OpenAIが8月4日、ChatGPT WorkとCodex向けに教育用のプラグインを3種類公開しました。対象はK-12(幼稚園から高校まで)の教員、大学教員、大学生の3者で、いずれもChatGPT EduとChatGPT for Teachersの学区向け導入から利用できます[1]。手元の教材や日程を読み込ませたうえで、授業設計や学習計画といったまとまった作業を任せられるのが特徴です。

3つのプラグインが受け持つ範囲

今回追加されたのは、K-12教員向け、大学教員向け、大学生向けの3つです。共通しているのは、利用者がすでに使っている資料やツール、たとえば文書や教材、カレンダー、学校が承認済みのアプリに接続し、そこから文脈を読み取って作業を進める点にあります[1]。

K-12教員向けは、授業の計画と教材作成が主戦場です。習熟度に応じて教材を作り分けたり、説明用の図版を用意したり、クラスの状況から次の一手を洗い出したりする用途が想定されています。実際にK-12の教員と一緒に開発されたもので、非営利団体のLearning Commonsと連携し、地域ごとの学習指導基準や履修体系に沿った教材を作れるようになっています。ただし指導方針の決定や採点、エージェントが実際に手を動かす操作の可否は教員側に残る設計です[1]。

大学教員向けは、シラバスの更新、インタラクティブなウェブページやマルチメディア課題の作成、多様な学生に合わせた教材の作り替え、LMS(学習管理システム)へ配布する形へのパッケージングまでを扱います。カレンダーや文書がつながっていれば、授業と研究と日常業務をまたいでも、そのつど前提を説明し直さずに済むとしています[1]。

大学生向けは、学習支援そのものに寄っています。手引き役のチューターと対話しながら、つまずいた概念を反復し、自分で選んだ資料から学習ガイドやクイズ、フラッシュカード、図解を作る流れです。専攻も地域もAIの習熟度もばらばらな学生を想定して設計され、学習科学の知見を踏まえて、丸暗記ではなく理解の深さと学習習慣を優先するとされています[1]。

プラグインという単位が7月に入れ替わっていた

ここで言うプラグインは、アプリ、役割ごとのスキル、指示文、よく使う手順をひとまとめにしたパッケージを指します。利用者が複雑なプロンプトを自分で組み立てなくても、すぐ使い始められるようにするのが狙いです[1]。

この単位自体は、7月9日にOpenAIがアプリディレクトリをプラグインディレクトリへ移行したときに前面に出てきたものです。外部のデータや操作につなぐ実体はこれまでどおりアプリで、プラグインはその上に手順やスキルをかぶせて、ワークフローごと有効化しやすくする容器にあたります[2]。

学校や大学にとって重要なのは、管理側の制御がそのまま効く点です。ワークスペース設定のプラグイン画面で、役割ごとに「利用可能」にするか自動で「インストール済み」にするかを選べます。プラグインが必要とするアプリの権限、読み取り専用にとどめるか書き込みまで許すか、実行前に確認を挟むかといった設定は既存のアプリ側の管理を引き継ぐ形です[2]。ChatGPT側でアプリを承認しても、接続先システムでその利用者が持っていない権限までは開かれません[2]。

「使える幅」と「実際の使い方」の開き

OpenAIが今回のプラグインを出す背景として挙げたのが、能力と使いこなしのずれです。18歳から24歳の若年層で、毎週ChatGPTを使う人は2億人を超えています。数の上では主要な利用者層ですが、大学生世代のなかでは、AIができることと実際にやらせていることの差が世界的に広がっているといいます[1]。

具体的な数字も示されています。学生のうち使い込んでいる層でさえ、パワーユーザーと比べるとChatGPTの機能を活用する度合いはおよそ90から99パーセント低いというものです。裏を返せば、伸ばせる余地がそれだけ残っているという整理になります[1]。

その差を埋めるのが、環境を整えた形での提供だという主張です。ChatGPT Eduを導入した現場では、学生の使い方が時間とともに高度になり、無料利用者をほぼすべての能力で上回り、特に分析、計算、学習の領域でパワーユーザーの振る舞いに近づいていくとしています[1]。導入実績としては、テキサス州のHouston ISD、バージニア州のFairfax、ジョージア州のFultonといった学区に加え、ペンシルベニア大学ウォートン校、テキサス大学オースティン校、カリフォルニア州立大学システムなど数百のキャンパスが挙げられています[1]。

プラグインの外側に置かれた仕掛け

今回の発表は、機能追加だけで完結していません。周辺のプログラムがいくつか同時に動いています[1]。

大学生向けには、学生主導のコミュニティ「OpenAI Student Collective」が用意され、各キャンパスで旗振り役となるCampus Leadsの応募受付が始まりました。Handshakeのような就職プラットフォームとの連携を通じて、身につけた実践的なスキルをインターンや初期キャリアにつなげる導線も想定されています。

K-12側では、Walton Family Foundationと組んだOpenAI Academyが、米国8都市で1,600人を超える教員、管理職、学区のリーダーを集め、対面のワークショップを無料で開いています。教員の育成では、American Federation of Teachers(AFT)との連携を土台に、National Academy for AI Instructionの創設パートナーとして、5年で40万人のK-12教員、米国の教員のおよそ10人に1人に相当する規模へ研修を届ける計画が進行中です。

国単位の取り組みもあります。エストニアではChatGPT Eduが2万人以上の学生と4,600人の教員に届いており、タルトゥ大学とスタンフォード大学による長期の追跡研究が並走しています。研究者向けには、対象となる研究者にPro相当のアクセスを12カ月無償提供する「ChatGPT for Academic Researchers」も始まりました。

まとめ

OpenAIは8月4日、K-12教員、大学教員、大学生の3者を対象とした教育向けプラグインをChatGPT WorkとCodexに追加しました。ChatGPT EduとChatGPT for Teachersの学区向け導入から利用でき、教材や課題、学習ガイドの作成を手元の資料と文脈に沿って任せられます。背景には、18歳から24歳の週間利用者が2億人を超える一方で、学生の使い込み層でもパワーユーザーより90から99パーセント低い活用度にとどまるという開きがあります。管理側の権限設定は既存のアプリ管理を引き継ぐため、学校側が範囲を絞ったまま展開できる構成です。

[1] 出典: https://openai.com/index/learn-teach-chatgpt-work-codex

[2] 出典: https://help.openai.com/en/articles/20001256-plugins-in-chatgpt-and-codex