Google は2026年8月24日、Gemini アプリでインタラクティブなシミュレーションや3Dモデルを生成する機能を、Google Workspace の全顧客と Workspace Individual 契約者に開放しました。同機能は4月に個人向けへ先行提供されたものの、当時は Workspace と教育機関のアカウントが対象外でした。今回の展開で、仕事用アカウントのまま「動かせる図解」を呼び出せるようになります。
静止画の図解から、さわって確かめる図解へ
これまでの Gemini の回答は、文章に静的な図やイラストが添えられる形が中心でした。今回追加されたのは、その図が実際に動き、利用者が値を変えられる点です。分子を回転させたり、物理系の挙動を再現したりといった内容を、プロンプト1つで呼び出せます。
回答に含まれる視覚要素は、表やグリッド、シミュレーションなど質問内容に合わせて組み立てられます。たとえば「DNAの仕組みを3Dで見せて」と頼めば、立体構造を回転させたりズームしたりできる形で返ってきます。振り子がエネルギーをやり取りする様子を眺めたり、キャッシュバーンレートを操作できる表で確かめたり、といった使い方も想定されています。
面白いのは、生成された図が「読むもの」ではなく「いじるもの」になっている点です。月が地球を周回する仕組みを尋ねた場合、固定された図を眺めるのではなく、初速度や重力の強さをスライダーで調整したり、具体的な数値を入力したりできます。どの条件なら安定した軌道になるのかを、その場で試して確かめられるわけです。
4月の一般公開では蚊帳の外だった Workspace アカウント
この機能自体は2026年4月9日に発表され、Gemini アプリの利用者へ順次展開されていました。ただし当時の案内には、教育機関と Workspace のアカウントは対象外という注記が付いていました。会社や学校のアカウントで Gemini を使っている人にとっては、話題になっているのに自分の環境では出てこない機能だったわけです。
今回の更新で、その線引きが解消されました。対象は Google Workspace の全顧客、Workspace Individual の契約者、そして最低年齢要件を満たす利用者です。Rapid Release ドメインと Scheduled Release ドメインの両方で、すでに利用できる状態になっています。
管理者と利用者がやること
管理者側の作業は、実質的にほとんどありません。Gemini を有効にしている組織では既定でオンになっており、Gemini アプリと関連するアプリ内ツールは Workspace 管理コンソールの生成 AI 設定で制御されます。今回の機能もその既存の制御対象に含まれるため、Gemini アプリ全体をオフにしていれば当然使えませんし、オンにしていれば個別に有効化する必要はありません。
利用者側にも設定項目はありません。Gemini に「見せて」「イメージしやすく説明して」といった頼み方をすれば、複雑な概念について動く図解が返ってくる形です。なお利用回数には上限が設けられています。
学習用途と業務説明の両方に効きそう
物理や生物のような理系分野との相性が良いのは想像しやすいところですが、公式に挙げられている例にはキャッシュバーンレートの話も含まれています。数値の動きを言葉で説明するより、条件を変えて結果を見せたほうが早い場面は、社内資料や顧客説明にも多いはずです。
新人研修で仕組みを説明する、提案の前提となる計算をその場で共有する、といった用途は今後増えていきそうです。筆者としては、パラメータを触れることで「なぜそうなるか」が腹落ちする体験は、静止画のスライドを何枚重ねても得られないものだと感じます。
一方で、生成されたシミュレーションがどこまで正確なのかは、扱うテーマによって差が出ます。教材や社外向け資料に転用する場合は、モデルが組み立てた挙動をそのまま鵜呑みにせず、既知の値で検算しておくのが無難でしょう。
まとめ
Gemini アプリのインタラクティブなシミュレーション生成が、2026年8月24日から Google Workspace の全顧客と Workspace Individual 契約者にも開放されました。4月の初回展開では対象外だった仕事用アカウントが、追加設定なしで使えるようになった形です。管理者は既存の生成 AI 設定でまとめて制御でき、利用者は頼み方を変えるだけで動く図解を引き出せます。文章と静止画で説明しきれなかった話題を、そのまま渡して触ってもらう。そんな進め方が現実的な選択肢になってきました。
