オランダのClub 3Dが、8月4日(現地時間)にUSB4ケーブル「CAC-2509」を発表しました。全長9mでありながらケーブル内部にアクティブ回路を一切持たない、完全パッシブ構成としては世界初をうたう製品です。20Gbpsのデータ転送、最大8K/60Hzの映像出力、100WのUSB Power Deliveryを1本でまかないます。同時に、USB4対応のType-Cメス-メスアダプター「CAC-2507」も公開されました。
9mという長さが珍しい理由
ケーブルは長くなるほど高速信号が減衰します。USB4のような広帯域規格ではこの影響が特に大きく、増幅回路を持たないパッシブケーブルで20Gbpsを維持できるのは一般に2m前後まで、長くても3m程度というのが市場の相場でした。
それ以上の距離を伸ばしたい場合は、リドライバーICを内蔵したアクティブケーブルか、光ファイバーを使った製品を選ぶことになります。ただしアクティブ方式には、接続の向きが決まっていて挿し替えが利かない、動作のために電力を食う、価格が跳ね上がるといった扱いにくさが付きまといます。長い配線が必要な現場ほど、この制約が設計の足かせになってきました。
CAC-2509はそこを銅線のパッシブ設計のまま9mまで引き延ばしています。Club 3Dは、損失の小さい導体、入念なシールド、インピーダンスの管理、そして製造公差の追い込みによって成立させたと説明しています。増幅回路も外部電源も不要で、一般的なUSB Type-Cケーブルと同じ感覚で両端を挿すだけです。
映像・データ・給電を1本に集約
CAC-2509の帯域は20Gbpsです。映像は最大8K(7,680×4,320ドット)/60Hz、またはリフレッシュレートを取るなら4K(3,840×2,160ドット)/240Hzまで対応します。8K/60Hzは色情報を間引かないRGB 4:4:4での出力が可能とされています。
給電はPD 3.0のE-Markerを内蔵し、最大100Wまで通せます。ノートPCを充電しながら外部ディスプレイへ映像を送り、同時にドッキングステーション経由でUSB機器を扱う、といった使い方が9m先でも成り立つ計算です。カラーはブラック1色、認証はCEとRoHSを取得しています。
主なスペックは次の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 型番 | CAC-2509 |
| 規格 | USB4(20Gbps) |
| コネクター | USB Type-C(両端) |
| 最大解像度 | 8K/60Hz(RGB 4:4:4)、4K/240Hz |
| 給電 | 最大100W(PD 3.0 E-Marker内蔵) |
| 長さ | 9m |
| 構造 | フルパッシブ(銅線) |
| カラー | ブラック |
| 認証 | CE、RoHS |
想定される使い道として、Club 3Dは会議室やVR環境、ドッキングステーションを中心とした机まわり、そして業務用のAV設備を挙げています。ディスプレイ側にKVM機能があるモデルとノートPCを結ぶ用途にも向くとしており、席とディスプレイの距離でレイアウトを妥協していた環境には効いてきそうです。欧州での想定価格は82ユーロ(約1万5,000円)とされています。
※1ユーロ=181円換算(2026年8月4日時点)
同時発表のCAC-2507は「あと少し足りない」を埋める
もう1つの新製品CAC-2507は、USB Type-Cケーブル同士を突き合わせて延長するためのメス-メスアダプターです。地味な部類の製品ですが、こちらの数字は中継用としてかなり強気です。
データ転送は40Gbps、映像は最大8K/60Hz、給電はExtended Power Range(EPR)の240Wまで対応し、重量は約4gしかありません。ドッキングステーションや外付けSSD、USBハブに最初から付いている短いケーブルを継ぎ足しても、USB4やThunderbolt 4の性能を落とさずに使えるという位置付けです。
延長アダプターは規格上グレーに扱われることが多く、帯域や給電が落ちる製品も珍しくありません。そこを正面から仕様として明示してきた点が、この小さなパーツの価値になります。CAC-2509の9mとは逆方向のアプローチですが、どちらも「ケーブルの長さが足りない」という現場の不満に対する回答という点では同じ方向を向いています。
まとめ
CAC-2509は、これまでアクティブケーブルや光ファイバーの領分だった9mという距離を、完全パッシブのまま20Gbps・8K/60Hz・100W給電で到達した点が新しい製品です。増幅回路も外部電源も不要なため、方向性や電源まわりを気にせず扱えます。同時発表のCAC-2507は40Gbps・240W対応の延長アダプターで、短いケーブルを継ぎ足す場面を想定しています。長距離配線が前提の会議室やAV設備、机上のドッキング環境で、配線設計の自由度を上げる選択肢になりそうです。
