました。回転数は最大160rpmで、前世代のLock Ultraに対して約3倍の速さです。高速モードでは最短1.1秒で解錠が完了します。

一方で速さは動作音と引き換えになりがちです。そこで静音モードが用意されており、こちらは56.3dBAまで音を落とします。時間帯で自動的に切り替わるナイトモードもあるため、早朝や深夜だけ静かに動かすといった使い分けができます。加えて、回転量を減らして施解錠を素早く済ませるPartially-Lock、ドアが完全に閉まったことを磁気センサーで検知してから作動するオートロックも搭載されました。

顔認証と掌静脈で19通りの開け方

外側に取り付けるKeypad Vision Proは、認証方式を大幅に増やしています。家族全員で最大19通りの入り方を使い分けられる構成で、目玉は非接触の2種類です。

1つは3D顔認証です。赤外線の構造化光を使ってミリ単位の立体形状を読み取るため、写真や画面に表示した映像、動画では解錠できないとしています。認証範囲は0.6メートルから0.9メートルで、誤認識率は0.0001パーセント未満という数字が示されています。帽子やサングラス、化粧の有無といった見た目の変化にも追従する設計です。

もう1つが掌静脈認証です。手のひらの内部にある静脈のパターンを近赤外線で読み取る方式で、認証距離は8センチから25センチ。指紋認証が苦手とする濡れた手や汚れた手、乾燥した手でも通りやすく、子どもや高齢者にも使いやすいという位置づけになっています。買い物袋を提げたまま、あるいは子どもを抱えたまま手をかざすだけで開くという場面を想定した機能です。

これらに加えて、指紋、暗証番号、NFCカード、物理キー、音声操作、Apple Watch、スマートフォンアプリからの操作にも対応します。

生体データは端末内で処理、電源は3段構え

生体情報の扱いは、クラウドに送らずデバイス内で完結させる設計です。顔や掌静脈のデータは復元できない特徴量に変換されたうえでローカルに暗号化保存され、通信にはAES-128が使われます。アプリからいつでも削除でき、削除後は復元されません。ネット接続時にSwitchBotのサーバーを経由するのは、機器のMAC情報と制御コマンド、施解錠の実行状態に限られるとしています。SwitchBotはGDPRへの準拠と、情報セキュリティのISO/IEC 27001、プライバシー情報管理のISO/IEC 27701の認証取得も挙げています。

玄関の鍵で最も困るのが電池切れです。本製品は電源を3段構えにして、締め出しを防ぐ設計を採っています。メインは4,200mAhの充電池で、通常使用なら最大9か月もつとされています。これを取り外して充電している間や、使い切ってしまった場合はCR123A電池が自動で引き継ぎ、待機で最大95日、施解錠でおよそ500回分をまかないます。バックアップ電池の電圧も足りなくなると、内蔵のスーパーキャパシタが電池から少しずつ電力を蓄え、次の解錠時に協調して動作させる仕組みです。

Matter対応のハブを同梱

セットに含まれるHub Mini Matter Enabledは、外出先からの遠隔操作を可能にするとともに、Lock Ultra MaxをMatter対応のスマートホーム環境へつなぐ役割を持ちます。Apple HomeやHome Assistantといった環境から状態の確認や自動化に組み込めるため、鍵単体で完結させず、在宅判定や照明の制御と絡めた使い方に広げやすくなります。イベントログでドアが開いているか、閉まっているか、施錠済みかを外から確認することもできます。

価格は、Lock Ultra MaxとKeypad Vision Pro、Hub Mini Matter Enabledを組み合わせたComboが339.99ユーロ(約6万3,000円)、英国では339.99ポンドです。ロック単体のモデルも189.99ユーロ(約3万5,000円)で用意されますが、こちらは発売時期未定の扱いです。保証は2年間で、早期購入者には1年分の延長保証が付きます。

※為替レート(2026年9月時点):1ユーロ=185円

まとめ

SwitchBot Lock Ultra Maxは、シリンダーを交換せずに後付けできる形はそのままに、モーターと認証手段を作り替えたモデルです。最大160rpmのブラシレスモーターで最短1.1秒の解錠、静音モードでは56.3dBAという速さと静けさの両立、3D顔認証と掌静脈認証を含む19通りの開け方、そして充電池とCR123A、スーパーキャパシタによる3段構えの電源が主な特徴になります。生体データを端末内に閉じ込める設計も、玄関という場所を考えると理にかなった判断です。欧州と英国での予約が先行しており、日本での展開については現時点でアナウンスされていません。