Black Forest Labsが、動画を高い解像度で作り直すツール「FLUX Upscale」を単独のAPIとして公開しました。480p以上の映像を1.5倍から3倍まで引き上げ、最大でネイティブ4Kの出力が得られます。画素の隙間を埋める補間ではなくFLUX 3でフレームを生成し直す方式で、元の映像への忠実さを取るか、細部の描き込みを取るかを1つのパラメーターで切り替えます。
引き伸ばすのではなく、作り直す
HDで書き出した映像は、そのまま納品できる場面ばかりではありません。放送や広告キャンペーン、大きなスクリーンでの上映となれば、要求される画素数はもう一段上がります。手元の環境で動かすアップスケーラーはその帯域に入ると画質を保ちきれず、品質の高い処理は今度は速度が出ない、というのが同社が挙げている出発点です。
FLUX Upscaleは、入力された映像をFLUX 3で再生成しながら解像度を上げます。単純な拡大ではないため、生成映像にありがちな崩れ、たとえば輪郭のぼやけた顔や、水面や草地のテクスチャに出る格子状のノイズを修復できるとしています。FLUX 3の出力を理解したうえで処理する設計ですが、AIで作った映像でなくても入力として受け付けます。
忠実さのPrecise、描き込みのCreative
挙動を決めるのは creativity というパラメーターです。0を指定するとPreciseモードになり、4ステップの処理で元の映像を保ったままシャープにします。人物の顔、製品、ブランドの素材、実写の映像など、写っているものが変わっては困る用途はこちらです。
1を指定するとCreativeモードで、ステップ数は8に増えます。細部をより積極的に復元し、無い部分は作り出します。生成された映像やテクスチャ、群衆、風景のように、細かい要素が多い素材で効きますが、顔や製品の同一性は厳密には保たれません。prompt に映像の内容を短く書き添えると、Creativeモードが描き込む方向を誘導できます。
入力は20秒・2Kまで、出力は約14.4メガピクセルが上限
入力はmp4のbase64(最大50MB)かHTTP(S)のURLで渡します。長さは最大20秒、解像度は2560×1440までという制限があり、これを超える素材は切り詰めや縮小をされずに拒否されます。拒否された分は課金されません。倍率を指定する upscale_factor は1.5から3の範囲で、既定値は2です。アスペクト比は元のまま維持され、音声トラックも残ります。
出力側にも上限があり、1フレームあたり約14.4メガピクセルで頭打ちになります。もともと解像度の高い素材に3倍を指定しても、実際の倍率はそこまで届かない、という挙動です。最小の1.5倍は2Kいっぱいの素材を4Kへ持ち上げるための倍率で、この処理は4Kを入力として受け取るものではありません。
呼び出しはPOSTが1回と、結果が出るまでのポーリングだけです。
curl -sS -X POST "https://api.bfl.ai/v1/flux-tools/video-upscale-v1" \
-H "Content-Type: application/json" \
-H "x-key: $BFL_API_KEY" \
-d '{"input_video": "https://example.com/source-clip.mp4", "upscale_factor": 2.0, "creativity": 1}'
返ってきた polling_url を叩き続け、ステータスがReadyになると署名付きのmp4のURLが手に入ります。この配信URLは約1時間で失効するため、生成しっぱなしにせず、その場でダウンロードまで済ませる設計にしておく必要があります。
料金は出力の面積と秒数の掛け算
課金の単位はメガピクセル秒で、出力1フレームあたりのメガピクセル数に出力の長さを掛けて計算します。単価はPreciseモードが0.07ドル(約11円)、Creativeモードが0.10ドル(約16円)です。課金されるのは実際に届いた出力だけで、1メガピクセルは1,048,576画素とFLUXの画像生成と同じ定義になっています。
出力解像度ごとに1秒あたりの金額へ直すと、1080pはPreciseで0.14ドル(約22円)、Creativeで0.20ドル(約32円)となります。2Kではそれぞれ0.25ドル(約40円)と0.35ドル(約56円)、4Kまで上げると0.55ドル(約87円)と0.79ドル(約126円)です。10秒のクリップを1080pへ持ち上げる場合は19.8メガピクセル秒として計算され、Preciseで1.39ドル(約220円)、Creativeで1.98ドル(約315円)になります。
※1ドル159円換算(2026年8月21日時点)
編集とトリミングを終えた最後の工程として走らせるのが無駄がありません。捨てる予定の尺まで先に高解像度化してしまうと、そのぶんがそのまま請求に乗ります。
まとめ
FLUX Upscaleは、480p以上の映像を最大4Kへ再生成するBlack Forest Labsの新しいAPIです。忠実さを優先するPreciseと、細部を描き込むCreativeの2モードがあり、creativity の値で切り替えます。入力は20秒・50MB・2Kまで、出力は1フレーム約14.4メガピクセルが上限で、料金は出力の面積と秒数に応じたメガピクセル秒で決まります。素材の圧縮が軽いほど復元できる情報も増えるため、書き出しの段階から通す前提で組み立てておくと結果が変わってきそうです。
