Qualcomm が、ミッドレンジ向けの新しいモバイル向けSoC(システム・オン・チップ)「Snapdragon 4 Gen 5」と「Snapdragon 6 Gen 5」を正式発表しました[1]。どちらもGPU(画像処理半導体)の強化を軸に、ゲーム性能とカメラ、AI処理を底上げしつつ、省電力とバッテリー持ちの改善も両立させたチップです[1]。エントリーから中価格帯のスマートフォンを狙った世代交代で、上位機向けの機能が一段下のクラスへ降りてきた点が見どころです。

ミッドレンジに広がるフラッグシップ級機能

今回発表された2つのチップは、いずれもグラフィックス性能の向上に重点を置いています[1]。Qualcomm は、エントリー層から中価格帯のスマートフォンを選ぶ利用者が実感しやすい部分、つまりゲーム、カメラ、AIの体験を引き上げることを狙ったと説明しています[1]。

加えて、両チップとも電力効率とバッテリー駆動時間の改善を優先しているのが特徴です[1]。高い性能を求めると消費電力が増えがちなミッドレンジ帯において、効率を重視した設計はそのまま使い勝手の良さにつながります。

Snapdragon 4 Gen 5、初の90fpsゲームに対応

普及価格帯を担う「Snapdragon 4 Gen 5」は、ゲームとグラフィックス性能の強化が中心です[1]。Snapdragon 4 シリーズとして初めて、90fps(1秒あたり90コマ)のゲームプレイに対応しました[1]。GPUは前世代の Snapdragon 4 Gen 4 と比べて、Adreno GPU の性能が77パーセント向上しています[1]。

日常的な動作も底上げされており、Qualcomm はアプリの起動が43パーセント高速になり、画面のカクつきが25パーセント減ったとうたっています[1]。さらに電力効率が10パーセント改善したことで、動画のストリーミング再生を1時間ほど長く楽しめるとしています[1]。

通信面では、Release 17 の5Gに対応したほか、Snapdragon 4 シリーズで初めて Dual SIM Dual Active(2枚のSIMを同時に待ち受けし、より良い回線へ自動で接続する機能)を搭載しました[1]。CPUの構成は、2.4GHzの高性能コア2基と2.0GHzの高効率コア6基です[1]。無線LANは Wi-Fi 5 までの対応にとどまりますが、音声まわりでは aptX Adaptive(高音質なワイヤレス音声コーデック)に対応し、96kHzのロスレス音楽再生が可能です[1]。

Snapdragon 6 Gen 5、Wi-Fi 7とAIカメラを搭載

一段上の「Snapdragon 6 Gen 5」は、処理性能、カメラ、通信のいずれもより高い水準に引き上げられています[1]。CPUは2.6GHzの高性能コア4基と2.0GHzの高効率コア4基で構成され、製造プロセスには4nm(ナノメートル)世代を採用します[1]。GPU性能は前世代の Snapdragon 6 Gen 4 と比べて21パーセント向上しました[1]。

ゲーム面では、描き込みが激しい場面に処理能力を回す Qualcomm Adaptive Performance Engine 4.0 を採用したほか、低い解像度の映像を引き上げてバッテリーを節約する Game Super Resolution や、フレームレートを安定させる Frames Per Second 3.0 といった機能を備えます[1]。日常利用ではバッテリー駆動時間が8パーセント延び、動画再生で2時間分の余裕が生まれるほか、アプリの起動が20パーセント速くなり、画面のカクつきは18パーセント減っています[1]。Snapdragon 6 Gen 5 の改善幅が Snapdragon 4 Gen 5 より控えめなのは、6番台がもともと高い完成度にあったためです[1]。

カメラでは、AIで暗所の写真や動画を補正する Intelligent Night Vision に対応しました[1]。通信面はさらに充実しており、Wi-Fi 7、Bluetooth 6、Release 17 の5Gをサポートします[1]。上り通信と下り通信が帯域を奪い合わないようにする FDD(周波数分割複信)も採用し、Qualcomm はこれをフラッグシップ級の接続性能だと位置づけています[1]。なお、Wi-Fi を介して高音質オーディオを伝送する独自技術 XPAN にも初めて対応しましたが、対応機器の普及はこれからの段階です[1]。

搭載スマホは Honor や OPPO から

Qualcomm によると、Snapdragon 4 Gen 5 は OPPO、realme、Redmi のスマートフォンに、Snapdragon 6 Gen 5 は Honor と Redmi のスマートフォンに、まず採用される見込みです[1]。ただし、具体的な発売時期は明らかにされていません[1]。

近年はフラッグシップ機の進化が落ち着く一方で、ミッドレンジ帯の底上げが続いています。90fpsゲームや Wi-Fi 7、AIによるカメラ補正といった機能が手頃な価格帯にも広がれば、買い替えの選択肢はさらに豊かになりそうです。

まとめ

Qualcomm が発表した Snapdragon 4 Gen 5 と Snapdragon 6 Gen 5 は、ゲームとカメラ、通信を中心に強化したミッドレンジ向けのチップです。Snapdragon 4 Gen 5 はシリーズ初の90fpsゲームに対応し、Snapdragon 6 Gen 5 は Wi-Fi 7 やAIカメラ補正などフラッグシップ級の機能を取り込みました。OPPO や Honor などの採用が予告されており、これからの中価格帯スマートフォンの実力を占う一手といえます。