MINISFORUMが、Intel の最新世代CPUであるCore Ultra X7 358Hを載せたミニPC「M2 PRO-358H」を発表しました。CPU・GPU・NPUを合わせたAI処理性能は最大180TOPS、本体は1.81Lという小ささに135W電源まで内蔵しています。出荷は9月25日の予定で、メモリ32GB・ストレージ1TB SSDの構成が同社直販サイトで税込25万1,999円です。

Panther Lake世代のCore Ultra X7 358Hを搭載

M2 PRO-358Hが積むCore Ultra X7 358Hは、Intelの18Aプロセスで作られるPanther Lake世代のモバイル向けプロセッサーです。16コア16スレッド構成で、キャッシュは18MB、最大ブーストクロックは4.8GHzとなります。

ミニPCというカテゴリーはこれまで、1世代前のモバイル向けCPUを値ごなれしたタイミングで載せる製品が多い印象でしたが、このM2 PROは最新アーキテクチャをかなり早い段階で持ってきた格好です。メモリはLPDDR5X-7467MT/sの32GBがオンボード実装で、増設はできない代わりに帯域を稼ぐ設計になっています。OSはWindows 11 Proがプリインストールされます。

180TOPSの内訳と、ローカルLLMの実測値

AI処理性能の最大180TOPSという数字は、内蔵GPUのIntel Arc B390が122TOPS、NPUが50TOPSという内訳です。Arc B390はXe3コアを12基備え、第2世代のレイトレーシングとXMXアクセラレーション、フレーム生成を伴うXeSS 3に対応します。

面白いのは、MINISFORUMが自社テストの数値を具体的に出している点です。ローカルで動かした場合、gpt-oss-20bで36.24トークン/秒、Gemma 4の26Bクラスのモデルで32.3トークン/秒に達したとしています。20Bクラスのモデルが手元のミニPCで秒間30トークン以上出るなら、文書の要約やコーディング補助を常時ローカルで回す使い方は現実的な射程に入ります。推論の実行環境としてはOpenVINO、Windows ML、DirectML、ONNX Runtime、WebNNへの対応を挙げています。

グラフィックス側の数値も公開されており、3DMark Time Spyのグラフィックステストで7,334点、『サイバーパンク2077』をパフォーマンスモードかつ1080p解像度で動かした際に65fpsを超えたとのことです。動画まわりではH.264・H.265・AV1のハードウェア処理に加えて、H.266(VVC)のデコードにも対応します。

3本のM.2スロットと10GbE、USB4を3基

拡張性はミニPCとしてはかなり厚めです。M.2 2280のNVMe SSDスロットが3基あり、内訳はPCIe 4.0 x4接続が2基とPCIe 4.0 x1接続が1基。1本あたり最大8TBで、合計最大24TBまで構築できます。加えてSDカードスロットも備えるので、カメラの素材を直接読み込む用途にも向きます。

有線LANは10Gbps(Realtek RTL8127)と2.5Gbps(Intel I226-LM)の2系統を独立して搭載します。NASを10GbEで直結しつつ、2.5GbE側は通常のネットワークに逃がす、といった構成が追加のカードなしで組めるわけです。無線はWi-Fi 7(Intel BE211)とBluetooth 6.0に対応します。

映像と汎用の入出力を兼ねるUSB4ポートは3基で、いずれも40GbpsかつDisplayPort 2.1 Altモード対応、15WのPD出力が可能です。背面のUSB4のうち1基は65〜100WのPD入力にも対応します。映像出力はHDMI 2.1 FRL(8K/60Hz、4K/120Hz、CEC対応)とDisplayPort 1.4(4K/144Hz)、そしてUSB4経由の3系統を組み合わせて、最大4画面の同時出力が可能です。このほかフロントにUSB 3.2 Gen 2 Type-Aが2基、背面にUSB 2.0 Type-Aが1基あります。

1.81Lの筐体に135W電源を内蔵、指紋認証とCopilotボタンも

本体サイズは195×195×47.5mmで重量は1.39kg、容積にすると1.81Lです。この中に135W級の電源を内蔵しているため、ミニPCにありがちな大きなACアダプターがデスク下で転がる状況を避けられます。消費電力はパフォーマンスモードの最大負荷時で約80W、アイドル時は6.6Wとされており、常時稼働の用途も想定した数字になっています。

冷却は相変化サーマル素材とデュアルヒートパイプ、独立設計のCPUターボファンの組み合わせで、最大負荷時のCPU温度は79℃未満、SSDは40℃未満に収まるとしています。動作音はバランスモードと静音モードでアイドル時が約29dBA、高負荷時でも約31dBA(50cm地点)、パフォーマンスモードでは43dBAという公表値です。

操作系では、天面にワンクリックで解除できる指紋認証センサー、前面にCopilotボタンとデュアルデジタルマイクを配置しています。ケンジントンロックのスロットもあるため、オフィスでの共用機や貸し出し機としても扱いやすい構成です。設置は横置き・縦置きに加えて、付属ブラケットを使ったモニター背面への取り付けにも対応します。

価格と出荷時期

出荷は9月25日を予定しています。メモリ32GB・ストレージ1TB SSDのモデルが、MINISFORUM日本公式サイトで税込25万1,999円です。通常価格は税込31万4,999円とされており、現時点では6万3,000円引きの価格が提示されています。国内向けには24カ月の製品保証と30日間の返品・返金、国内修理サービスが付きます。

25万円台という価格は、ミニPCとしては明確に上位の部類です。ただ、10GbEとUSB4を3基、M.2を3本という拡張性に、ローカルでLLMを回せるだけのAI性能を足した構成を自作で組もうとすると、そもそも同じ体積に収まりません。省スペースと拡張性を両立させたい人にとっては、値付けの理由が説明できる製品だと言えます。

まとめ

M2 PRO-358Hは、Panther Lake世代のCore Ultra X7 358Hを早期に採用し、GPUとNPUを合わせて180TOPSのAI性能を1.81Lの筐体に押し込んだミニPCです。3本のM.2スロット、10GbEと2.5GbEの2系統有線LAN、USB4×3という拡張性に加えて、135W電源の内蔵と指紋認証・Copilotボタンといった実用面の作り込みも入っています。出荷は9月25日、32GB/1TB構成で税込25万1,999円という価格設定で、ローカルAIとホームラボ的な用途を同時に狙う一台になりそうです。