Googleは開発者向けイベント「Google I/O 2026」を開催し、最高経営責任者のSundar Pichai氏が基調講演で「エージェント型Geminiの時代」に入ったと宣言しました[1]。新しい言語モデル「Gemini 3.5 Flash」、あらゆる出力形式に対応する「Gemini Omni」、利用者に代わって作業を進める常駐エージェント「Gemini Spark」など、製品全体にわたる多数の発表が行われました[1]。
「エージェント型Gemini」時代へ、利用規模も急拡大
Googleは、AIの利用規模を測る指標として、モデルが処理するデータの最小単位である「トークン」の処理量を示しました。2年前は月間9.7兆トークンだった処理量は、昨年のI/O時点で約480兆トークンに増え、現在は7倍の月間3,200兆トークン超に達したとしています[1]。
利用者や開発者の広がりも顕著です。毎月850万人を超える開発者がGoogleのモデルでアプリや新しい体験を構築しており、モデルのAPIは毎分およそ190億トークンを処理しているといいます[1]。現在は10億人以上が使う製品が13あり、そのうち5製品は30億人以上の利用者を抱えます。対話アプリ「Gemini」の月間利用者数は、昨年の4億人から9億人超へと1年で倍増し、画像生成モデル「Nano Banana」ではこれまでに500億枚以上の画像が作られたとしています[1]。
新モデル「Gemini 3.5 Flash」と「Gemini Omni」
基調講演の中心となったのが、新モデル「Gemini 3.5 Flash」です。フロンティア級の知能と実行力を兼ね備えた最初のモデルと位置づけられ、コーディングや長時間に及ぶタスクへの対応が大きく向上したとしています[1]。出力速度は他のフロンティアモデルの4倍にあたり、価格は同等モデルの半分以下に抑えられている点が特徴です。Googleは社内のAI開発ツールで1日あたり3兆トークン超を処理しており、仮に主要企業が処理量の8割をこのモデルへ移せば、年間で10億ドル(約1,600億円)を超える節約につながり得ると試算しています[1]。上位版の「Gemini 3.5 Pro」も来月に提供予定です。
もう1つの目玉が「Gemini Omni」です。あらゆる入力から任意の出力形式の生成物を作れるモデルで、まず動画の出力から始め、順次画像とテキストにも広げる計画です[1]。第1弾として「Gemini Omni Flash」が同日から提供され、GeminiアプリやGoogle Flow、YouTube Shortsで試せるようになりました。
常駐エージェント「Gemini Spark」とAntigravity 2.0
Pichai氏が特に強調したのが、個人向けのAIエージェント「Gemini Spark」です。Geminiアプリ内で動き、利用者の指示のもとでデジタル上の作業を代行します[1]。Google Cloud上の専用仮想マシンで24時間動き続けるため、手元の端末を開いておく必要はありません。Gemini 3.5とエージェント基盤「Antigravity」で構成され、今後数週間のうちに外部ツールとも「MCP」と呼ばれる仕組みを通じて連携する予定です[1]。米国では今週から一部のテスターに提供が始まります。
開発者向けには、コーディング環境の枠を超えて自律エージェントを管理する基盤へと進化した「Antigravity 2.0」が発表されました[1]。エージェントと対話するための新しいデスクトップアプリで、ここに最適化したFlashは他のフロンティアモデルの12倍の速さで動くとしています。
エージェント時代のSearchと巨額の基盤投資
検索でも変化が進みます。利用者が設定した関心事をもとに24時間体制で必要な情報を探し、行動を後押しする「情報エージェント」を導入するほか、Gemini 3.5 Flashによって質問ごとに動的なレイアウトや対話的なビジュアルを生成する仕組みも今夏に無償で提供する計画です[1]。
こうした規模を支えるため、Googleは基盤投資を大幅に拡大しています。2022年に年間310億ドル(約4.9兆円)だった設備投資は、今年は約6倍の1,800億〜1,900億ドル(約29兆〜30兆円)に達する見込みです[1]。中核となるのが独自半導体で、第8世代のTPUでは学習用の「8t」と推論用の「8i」に役割を分け、8tは前世代の約3倍の演算能力を、両チップとも最大2倍の電力あたり性能を実現したとしています[1]。
透明性への取り組みも進みます。AI生成物に施す電子透かし「SynthID」はこれまでに1,000億点超の画像・動画に適用されており、新たにOpenAI、Kakao、Eleven Labsが採用すると発表されました[1]。
※1ドル159円換算(2026年5月29日時点)
まとめ
Google I/O 2026は、検索やGeminiアプリといった主力製品から、独自半導体や巨額の設備投資まで、全領域でエージェント型AIへ舵を切る姿勢を鮮明にした内容でした。新モデルのGemini 3.5 Flashと常駐エージェントのSparkを軸に、利用者の作業を肩代わりするAIをどこまで実用に近づけられるかが、これからの焦点になりそうです。
出典:https://blog.google/innovation-and-ai/sundar-pichai-io-2026/
