Google は2026年8月27日、動画生成モデル「Gemini Omni 1.1 Flash」を開発者向けに正式提供しました。既存の映像を10秒ずつ継ぎ足して最長40秒まで伸ばせるほか、最初と最後のコマを指定してカメラワークを作る機能、360pで下書きしてから解像度を上げる作り方が加わっています[1]。プレビュー段階だった Gemini Omni Flash が、実務で使える形に整った格好です。

直前の10秒を見て、続きを作る

今回の目玉は、シーンを継ぎ足す機能です。すでにある動画の続きを、途切れないようにモデルが生成します。

これまでのモデルは、継ぎ足すときに直前の1秒しか参照していませんでした。1.1 では最大10秒ぶんの文脈を読むようになり、映像の一貫性と話の流れが保たれやすくなっています[1]。継ぎ足しは10秒刻みで、累計40秒までです。

40秒という数字は、映画1本を作るには当然足りません。ただ、商品紹介やSNS向けの短尺、企画を通すための動くコンテなら十分に収まる長さです。8秒前後で打ち止めだった従来の生成動画と比べると、使える場面はかなり増えます。

Gemini API では、直前の生成結果のIDを渡して続きを作ります。

from google import genai

client = genai.Client()

interaction = client.interactions.create(
    model="gemini-omni-1.1-flash",
    previous_interaction_id=previous_video_interaction.id,
    input=[
        {"type": "text", "text": "Continue the scene."}
    ],
    response_format={
        "resolution": "360p",
    },
)

最初と最後のコマを決めておく

もう1つ加わったのが、ショットの開始フレームと終了フレームを指定する使い方です。2枚のキーフレームの間をモデルが補間するため、カメラを回り込ませる動きやズームの切り替え、始点と終点をそろえたループ映像が作りやすくなります[1]。

プロンプトの言葉づかいだけでカメラを動かそうとすると、思った方向に動かず何度も生成し直すことになりがちです。絵で始点と終点を渡せるようになったのは、地味ですが効きそうな改良だと感じます。

参照素材の扱いも広がりました。最大3秒ぶんの動画をマルチモーダル入力に含められるようになり、キャラクターの見た目や動きの癖を引き継がせられます[1]。

360pで下書きしてから仕上げる

コスト面で現実的なのが、360pのドラフト生成です。720p と比べて最大60パーセント速く、費用は3分の1に収まります[1]。

生成動画は、狙った1本にたどり着くまでに何本も作り直すのが普通です。条件を1つずつ変えた案を360pで並べて見比べ、決まったものだけ高解像度で仕上げる。この流れを料金体系ごと用意してきたところに、実務を見ている感じがあります。

4Kは「生成」ではなく「引き伸ばし」

注意しておきたいのは、1080pと4Kの位置づけです。Google 自身の説明でも、これらはアップスケール、つまり生成した映像を引き伸ばす処理として案内されており、4Kでネイティブに生成しているとは書かれていません[1][2]。

納品解像度の要件を満たす手段としては十分ですが、4Kの元データが持つ情報量をそのまま期待すると、細部で肩透かしを食うかもしれません。素材として使う前に、等倍で確認しておくのが無難でしょう。

料金と使える場所

料金は1秒あたりの従量課金で、360pが0.03ドル(約5円)、720pが0.10ドル(約16円)、1080pが0.15ドル(約24円)、4Kが0.30ドル(約48円)です[1]。従来の Gemini Omni Flash は720pのみで0.10ドルだったので、下は3分の1まで、上は3倍まで選択肢が広がったことになります。

※1ドル160円換算(2026年8月31日時点)

40秒の映像を4Kで書き出すと12ドル(約1,920円)です。360pで案を10本試しても、40秒あたり12ドル(約1,920円)。下書きを重ねる作り方なら、費用の見通しは立てやすくなっています。

提供先は Google AI Studio と Gemini Enterprise Agent Platform で、Google Flow では Google AI Plus、Pro、Ultra の契約者が世界中で使えます。シーンの継ぎ足しについては、Gemini アプリの同じ契約者にも開放されています[1]。すでに Adobe Firefly や Figma Weave、Runway、GMI Cloud が Omni Flash を組み込んでおり、外部サービス側から触れる機会も増えていきそうです[1]。

まとめ

Gemini Omni 1.1 Flash は、動画生成を「1回のガチャ」から「作り込む工程」に寄せるための更新です。10秒ずつ40秒まで継ぎ足せること、開始と終了のコマを指定できること、360pで安く試せることが3本の柱で、料金も解像度ごとに分かれました。一方で1080pと4Kはアップスケールという位置づけなので、最終尺の解像度をどこまで信用するかは自分の目で確かめる必要があります。動画を1本ずつ引き当てる段階は、そろそろ終わりに近づいてきました。

出典:https://blog.google/innovation-and-ai/technology/developers-tools/build-with-gemini-omni-1-1-flash/

出典:https://the-decoder.com/googles-gemini-omni-1-1-flash-makes-ai-video-generation-cheaper-and-more-flexible/