2026年8月31日、Chromeウェブストアに残っていたManifest V2形式の拡張機能がすべて削除されました。動作の停止自体は2025年7月のChrome 138で済んでいたため、今回消えたのは「配布の入口」です。4年以上かけて段階的に進められてきたManifest V3への移行が、これで名実ともに完了しました。

消えたのは実行環境ではなく配布経路

今回の措置でChromeウェブストアから取り下げられたのは、Manifest V2のまま残っていた拡張機能の掲載ページです。Googleの説明によれば、Chrome 138以前のバージョンにインストール済みのManifest V2拡張機能はそのまま端末に残りますが、更新を受け取ることはできず、いったんChromeから削除してしまうとウェブストアから再インストールすることもできません。

拡張機能のページがストアから消えるということは、そこに紐づいていたレビューや利用者数の表示、ストア上のURLもたどれなくなるということです。企業がアイテムIDを指定して配布していた運用も、参照先が存在しなくなります。すでに動かなくなっていた拡張機能とはいえ、これで復旧の可能性は完全に断たれた形です。

4年以上かけた段階的な締め出し

Manifest V2の縮小はかなり以前から始まっていました。Chromeウェブストアは2022年1月の時点で、公開・限定公開のManifest V2拡張機能の新規受け付けを停止しています。同年6月には非公開のものも受け付けなくなり、新規参入の道はこの時点で閉じられていました。

既存の拡張機能に手が入り始めたのは2024年6月です。Beta・Dev・Canaryの各チャンネルで、Manifest V2の拡張機能を入れている利用者にchrome://extensions上で警告バナーが表示されるようになり、Featuredバッジも外されました。同年10月には安定版でも無効化が始まり、2025年3月末には全チャンネルで既定オフに切り替わります。この段階ではまだ利用者が手動で戻せましたが、その手段も順次取り上げられていきました。

決定打となったのが2025年7月24日のChrome 138です。すべてのチャンネルでManifest V2が無効化され、利用者が自分で有効に戻すことはできなくなりました。

企業向けの逃げ道もChrome 139で閉じた

法人利用については、しばらく例外が認められていました。ExtensionManifestV2Availabilityというポリシーを設定していれば、社内配布のManifest V2拡張機能を動かし続けられたためです。業務システムに組み込まれた独自拡張機能を抱える組織にとっては、移行のための猶予期間でした。

ただしこのポリシーはChrome 139で削除されています。段階的なロールアウトだった一般利用者向けの無効化と違い、Chrome 139に上がった時点で全ユーザーが一斉に影響を受ける仕様でした。つまりManifest V2が動く最後のバージョンはChrome 138であり、そこに留まり続けるという選択はセキュリティ更新を受け取らないことと引き換えになります。現実的な選択肢とは言えません。

Manifest V3で何が変わったのか

Manifest V3は、拡張機能がブラウザーの中でできることを絞り込む設計です。常駐するバックグラウンドページはイベント駆動のService Workerに置き換えられ、外部から取ってきたコードを実行することも禁じられました。通信の書き換えについても、拡張機能が全リクエストを覗いて都度判断する方式から、あらかじめ登録したルールをブラウザー側が適用する方式へと変わっています。

Googleが挙げてきた狙いは、セキュリティの向上とリソース消費の削減です。実際、常駐プロセスが減ればメモリ使用量は下がりますし、後から任意のコードを流し込めない構造は審査の実効性を高めます。

一方で、この変更を最も強く受けたのが広告ブロッカーでした。代表格のuBlock Originは全リクエストを検査して判断する方式に依存していたため、Manifest V3にそのままの形で移行できず、機能を絞ったuBlock Origin Liteが用意される結果になっています。何を守るための制約なのかは理解できるとしても、失われた自由度があるのは確かです。

今から取れる現実的な対処

すでにManifest V2の拡張機能はChrome上で動きません。同等の機能を求めるなら、Manifest V3対応版が出ていないかをまず確認するのが順当です。多くの定番拡張機能はすでに移行を終えています。

どうしてもManifest V2の拡張機能を使い続けたい場合は、ブラウザーを変えるのが唯一の現実解です。MozillaはFirefoxでManifest V2とManifest V3の両方をサポートする方針を示しており、Chrome側で行き場を失った拡張機能の受け皿になっています。ただし同じ拡張機能がFirefox版として提供されているとは限らないため、移行前に確認が必要です。

まとめ

2026年8月31日のChromeウェブストアからの一斉削除で、Manifest V2は配布経路まで含めて完全に終わりました。実行が止まったのは2025年7月のChrome 138、企業向けポリシーが消えたのはChrome 139で、今回はその後始末にあたります。手元に残っている拡張機能があっても更新も再インストールもできない以上、Manifest V3対応版への乗り換えか、Firefoxなど別のブラウザーへの移行かを選ぶ段階に入りました。

※サムネイル画像はAI生成のイメージです