MSIが、携帯型ゲーミングPC「Claw 8 EX AI+」を6月23日に発売しました。Intel Arc G3 Extremeプロセッサーを積んだ世界初の携帯ゲーム機で、8インチの120Hz可変リフレッシュレート液晶や最大32GBメモリー、指紋認証を組み込んだ電源ボタンなどを備えます。直販価格は1,799ドル(約29万円)からで、携帯機としてはかなり高価な部類に入りますが、据え置き機に迫るAAAゲームの動作を売りにした意欲的な一台です。

※1ドル=約163円換算(2026年7月2日時点)

世界初、インテルArc G3 Extremeを積んだ携帯ゲーム機

Claw 8 EX AI+の最大の特徴は、Intel Arc G3 Extremeプロセッサーを採用した点です。これはインテルが携帯ゲーム機向けに最適化した初のプラットフォームで、内蔵GPUには「Intel Arc GPU B390」を組み合わせます。従来この分野で主流だったAMD Z2 Extreme系の端末を、MSIは性能面で大きく上回るとしています。

映像技術では、超解像技術「XeSS 3」と、複数のフレームをAIで生成して補間する「Multi-Frame Generation(MFG)」に対応します。これにより、8インチ画面のリフレッシュレート120Hzを狙いやすくし、負荷の重い大作でも滑らかな描画を実現するとうたっています。より高性能な選択肢としてAMDのAI Max+ 395を積んだ機種もありますが、そうした端末は2,000ドルを超えることが多く、そのなかでは価格を抑えた構成だと言えます。

8型VRR液晶と、作り込まれた操作系

ディスプレイは8インチのFHD+(1920×1200)で、48〜120HzのVRR(可変リフレッシュレート)とタッチ操作に対応します。輝度は500ニト、色域はsRGB100パーセントをカバーし、携帯機としては見やすい画面に仕上がっています。

操作系も刷新されました。グリップはより握りやすい形状に見直され、スティックとトリガーには摩耗に強いホール効果センサーを採用します。バンパーはトリガーと一体感のある配置に改め、方向キーの反応も高めました。振動には新しいリニアモーターを搭載し、応答の速さと質感のある触覚フィードバックを両立させています。電源ボタンには指紋認証センサーを内蔵し、素早いロック解除が可能です。ソフト面ではWindows 11の「Xbox Mode」に対応し、ゲームの起動や中断からの再開をスムーズに行えます。本体色は落ち着いた「Void Purple」の1色展開です。

拡張性と接続まわりも強化

ストレージは、フルサイズのM.2 2280対応NVMe(PCIe Gen4)SSDを搭載できるようになりました。前世代の小型なM.2 2230から変わり、換装や増設がしやすくなっています。microSDカードリーダーも引き続き備えます。

接続端子は、上部にThunderbolt 4を2基備え、いずれもDisplayPort出力とPower Delivery 3.0に対応します。自宅では外付けGPU(eGPU)につないで、より大きな画面で楽しむといった使い方も想定されています。無線はWi-Fi 7とBluetooth 6に対応します。バッテリーは4セル・80Whrで、本体サイズは296〜321×130×25〜48mm、重量は785gです。

価格と立ち位置

Claw 8 EX AI+の直販価格は1,799ドル(約29万円)からで、一部の小売では1,699ドル(約28万円)程度から流通するとされています。家庭用ゲーム機はもちろん、競合の携帯ゲーミングPCと比べても高めの設定です。背景には、AI向けの需要でメモリーなどの部材価格が上昇している事情もあります。純粋なコストパフォーマンスよりも、インテルの新プラットフォームをいち早く体験したい層に向けた製品と位置づけられます。

まとめ

MSI Claw 8 EX AI+は、Intel Arc G3 Extremeを世界で初めて採用した携帯ゲーミングPCです。8インチ120Hz VRR液晶、ホール効果センサーの操作系、フルサイズSSD対応、Thunderbolt 4×2といった構成で、前世代からの正常進化を果たしました。約29万円という価格は決して手軽ではありませんが、携帯機で本格的なAAAゲームを動かしたいユーザーにとって、有力な選択肢のひとつになりそうです。