OpenAIが、ChatGPTの使われ方を国ごとに集計したデータを初めて公開しました。仕事の場面では、質問して答えを得るよりも、文章作成やコーディング、分析といった作業そのものを任せる使い方が2倍以上多いという結果です。地域別ではラテンアメリカやアフリカ、オセアニアの伸びが目立ち、利用者の年齢層も35歳以上へ広がっています[1]。
職場では「聞く」より「やらせる」が主役
今回の集計でOpenAIが最初に挙げたのが、仕事とそれ以外での使い方の違いです。職場では、文章の編集やコーディング、分析のように成果物を出させたり作業を実行させたりする使い方が、仕事以外の場面と比べて2倍以上多くなっています[1]。
一方、仕事を離れた場面では、情報を尋ねたり分かりにくい点を確認したりする探索的な使い方が最も大きな比率を占めたままです[1]。同じサービスでも、腰を据えて作業をこなす道具として使う場面と、調べ物の相手として使う場面がはっきり分かれている、という整理になります。
OpenAI自身も、法人向けの「ChatGPT Work」の展開以降、業務用途での利用が増える傾向が表れていると説明しています[1]。
ラテンアメリカとオセアニアが順位を押し上げた
国別の比較には、1人あたりのメッセージ送信数によるランキングが使われています。数字が小さいほど1人あたりの利用が多いという見方です[2]。
2026年第2四半期のランキングでは、ラテンアメリカ、オセアニア、アフリカの一部で伸び率が他地域を上回りました。国別ではペルー、ウルグアイ、コスタリカの3か国が最も大きく順位を上げています[1]。北米や欧州の利用も伸び続けてはいるものの、1人あたりの普及ペースでは南半球側が追い上げる構図です。
この動きは急に始まったものではありません。第1四半期のまとめでも、ドミニカ共和国やハイチ、メキシコ、タンザニアといった、これまで中心とは見なされてこなかった国々が上位に食い込んでいました[3]。日本もこの時は43位から35位へ8つ順位を上げ、上昇幅の大きい10か国に入っています[3]。
マルチメディア利用が7.8パーセントまで拡大
利用目的の内訳で最も伸びているのが、画像などのマルチメディアに関わる使い方です。2026年4月のChatGPT Images 2.0の公開以降、世界全体のメッセージに占める比率は7.8パーセントまで上がりました[1]。
比率としては、実用的なアドバイスや文章作成、情報収集といった主要な用途にはまだ届きません。それでも年初から一貫して右肩上がりが続いており、ブラジルやコロンビアでは10通に1通以上がマルチメディア関連に分類されています[1]。画像を作る、読み取る、探すといった操作が、テキストのやり取りと並ぶ日常的な使い方になりつつあるということです。
35歳以上が存在感を強めている
年齢層の変化もはっきり出ています。35歳を超える利用者が送ったメッセージの割合は、ほぼすべての国で上昇し、全体では1年前より5パーセント分高くなりました[1]。
国別に見ると、欧州での伸びが際立ちます。フランスとチェコでは、35歳以上が送ったメッセージの比率が1年で10ポイント以上増えました。欧州のおよそ4分の3の国が平均を上回る伸びを示した一方、シンガポールなど東南アジアの一部では逆の動きになっています[1]。同地域では8か国中6か国で比率が上がったものの、上げ幅はわずかにとどまりました[1]。
数字を読むときの前提
このデータは、OpenAIの経済研究チームが運営する「OpenAI Signals」で公開されており、誰でも閲覧とダウンロードができます[1]。集計対象は2024年7月から2026年6月までに送られたメッセージのサンプルです[2]。
注意したいのは対象範囲です。集計に含まれるのはChatGPTのFree、Go、Plus、Proという個人向けプランのメッセージに限られ、企業や教育機関が管理するアカウント、そしてCodexの利用は入っていません[1][2]。つまり、業務用途や技術的な用途の実態は、実際よりも小さく見積もられている可能性があります。仕事での利用が2倍以上という数字も、あくまで個人プランの中での比較だという前提で読む必要があります。
まとめ
初めて公開された国別データは、ChatGPTが答えを探す道具から作業をこなす道具へ移りつつあること、そして普及の中心が先行組から他地域や上の年齢層へ広がっていることを示しています。マルチメディア利用の7.8パーセントという数字は、画像生成の機能追加が使われ方そのものを変えた例と言えます。ただし個人向けプランに限った集計であるため、企業での実態は別途Enterprise向けのデータで確認するのが妥当です。
[1] https://openai.com/index/how-the-world-is-putting-chatgpt-to-work
