iRobotが9月2日、ロボット掃除機の新しい最上位モデル「Roomba Max 875 Combo Robot + AutoWash Dock」を発表しました。あわせて中位モデルの「Roomba Plus 678 Combo Robot + AutoWash Dock」も投入されます。2機種に共通する目玉は、本体の底面からスカート状の部品を下ろしてカーペットに密着させる新機構「SealForce」です。吸引力の数字を上げるだけでなく、空気の逃げ道をふさぐことで吸い込む力を毛足の奥まで届かせる、という発想の転換が特徴です。価格は875が1,199ドル(約19万円)、678が899ドル(約14万3,000円)で、まず北米向けに公式サイトで販売が始まっています。

「吸う力」ではなく「密着」で勝負するSealForce

ロボット掃除機のカタログでは吸引力のパスカル値が競われがちですが、iRobotは今回、力を加える方法そのものを見直しました。SealForceでは、走行中にシャーシに隠れているスカートを下げ、カーペットの繊維に押し当てて隙間をふさぎます。吸引した空気が本体の縁から逃げなくなるため、気流が繊維の奥に集中し、埋もれたゴミを引き出しやすくなるという理屈です。

Max 875 Comboの場合、この密着機構に毎秒20リットルの気流と3万5,000Paの吸引力を組み合わせます。3万5,000Paは同社のロボット掃除機として過去最高の値で、SealForceを使わない場合と比べてカーペットの汚れを3倍深く取り除けるとしています。吸引力そのものも、比較対象の「Roomba 505」に対して5倍です。

iRobotのバイスプレジデント兼チーフエンジニアのAdam Pope氏は、吸引力の増強と同じくらい、その力をどうカーペットに当てるかを変えた点が重要だと説明しています。同氏によれば、集じん性能に最も効くのは気流であり、密着によって気流の行き先を作ったことが、これまでの延長線上にない性能につながったとのことです。

温かいミストで乾いた汚れをふやかす水拭き

水拭き側の新機能は、超音波式の「ThermaMist」です。モップがけの最中に温めたミストを絶えず床に吹きつけ、乾いてこびりついた汚れをふやかしてから拭き取ります。同社はThermaMistなしの場合と比べて、シミの除去性能が2倍になるとしています。

拭き取りを担うのは新設計のローラーモップ「PowerSpin Max」です。従来の標準ローラーより44パーセント大きく、回転速度は毎分300回転で「Roomba Max 775」の2.5倍、床への押しつけ圧は18ニュートンです。これにより、775と比べて3.75倍深くこすり洗いでき、1回の走行で拭ける幅も標準ローラー比で1.2倍に広がっています。ローラーは走行中に自動で洗浄され続ける仕組みです。

カーペットとの併用も考えられています。AIを使った「DriLift」機能がカーペットを検知するとモップを持ち上げ、さらに保護シールドを下ろしてラグを濡らさないようにします。壁際については、ローラーを最大45mm張り出す「PerfectEdge」と、外側に広がるサイドブラシで隅まで届かせる設計です。ペットや長い髪の毛を想定した、絡まりを防ぐメインブラシとサイドブラシも備えます。

ドックが洗浄から乾燥、ゴミ捨てまで担当

付属のAutoWash Dockは、ローラーモップを約80度の温水で洗い、約55度の温風で乾燥させます。専用の洗浄液「StayClean」の自動投入や、ゴミの自動収集にも対応し、集めたゴミはカーボン入りの「AllergenLock」バッグにためて最大90日間は手入れなしで運用できます。

ナビゲーションには2本のラインを使うLiDAR「ClearView Pro」を採用し、部屋ごとの地図作りと経路計画を行います。カメラベースの「PrecisionVision」は300種類以上の家庭内の物体を認識して回避します。本体の高さは9.98cmに抑えられており、低い家具の下に入り込めるほか、3.5cmまでの段差を乗り越えられます。スマートフォンの専用アプリからは、スケジュールや部屋の指定、ペットのいる場所の優先、音声アシスタント経由の操作が可能です。

899ドルのPlus 678 Comboは「2段階」の水拭き

同時発表のRoomba Plus 678 Comboは、SealForceを搭載しつつ数値を少し抑えた構成です。気流は毎秒18リットル、吸引力は3万Paで、カーペットの清掃効果はこちらも3倍とされています。

水拭きは875とは異なるアプローチで、「SprayForce AI」と呼ぶ前処理を採用しました。4万Paの高圧スプレーで乾いた汚れを先に砕き、そのあと温水のローラーモップが15ニュートンの圧力で拭き取る2段階方式です。この前処理により、水拭きの効率は最大40パーセント向上するとしています。カーペット検知時はモップを10mm持ち上げてラグを守ります。本体の高さは9.95cmで、875と同じく3.5cmの段差に対応し、ドックの温水洗浄や温風乾燥、90日分のゴミ収集といった機能も共通です。

発売時期と価格

Roomba Max 875 Combo Robot + AutoWash Dockは1,199ドル(約19万円)、Roomba Plus 678 Combo Robot + AutoWash Dockは899ドル(約14万3,000円)です。いずれも米国のiRobot公式サイトで注文を受け付けており、9月中には北米の量販店にも並ぶ予定です。両機種はベルリンで開かれるIFA 2026の会場でも披露されます。今回の発表は北米市場向けのもので、日本での展開については案内に含まれていません。

※1ドル159円換算

まとめ

Roomba Max 875 Comboの核心は、吸引力の数字を競うのではなく、スカートでカーペットに密着して気流を逃がさないSealForceにあります。そこに温かいミストで汚れをふやかすThermaMistと、大型で高速なローラーモップを組み合わせ、ドックが洗浄と乾燥、ゴミ捨てまで引き受ける構成です。1,199ドルという価格は同社のラインアップで最上位ですが、899ドルのPlus 678にもSealForceが載っており、新機構を試す入り口としてはこちらも選択肢になりそうです。