RayNeoが、スマートグラス「RayNeo iO」を9月4日に発売します。同じカテゴリーの製品がこぞってカメラを積むなかで、この機種はあえてカメラを載せていません。重さは34g、標準的な使い方なら約48時間動き、55言語のリアルタイム翻訳と1日ぶんの会話記録をこなします。表示部を消せば見た目はほとんど普通のメガネです。

カメラを外したことが、そのまま製品の説明になっている

スマートグラスの話題はここ数年、レンズの横に付いたカメラをどう受け止めるかという議論とセットで語られてきました。撮られる側の同意をどう取るのか、飲食店やオフィスに着けて入っていいのか。便利さの裏に必ずその質問が付いてきます。

RayNeo iOはその質問自体を消しにいった製品です。設計段階からプライバシーを織り込む「Privacy by Design」の考え方に沿って開発され、カメラは最初から搭載されていません。データを送ったり保存したりする際には暗号化を施し、個人情報は誰のものか分からない形に加工されます。GDPRやISO 27001といったセキュリティ規格への準拠と認証も取得済みです。

カメラが無ければ視覚情報を使ったAI機能は当然使えません。目の前の看板を翻訳する、料理を見せてカロリーを聞く、といった芸当は諦めることになります。それでも「会議室に着けて入っても誰にも気を遣わせない」という一点を取ったわけで、割り切りとしては筋が通っています。日常的に着けっぱなしにする道具を目指すなら、機能の多さより着けていられるかどうかが先に来る、という判断でしょう。

マグネシウム合金とチタンで34gに収めた

形はクラウンパント型で、丸みのある一般的なメガネのシルエットです。フロントフレームにAZ91Dマグネシウムアルミニウム合金、テンプルにチタン合金を使い、全体で34gに抑えました。IP54規格の防塵防滴に対応するので、多少の水しぶきなら問題ありません。

見た目の点でよくできているのがディスプレイ部の透過率です。表示領域で93パーセント、非表示領域では98パーセントに達し、画面を消している間はレンズの向こう側がほぼそのまま見えます。スマートグラスは「着けていることが分かる」だけで敬遠されがちな製品なので、ここに数字を出してきたのは分かりやすい訴求だと思います。

手を上げずに操作する仕組み

操作系は3種類あります。中心になるのはフレーム上部に置かれた物理ダイヤル「Smart Crown」で、指先で回したりクリックしたりして機能を切り替えます。加えて頭部を動かすジェスチャーと音声入力にも対応します。

画面に触れて操作する必要がないので、会話の流れや視線を止めずに済むという設計です。専用のダッシュボードは目線を上に移すだけで確認でき、予定や天気、通知がカード形式で並びます。スマートフォンをポケットから出す動作が要らなくなる、という程度の話ではありますが、その動作こそが会話を途切れさせている場面は思い当たるはずです。

搭載する生成AIはQwenやDeepSeekなどから選べます。会話の最中に出てきた疑問をAIが自動で拾って回答を表示する機能もあり、調べ物のために話を止めなくてよくなります。

55言語の翻訳と、18時間ぶんの記録

多言語機能は55言語と109アクセントに対応するリアルタイム翻訳です。アクセントの数を明記しているあたり、同じ英語でも話者によって認識精度が落ちる問題を意識した作りだと読み取れます。

音声を拾う側は、4つのマイクを並べたアレイと骨伝導マイクの併用です。誰がどちらから話しているかを判別し、認識の精度を上げます。話す速さに合わせて原稿が自動でスクロールするテレプロンプター機能も入っていて、こちらは登壇や配信を想定した機能でしょう。

記録系では、1日の会話やアイデアを低消費電力で連続記録できます。連続記録時間は最大18時間、連続翻訳時間は6.2時間です。バッテリー容量は240mAhと控えめですが、標準的な使い方で約48時間動くとされています。表示や撮影に電力を持っていかれない構成だからこその数字と言えます。接続はBluetooth 5.4で、AppleのMFi認証も取得しています。

中国では2,499元、日本の価格は未発表

カラーは極夜黒(ポーラーブラック)と沙丘棕(デューンブラウン)の2色展開です。

価格は中国向けモデルが2,499元(約5万9,000円)、充電ケースとのセットが2,798元(約6万6,000円)と公表されています。日本を含むグローバル向けの価格は発表されていません。RayNeoの公式サイトではメールアドレスを登録すると早割価格からさらに5,000円引きになるキャンペーンが行われているので、価格が気になる人は先に登録しておくと動きやすいと思います。

※1元=23.7円換算(2026年8月24日時点)

まとめ

RayNeo iOは、カメラを外すことで着けっぱなしにできる状態を優先したスマートグラスです。34gの軽さ、93パーセントの表示領域透過率、約48時間のバッテリーという数字は、いずれも「日常に置いても浮かない」方向にそろっています。55言語の翻訳や連続記録といった機能は音声だけで完結する範囲に絞られていますが、視覚AIを捨てた代わりに得たものが何なのかは、9月4日以降の実機の評価ではっきりしてくるはずです。