AI議事録デバイスを手がけるPlaudが、完全ワイヤレスイヤホン「Plaud One」を発表しました。特徴は充電ケースにあります。4基のマイクとスピーカー、eSIMによる4G LTE接続を内蔵し、イヤホンを取り出したあとのケース単体で最長25時間の録音ができます。まずは世界2,000台限定の「Explorer Edition」として249.99ドル(約3万9,000円)で先行販売され、出荷は2026年内の予定です。

充電ケースが単体で動く録音機になる

Plaudはこれまで、スマートフォンに貼り付けるカード型の「Plaud Note」や、襟元に留める「NotePin」といった録音デバイスを出してきました。いずれも音を取り込む役割に徹し、文字起こしと要約はスマートフォン側のアプリとクラウドが担う構成です。Plaud Oneはこの分担を変えます。

新しい充電ケースには、AIビームフォーミングに対応した4基のMEMSマイクが並びます。公称の集音範囲は約16.4フィート、メートルに直すとおよそ5mです。会議室のテーブルに置けば、離れた席の発言まで拾える距離感になります。加えて、ケースの側面には録音ボタンと、AIに話しかけるためのエージェントボタン、そしてスピーカーが用意されました。イヤホンを耳から外してケースを机に置く行為が、そのまま独立した録音機を起動する操作になるわけです。

もう1つの変更点が通信です。ケースにはeSIMが組み込まれ、4G LTEで直接ネットワークにつながります。スマートフォンやWi-Fiを介さずにクラウドへ音声を送れるため、端末を鞄に入れたままでも記録と処理が止まりません。ケースの内蔵電池は830mAhで、待機状態なら最長21日、連続録音なら最長25時間持つとされています。充電はUSB-Cで、10分の充電で約2時間ぶんを補える急速充電にも対応します。ケースの重さは2.20オンス、およそ62gです。

イヤホン側は3マイク構成、ANCは最大40dB

イヤホン本体も録音を前提とした設計です。左右それぞれに3基のMEMSマイクと、音声処理に特化したVPU(Voice Processing Unit)を1基備え、通話やオンライン会議の音声を捉えます。イヤホン側の集音範囲は約6.6フィート、およそ2mです。

音楽再生用の仕様も一通り揃っています。ドライバーは12mm径のダイナミック型で、再生周波数帯域は20Hzから20kHz。ノイズキャンセリングは環境に合わせて効きが変わるアダプティブ方式で、ハイブリッド構成により最大40dBの低減をうたいます。外音取り込みモードも用意され、コーデックはSBCとLDACに対応します。イコライザーはバランス、低音強調、ボーカルの3種類です。

接続はBluetooth 5.4で、2台までのマルチポイント接続に対応します。AppleのFind Myネットワークで探せる点も、小さなデバイスとしては実用的です。装着形状はカナル型ではなくハーフインイヤー型で、色は白の1色。イヤホン単体の重さは片側0.16オンス、約4.5gにとどまります。

電池持ちは、ノイズキャンセリングを切った状態で最長6時間、有効時で4.5時間の再生が可能です。ケースを併用した合計では最長36時間になります。録音についてはイヤホン単体で最長6時間、ケース側で最長25時間という数字が示されています。

記録した内容を作業に流し込む

Plaudがこの製品で押し出しているのは、録音そのものではなく、そのあとの処理です。エージェントボタンを押して話しかけると、AIが応答し、会議の内容から議事メモやスライド、メールの下書きを組み立てます。

連携先として公式に挙がっているのは、Gmail、Google ドライブ、Google カレンダー、Slack、Notionです。加えて、MCP(Model Context Protocol)に対応したサービスであれば接続できるとしており、対応範囲を規格側に委ねる作りになっています。会議が終わった直後にNotionへ議事録が置かれていたり、フォローアップのメール下書きがGmailに用意されていたりする状態を想定した設計です。

なお、Explorer Editionには文字起こし300分ぶんのスタータープランと、AI機能に使えるPlaudクレジット200ドル(約3万1,000円)ぶんが同梱されます。逆に言えば、AI処理の利用量が増えれば追加の費用が発生する構造でもあります。ハードウェアの価格だけで運用コストが決まらない点は、購入前に押さえておきたいところです。

※為替レート(2026年9月5日時点):1米ドル=156円、1ユーロ=182円

価格と入手性、日本での扱い

Explorer Editionの価格は249.99ドル、欧州では249.90ユーロ(約4万5,000円)です。世界で2,000台という限定数が設定されており、Plaudは早期の利用者から使われ方を集めたうえで、一般向けモデルを2027年に投入する構えを示しています。出荷は2026年第4四半期の予定です。

ただし、先行予約の枠はすでに埋まっています。9月6日時点でPlaudの公式製品ページは在庫切れの表示に切り替わり、予約受付は終了、再開時の通知を受け取るための順番待ちリストへの登録案内が出ています。IFA 2026の会場で実機を見て購入を考えた人も、次の機会を待つ形になります。

日本国内での販売や技術基準適合証明の取得、国内キャリアのネットワークでeSIMが使えるかどうかについては、現時点で発表がありません。4G通信を内蔵する製品である以上、国内で使うには電波法上の手続きが前提になります。Plaud Noteシリーズが日本でも流通していることを踏まえると将来的な展開は考えられますが、現状では未定と見ておくのが妥当です。

まとめ

Plaud Oneは、充電ケースにマイク4基とスピーカー、eSIMによる4G接続を詰め込み、イヤホンを外したあとも単体で最長25時間録音できるAIデバイスです。イヤホン側も片側3マイクとVPUを備え、最大40dBのノイズキャンセリングやLDACに対応します。記録した内容はGmail、Slack、NotionなどにAIが直接書き出す形で連携します。価格は249.99ドル、世界2,000台限定のExplorer Editionは9月6日時点で予約受付を終了しており、一般向けモデルは2027年の予定です。日本での取り扱いは未発表です。