Lenovoが、NVIDIAのRTX Sparkを採用した個人向けノートPC「Yoga Pro 9n(15型)」と「Yoga 9n 2-in-1(16型)」を発表しました。9400MT/sのユニファイドメモリをPro 9nで最大128GB、2-in-1で最大64GB積み、クラウドに出さずに手元でAIを回す構成です。2-in-1側は有機ELの画面とタッチパッドの両方にペンで書けるという、他社機ではあまり見ない入力方式を備えます。ベルリンのIFA 2026会期中に開かれた自社イベントで、9月3日に公開されました。
Grace CPUを積んだYogaという新顔
まず押さえておきたいのは、この2機種が従来のYogaとは中身の系統が違うという点です。プロセッサーはIntelでもAMDでもなく、NVIDIAのRTX Spark。最大20コアのGrace CPUと最大6,144コアのBlackwell世代RTX GPUを組み合わせ、両者が同じメモリを共有します。
Yoga Pro 9nは9400MT/sのLPDDR5Xを最大128GB、Yoga 9n 2-in-1は最大64GBまで搭載できます。いずれも256ビット幅・16チャネル構成です。CPUとGPUがメモリを分け合うため、大きなモデルを読み込むときにシステムメモリとVRAMの間でデータを往復させる必要がありません。ローカルで動かせるモデルの規模を、VRAM容量ではなくメモリ総量で考えられるようになるわけです。
Lenovoは想定用途として、AI開発、動画編集、3Dレンダリング、ソフトウェア開発を挙げています。Adobe Premiere ProやComfyUI、FLUXやLTXといったローカルモデルの実行を加速するという説明です。加えて、RTXプラットフォーム上に載る以上ゲームも動きます。仕事に使う機材でそのままRTX対応タイトルを遊べる、という点はYogaシリーズとしては新しい訴求です。
画面とタッチパッド、どちらにも書ける
2機種のうち、性格がはっきり分かれているのがYoga 9n 2-in-1です。360度回転するヒンジで、ノート、タブレット、テント、スタンド、キャンバスの5形態に変えられます。ここまでは従来のYogaでもおなじみですが、今回加わったのがデュアルサーフェスペンと呼ぶ入力方式です。
16型のPureSight Pro有機ELディスプレイに直接書き込むか、触覚フィードバックを返すForce Padの上に書くかを、作業に合わせて選べます。イラストのように画面を見ながら描きたいときは前者、タイムラインを細かく送るような操作では手を持ち上げずに済む後者、といった使い分けが想定されています。
対応する「Yoga Pen Gen 2」はAES 3.0に準拠し、傾き検知、パームリジェクション、ボタンのカスタマイズに対応します。ただし注意点として、Force Pad側が受け付けるのはAES 1.0までです。ペン本体の仕様がそのまま両面で使えるわけではありません。マグネット式のペンケースはスタンドを兼ねます。
画面は2880×1800ドットで、リフレッシュレートは30から120Hzの可変。ピーク輝度1,100ニト、sRGBとP3を100パーセントカバーし、色差はデルタEが1未満です。音まわりは6スピーカー構成で、回転するサウンドバーに2つのツイーターを組み込み、どの形態でも前方に向くようにしています。本体は360×243.1×17.5mm、重量1.94kg。バッテリーは99.9Whで、15分の充電で最大3時間ぶんを補えるとしています。
Pro 9nは165Hzの15.3型、冷却は22dB未満
もう一方のYoga Pro 9nは、性能を優先した構成です。15.3型2560×1600ドットのPureSight Pro有機ELで、リフレッシュレートは48から165Hzの可変。色差はデルタEが0.5未満と、2-in-1よりさらに追い込まれています。
厚さは最薄部で16.7mm、重量は1.65kgから。SSDスロットを2基備え、合計で最大4TBまで積めます。バッテリーは92.5Wh、電源アダプターは140Wです。ポート類はHDMI 2.1が8K/60Hz出力に対応し、USB4が2基、USB-Aが2基、そしてUHS-II対応のSDカードスロットを備えます。2-in-1側のSDスロットがUHS-Iであることを考えると、写真や動画の取り込みを日常的に行う人にはPro 9nのほうが向きます。
熱設計はLenovoが「X Power」と呼ぶもので、TDPはPro 9nが80W、2-in-1が70W。いずれも動作音は22dB未満とされています。カメラは両機種とも9.2MPのIR対応です。色はPro 9nがサンダーグレー、2-in-1がコズミックブルーの1色展開となります。
タブレット2機種は9月から、価格は発表済み
同時に、ペン入力を軸にしたAndroidタブレット「Yoga Tab Plus Gen 2」と「Yoga Tab Gen 2」も発表されました。上位のPlus Gen 2は13型4K(3840×2560)で3対2の縦横比、Snapdragon 8 Eliteを搭載し、重量605g。下位のGen 2は11.1型4Kで、MediaTekのDimensity 9500sを積み、480gと軽量です。どちらも最大144Hz駆動で、ピーク輝度は1,100ニトになります。
ペンは「Tab Pen Pro 2」で、筆圧8,192段階に対応。ペン尻を押すと描画に入る、握って選択する、裏返して消すといった操作が割り当てられています。OSはAndroid 17で、Android 24までの7回のOSアップデートと、2033年までの最長7年間のセキュリティ更新が案内されています。
価格はYoga Tab Plus Gen 2が849ユーロ(約15万4,000円、税込)から、Yoga Tab Gen 2が649ユーロ(約11万7,000円、税込)から。いずれも2026年9月からの提供見込みです。
※1ユーロ=181円換算(2026年9月5日時点)
一方で、肝心のYoga Pro 9nとYoga 9n 2-in-1については、価格も発売時期も後日発表とされています。日本での取り扱いも現時点では未定です。
まとめ
Yoga Pro 9nとYoga 9n 2-in-1は、Grace CPUとBlackwell GPUを組み合わせたRTX Sparkを個人向けYogaに持ち込んだ2機種です。Pro 9nは最大128GBのユニファイドメモリと165Hz駆動の15.3型有機EL、2-in-1は最大64GBのメモリと、画面とForce Padの両方にペンで書けるデュアルサーフェス入力が特徴になります。同時発表のタブレット2機種は9月から649ユーロと849ユーロで提供されますが、ノートPC側は価格も時期も空欄のままです。ローカルAIを前提にしたPCが各社から並び始めた中で、Yogaがどの価格帯に着地するのかが次の焦点になります。
