Googleが2026年7月14日、AIアシスタント「Gemini」の東南アジアでの利用状況をまとめた初の報告書を公開しました。それによると、同地域のGeminiアプリの月間アクティブユーザーは過去1年で2倍以上に増え、Googleのどのアプリよりも速いペースで普及が進んでいるといいます。伸びを支えるのは25歳未満が4割近くを占める若い人口構成と、現地語での高い応答性能です。ここでは報告書が示した利用実態と、あわせて発表されたAIエージェント機能の展開を整理します。

1年で利用者が倍増、若年層が牽引

今回の「Gemini東南アジア報告書」は、Googleがこの地域の利用実態をまとめた初めてのレポートです[1]。分析対象はインドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムという、利用者数が特に多い6市場です[1]。

普及の速さは数字にはっきり表れています。地域全体のGeminiアプリのアクティブユーザーは、この1年で2倍以上に増えました[1]。背景にあるのは、テクノロジーに親しんだ若い世代の存在です。東南アジアは人口の4割近くが25歳未満とされ、こうしたデジタルネイティブ層が利用を牽引しています[1]。Googleによれば、若い利用者はほかの年齢層よりもリクエスト数が多く、Geminiとの対話も長く、より詳細な指示文(プロンプト)を書く傾向があるといいます[1]。

現地語での対話が7割、SEA-HELMで最高評価

報告書がGeminiの定着の要因として挙げるのが、現地語への対応力です。地域のプロンプトの約70パーセントが英語ではなく母語で入力されており、その比率はベトナムが89パーセント、タイが87パーセント、インドネシアが84パーセントと高い水準に達しています[1]。

言語性能の裏付けも示されました。東南アジアの言語で大規模言語モデル(LLM)を評価する指標「SEA-HELM(Southeast Asia Holistic Evaluation of Language Models)」において、Geminiは東南アジア言語で総合的に最も高い性能を示したモデルだったとしています[1]。使い慣れた母語でそのまま話しかけられる点が、日常への浸透を後押ししているといえそうです。

モバイル中心でマルチモーダル、画像は50億枚生成

利用スタイルにも地域ならではの特徴が出ています。東南アジアではGeminiへのリクエストの75パーセントがスマートフォンなどのモバイル端末から発生しています[1]。母語で無理なくやり取りできることから、キーボード入力を避ける動きも目立ちます。音声コマンドや写真・動画のアップロードを使ったプロンプトが全体の4割超を占め、音声だけの入力も10パーセントに上るなど、「Gemini Live」のような機能が活用されています[1]。

生成AIらしい使われ方も広がっています。問い合わせの約40パーセントは、画像・音楽・動画の生成や文書作成といった、新しいアウトプットをGeminiに作らせるものでした[1]。Googleによると、東南アジアの利用者は過去1年で画像生成モデル「Nano Banana」を使って50億枚の画像を生成し、音楽生成モデル「Lyria 3」の地域導入以降は約100万曲を生み出したといいます[1]。このほか、難解な資料の要約や雑然としたデータの整理を任せる調査アシスタントとしての用途や、贈り物や旅行先の相談といった「相談相手」としての使い方も多いとしています[1]。

AIエージェント「Gemini Spark」を現地語で展開

Googleは報告書とあわせて、次の一手も打ち出しました。東南アジアの6億人に向けて、AIエージェントの機能を広げる方針です[1]。その中核となるのが「Gemini Spark」です。質問に答えるアシスタントから一歩進み、利用者に代わって実際の作業をこなす能動的なパートナーへと位置付けられています[1]。

Sparkは24時間365日稼働するパーソナルAIエージェントで、Gmail、Docs、SlidesといったWorkspaceのツールと深く連携し、ノートパソコンを閉じていてもスマートフォンがロックされていても、バックグラウンドでタスクを進めます[1][2]。GoogleはまずGemini Sparkを英語で提供開始しており、今週からは現地語版を上位プラン「Gemini Advanced(Ultra)」の加入者に順次展開するとしています[1]。ビジュアル制作の「Nano Banana」、深く学ぶための「Canvas」、目的別に作れる「Gems」など、地域ですでに定着している機能の上に積み上がる形です[1]。

まとめ

Googleの初の東南アジア報告書は、Geminiが同地域で記録的な速さで普及し、現地語での対話とモバイル中心の使い方が定着しつつある実態を示しました。約70パーセントが母語で入力され、SEA-HELMでも最高評価を得たことは、多言語対応がAIアシスタントの普及を左右することを裏付けています。今週から現地語で展開するエージェント機能「Gemini Spark」が、次の普及局面をどこまで押し上げるかが注目されます。

出典:https://blog.google/innovation-and-ai/products/gemini-app/gemini-southeast-asia-report-2026/

出典:https://blog.google/innovation-and-ai/products/gemini-app/next-evolution-gemini-app/