ソニーが8月25日、スタンダードモデルのスマートフォン「Xperia 10 VIII」を商品化すると発表しました。画面の最大輝度を従来モデルのXperia 10 VIIから約50パーセント引き上げ、スピーカーの音圧も見直した機種です。決済アプリを電源ボタン2回押しで呼び出す「Point & Payメニュー」も新たに加わりました。カラーはフロストグレー、フローズンホワイト、ミスティライラックの3色で、発売は9月中旬以降を予定しています。

屋外での見やすさを最優先に置いた画面

今回の刷新でソニーが最初に挙げているのが、ディスプレイの明るさです。最大輝度は従来モデルのXperia 10 VIIと比べて約50パーセント向上しました。数字だけを見ると地味な改良に映るかもしれませんが、スタンダードモデルの画面が一番つらくなるのは、真夏の日中に屋外で地図を開いたときのような場面です。ここで表示が白く飛んでしまうかどうかは、スペック表の見栄えよりも日々の満足度に効いてきます。

加えて、周囲の明るさに応じて画面の色を自動で調整する仕組みも備えました。輝度だけを上げると色が浅く見えてしまうため、明るさと色味の両方を環境に合わせて動かす、という考え方です。上位機のような有機ELの派手さを競うのではなく、見づらい状況を減らす方向に手を入れた改良と言えます。

スピーカーは音圧が約15パーセント、低域は30パーセント以上

音まわりも手が入りました。スピーカーの構成と音質のチューニングを刷新し、全体の音圧は従来モデル比で約15パーセント、低域の音圧は30パーセント以上向上しています。

Xperiaの中位機は以前から前面ステレオスピーカーを特徴にしてきましたが、今回は「静かな部屋でいい音を鳴らす」よりも、キッチンやリビングのように生活音が混ざる場所で聞き取れるかどうかを想定した説明になっています。イヤホンを付けずに動画を流しっぱなしにする使い方が定着していることを踏まえた調整でしょう。低域の押し上げ幅が全体より大きいのも、小さな筐体では真っ先に痩せてしまう帯域を補う狙いだと読み取れます。

電源ボタン2回押しで決済アプリを開く「Point & Payメニュー」

新機能として搭載されたのが「Point & Payメニュー」です。電源ボタンを2回押すと、決済アプリやポイントサービスなど、よく使うアプリを呼び出してすぐに使えます。

レジの前でホーム画面を探し、アプリを開き、コードを表示するまでの数秒は、後ろに人が並んでいると想像以上に長く感じます。片手だけで完結する導線を用意したのは、支払い方法がQRコードとタッチ決済に分散した日本の状況をよく見ている追加機能です。カメラ起動のショートカットのように、ボタン操作へ機能を割り当てる発想そのものは目新しくありませんが、割り当て先を決済に振ったところが今回の判断になります。

2日持ちのバッテリーと最大6GBの仮想RAM

電池まわりは、ソニーの想定するユーザー標準の使い方で2日持つとされる大容量バッテリーを搭載します。あわせて、4年後も劣化しにくい長寿命設計をうたっています。1回の充電で2日という数字よりも、買い替えまでの期間に容量がどれだけ残るかを前に出しているのが特徴です。

メモリは8GB RAMに加え、最大6GBの仮想RAMに対応しました。ストレージの一部をメモリとして使う仕組みで、実装メモリを増やさずにアプリの切り替えを滑らかにする狙いです。実メモリと同じ速度が出るわけではないため過度な期待は禁物ですが、ミドルレンジでアプリを何本も行き来したときの引っかかりを減らす助けにはなります。

半透明の層をコンセプトにしたデザイン

デザインは、半透明の層(Translucent Layer)をコンセプトに据えました。リアパネルには透明素材とマットクリアコートを組み合わせ、透けるような軽やかな質感に仕上げています。フロストグレー、フローズンホワイト、ミスティライラックという3色の名前も、彩度を抑えた質感重視の方向でそろえられています。

別売の関連アクセサリーとして、専用カバー「Style Cover for Xperia 10 VIII(XQZ-CBGH)」も用意されました。色付きの乳白色の樹脂にマットコーティングを施し、本体の質感と合わせたデザインです。縦置きと横置きの両方に対応するスタンドを備えており、画面の見やすさと音の改良を打ち出した本体の性格に合わせたつくりになっています。

価格と発売時期は事業者ごとの発表待ち

ソニーは、端末の仕様、発売時期、本体価格、展開カラーが国や地域、取り扱い事業者によって異なるとしています。国内向けの価格や、どのキャリアが取り扱うかは、それぞれの事業者からあらためて発表される見込みです。

Xperia 10シリーズは、価格を抑えつつ長く使える1台という位置づけで支持を集めてきた系譜です。今回のように画面と音という体感に直結する部分だけを狙って底上げしてきた場合、最終的な評価は本体価格でほぼ決まります。数字の伸び幅そのものより、それがいくらで手に入るのかが次の焦点になります。

まとめ

Xperia 10 VIIIは、最大輝度を約50パーセント、スピーカーの音圧を約15パーセント引き上げ、決済アプリを素早く開く「Point & Payメニュー」を加えたスタンダードモデルです。プロセッサーの世代交代やカメラの刷新を前面に出すのではなく、屋外での見やすさ、生活音の中での聞き取りやすさ、支払い時の手間といった日常の摩擦を削る方向に絞ってきました。発売は9月中旬以降の予定で、価格と取り扱い事業者の発表が次の判断材料になります。