Anthropicは、対話AI「Claude」を自分がどのように使っているかを振り返り、付き合い方を見直せる新機能をベータ版(試験提供)として公開しました[1]。設定画面から自分の利用状況を可視化し、AIに費やす時間が自分の目標に沿っているかを確認できます。使う人の判断を後押しすることに主眼を置いた機能です。

設定画面から使える「振り返り」ダッシュボード

新機能は、WebブラウザーまたはデスクトップアプリのClaudeの設定(Settings)内にある「振り返り(Reflect)」から利用できます[1]。Anthropicによれば、利用者への聞き取りのなかで「AIを日常にどう組み込めばよいのか」という関心が共通して見られたといいます。どのくらいの頻度で使うべきか、どんな作業ならAIに任せ、どんな作業は人がやったほうがよいのか。こうした問いに答える手がかりとして開発されました[1]。

振り返りのダッシュボード(一覧画面)は、これまでの利用内容の要約から始まります。よく扱った話題、利用の傾向、取り組んだ作業の種類などがまとめられ、過去1か月・3か月・6か月・12か月の単位でさかのぼって確認できます[1]。いつClaudeをよく使っているか、その時間で何に取り組んでいたかも分かるようになっており、近く「利用に費やした時間」を見られる項目も追加される予定です[1]。

使い方を問い直す仕掛けと、休憩のリマインダー

この機能は、単なる利用ログの表示にとどまりません。Claudeが生活のなかで果たしている役割を一歩引いて見つめ直せるよう、「Claudeのほうが速くできるとしても、自分でやり続けたいことは何か」といった問いを折に触れて投げかけ、その場でClaudeと話し合えるようにしています[1]。

さらにダッシュボード内では、一定時間の利用後に休憩を促す通知(ナッジ)を設定したり、Claudeを使わない「静かな時間(クワイエットアワー)」を決めたりできます。いずれも利用者自身が決めた方針を思い出させるための仕組みで、不要であれば消すこともできます[1]。過度な利用を一律に制限するのではなく、あくまで使う人の判断を後押しする位置づけです。

「4つのD」でAIとの付き合い方を鍛える

振り返りの結果は、AIをうまく使いこなす力を伸ばすためにも活用できます。Anthropicは、AIを効果的かつ安全に使いこなす力(AIフルーエンシー)を高める指針として、4つの観点(4D)を挙げています[1]。具体的には、AIに任せるかどうかを見極める「委任(Delegation)」、目的を的確に伝える「記述(Description)」、出力の有用性を正しく判断する「識別(Discernment)」、使い方に責任を持つ「注意(Diligence)」の4つです[1]。

レポートでは、この4つの観点ごとに自分の使い方の傾向を要約し、たとえば「メールの下書きを自分の言葉で練り直すことが多い」「戦略を固めてから作業を任せている」といった具体例を示します。あわせて、毎回状況を説明し直す代わりに「プロジェクト(Project)」機能を使うといった、実践的な改善のヒントも示されます[1]。

プライバシーへの配慮と提供範囲

利用状況をまとめる機能だけに、プライバシーへの配慮も説明されています。振り返りはシークレットチャットの内容を対象にせず、連携ツールから取り込んだ元ファイルも参照しません[1]。たとえば受信トレイの要約を頼んだ場合、その要約は振り返りに現れることがあっても、元のメールそのものは含まれません。健康関連の連携ツールにつないだ会話は、まるごと対象外になります[1]。振り返りで得られた情報や気づきはその場にとどまり、ほかの目的には使われないとしています[1]。

センシティブな話題の扱いについては、MIT Media LabのAdvancing Humans with AI(AHA)プログラム、ボストン小児病院のDigital Wellness Lab、Family Online Safety Instituteといった専門家と協力して設計したとされます。センシティブな会話が振り返りに現れることはありますが、あくまで大まかなレベルにとどめられます[1]。

提供対象は、メモリー機能をオンにしているFree・Pro・Maxの各プランの利用者で、まずはベータ版として始まります[1]。WebまたはデスクトップアプリのClaudeで設定を開き、利用状況を振り返る項目を選ぶとレポートが生成されます。レポートを作成できない場合は、メモリー機能が有効になっていない可能性があります。なお、Cowork(コワーク)での会話を対象にした振り返りも、近く利用できるようになる予定です[1]。

まとめ

Claudeの新しい振り返り機能は、AIをどれだけ、どのように使っているかを利用者自身が把握し、付き合い方を見直すためのものです。利用の傾向を可視化するだけでなく、休憩のリマインダーや「自分でやり続けたいこと」を問う仕掛け、4つの観点による使い方の点検までを備えます。AIを生活や仕事にどう組み込むかを、最終的に使う人の判断へゆだねようとする姿勢がうかがえる機能と言えそうです。

出典:https://www.anthropic.com/news/reflect-with-claude