ソニーが、重低音を売りにする ULT POWER SOUND シリーズの新機種としてワイヤレスポータブルスピーカー「ULT TOWER 7」(型番 SRS-ULT700)を9月18日に発売します。市場推定価格は85,000円前後。直径約280mmの新開発円形ウーファーと最大420Wの出力を組み合わせ、家庭での音楽鑑賞からDJプレイ、簡易的なPA用途までを1台でこなす設計になっています。

円形ウーファーで低音の出し方を作り直した

このクラスのパーティースピーカーは、細長い筐体に合わせて楕円形のウーファーを積むのが定番でした。ULT TOWER 7 が変えたのはそこです。直径約280mmの円形ウーファーを新開発し、重低音の再生に有利な形状へ戻しています。

構成は3wayです。円形ウーファーに、約120mm径のミッドレンジ2基、前面に50mm径のトゥイーター2基、背面に40mm径のトゥイーター2基を組み合わせています。低域の音圧を稼ぐ ULT DUCT も引き続き搭載され、アンプの最大出力は420Wに達します。低音を厚くすると中高域が埋もれがちですが、ミッドレンジとトゥイーターを別立てにしたことで、ボーカルの輪郭を残す方向に振ったつくりだと言えます。

サウンドの設計にあたっては、グラミー賞にノミネートされた経験を持つプロデューサーのドット・ダ・ジーニアス氏をはじめ、ヒップホップの現場で活動する複数のサウンドクリエイターからフィードバックを得たとしています。シリーズとしては初の試みです。

モードは4つ、鳴らす方向は360度

本体正面の ULT ボタンで音の性格を切り替えます。従来からある、深い低域を強調する ULT1 と、よりパワフルな音圧が出る ULT2 に加えて、今回は原音に忠実な FLAT と、ライブ会場のような広がりを狙った LIVE が加わりました。ただし LIVE は工場出荷時にボタンへ割り当てられておらず、アプリの Sony Sound Connect から任意で割り当てる形になります。

同アプリでは10バンドのイコライザーによる調整もでき、コーデックは SBC、AAC に加えて LDAC に対応します。

再生の方向についても、前後に振り分けた4基のトゥイーターにより、前方だけでなく背面側にも同じように音を届ける360°パーティーサウンドに対応しました。加えて音場最適化機能が働き、壁際や部屋の角のように低音が過剰に膨らみやすい場所では中高域を補正して、ボーカルの明瞭度を保つとしています。縦置きと横置きのどちらでも、設置方向に応じて自動で補正が入ります。

演出面では BEAT、WAVE、MELLOW の3つのライティングモードを用意しました。本体の LIGHT ボタンで切り替えられるほか、アプリから色のカスタマイズも可能です。

XLRとRCAを載せて、業務用途に足を伸ばした

今回のモデルで用途が広がったのは入力まわりです。XLR と RCA を新たに搭載し、DJ機器などの外部音響機器と直結できるようになりました。マイク入力端子も備えるため、店頭イベントや講演、社内行事のアナウンスといった簡易PA的な使い方に対応します。エコーやキー変更も用意されているので、カラオケ用途もそのまま守備範囲です。USB-C 端子も新たに加わり、音楽再生とスマートフォンへの給電に使えます。

複数台での運用も想定されています。新搭載の Party Chain 機能は Auracast のブロードキャストを利用するもので、対応するソニー製スピーカーを最大100台まで無線でつなぎ、音楽とライティングを同期できます。2台をステレオで組む使い方も可能です。

22.8kgをどう運ぶか

スペック上で最も現実的な論点は重さでしょう。本体は約421×347×710mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約22.8kg あります。片手でひょいと持てる機材ではありません。

そのため筐体の四隅にキャリーハンドルを配置し、上下のハンドルを持って2人以上で持ち上げられるようにしています。移動用のホイールはサイズと幅を広げ、凹凸のある路面でも安定して転がせるようにしました。ソニーはこの点について、現行機の SRS-XV800 との比較で改善したと説明しています。

電源のない場所でも使えるよう、内蔵バッテリーで最大約30時間の連続再生に対応します。10分の充電で約180分再生できる急速充電も備えるため、イベント前に電池残量を見落としても復帰の余地はあります。縦置き時は IPX4 相当の防滴性能を持ち、屋外での使用も想定されています。

なお、スピーカー本体に使われているプラスチックのうち約20パーセントには再生プラスチックが使われています。

発売前から店頭で触れる

ULT TOWER 7 は、ソニーストアの銀座、札幌、名古屋、大阪、福岡天神の5拠点で9月2日から展示が始まっています。22.8kg という重量と、ULT1 から LIVE までの音の違いは数値では判断しづらいところなので、購入を検討しているなら発売前に一度実機を鳴らしておく価値はありそうです。

またソニーは ULT POWER SOUND シリーズの取り組みとして Red Bull とパートナーシップを結び、1対1のダンスバトルイベント Red Bull Dance Your Style 2026 を支援します。2026年9月に米国で行われる全米決勝と、10月にスイスで開催される世界決勝が対象です。

まとめ

ULT TOWER 7 は、直径約280mmの新開発円形ウーファーと最大420Wのアンプを軸に、低音の量感とボーカルの明瞭さを両立させにいったタワー型のワイヤレススピーカーです。FLAT と LIVE の追加で音の選択肢が増え、XLR と RCA の搭載によって簡易PAやDJ用途にも踏み込みました。約22.8kg という重量は据え置きの機材に近い性格を持ちますが、四隅のハンドルと大型ホイール、約30時間のバッテリーで移動前提の運用も成立させています。発売は9月18日、市場推定価格は85,000円前後です。