OpenAIのWebブラウザ「ChatGPT Atlas」は、2026年8月9日で提供を終了します。移行先として案内されているのはChatGPTデスクトップアプリの内蔵ブラウザとChrome向けの機能拡張で、7月30日に配信された更新では、開いているタブの参照やYouTube動画への質問といった機能が加わりました。終了まで残された時間は多くありません。

Atlasは8月9日に停止し、データは自動では移らない

OpenAIがAtlasの提供終了を告知したのは7月9日です。ブラウザは継続的なセキュリティ保守を必要とする製品であり、停止後は更新が届かなくなる可能性があるとして、期日までの移行を促しています。

注意したいのはデータの扱いです。Atlasに保存したブックマーク、開いているタブ、閲覧履歴は自動では引き継がれません。ブックマークはAtlasからHTMLファイルとして書き出し、Chromeなど別のブラウザに読み込ませる形になります。Cookieは環境に応じて書き出し手段が用意されるものの、他のブラウザへそのまま取り込むことはできません。セッション情報を含むため、書き出したファイルの扱いにも注意が必要です[1]。残しておきたいページやURLがあるなら、8月9日を迎える前に自分で控えておく必要があります。一方でChatGPTの会話履歴はブラウザとは別の場所に保存されているため、プランやワークスペースの設定が許す範囲でそのまま残ります。

内蔵ブラウザは「前に見たページ」をたどれるようになった

7月30日に配信されたChatGPTデスクトップアプリの更新(バージョン26.727)では、内蔵ブラウザの使い勝手が見直されました。

アドレスバーに文字を入力すると、閲覧履歴の中から該当するページを呼び出せます。一致するものがなければ、そのままGoogle検索に切り替わります。一般的なブラウザなら当たり前の挙動ですが、Atlasの代替として日常的に使うなら欠かせない部分です。

履歴は設定画面から管理でき、ChatGPT側に履歴を検索させることもできます。前に見たページを手掛かりに作業を進めたいとき、利用者が自分で探し直さずに済むという発想です。なお内蔵ブラウザは普段使いのブラウザとは別のプロファイルで動き、既存のタブやセッションを自動では引き継ぎません。プロファイルの取り込み機能が使えるかどうかは環境によるため、設定>ブラウザで確認しておくとよいでしょう[2]。

Chrome拡張はタブの中身とYouTubeを読む

Chrome向けの機能拡張にも同じタイミングで手が入りました。拡張のサイドバーから開いているタブをメンションすると、そのページの要約やデータの抜き出しを頼めます。ページ上で選択したテキストを、そのままサイドチャットへ持ち込むこともできます。

もう1つ目を引くのがYouTube動画への質問です。動画の内容について拡張機能から尋ねると、数秒で答えが返るとされています。加えて、Webページを右クリックしたときのメニューにAsk ChatGPTが追加されました。閲覧中のページからChatGPTを呼び出すまでの手数が、はっきり減っています。

ブラウザ以外にも入った変更

バージョン26.727の変更はブラウザまわりだけではありません。複数のフォルダーをまとめたプロジェクトでは、含まれるすべてのリポジトリと各リポジトリの変更行数を一覧でき、レビューを選べば画面を切り替えずに差分を確認できます。

生成した画像の扱いも整理されました。拡大表示のビューアーでフォーカス表示とキャンバス表示を切り替えられるようになり、複数の画像にコメントを付けて、必要なものだけを選んで会話から離れずに修正を指示できます。サイドバーには最近やり取りしたチャットを確認する「Activity view」が加わり、ベルのアイコンかショートカットキーで表示を切り替えられます。このほか、ブラウザ設定に対応ブラウザだけを表示する変更や、Windowsでパッケージのファイルパスが長い場合のインストール安定性の改善も含まれています。

前日の7月29日には、対応プラグインやパートナーのサイトで使える「Sign in with ChatGPT」のベータ提供も始まりました。最初の対象はAirtable、GitLab、HubSpot、Notion、Supabase、Vercelの6サービスです。サインイン時にパートナー側へ渡るのは名前とメールアドレス、それにプロフィール画像があればその3点のみで、各プラグインが求める権限の承認は別の手順として残ります。

まとめ

Atlasの停止まで残りわずかです。OpenAIはブラウザという製品そのものをたたむ代わりに、ChatGPTデスクトップアプリの内蔵ブラウザとChrome機能拡張へ役割を移しました。7月30日の更新で、履歴からの再訪、開いているタブの参照、YouTube動画への質問、右クリックからの呼び出しが一通り揃い、普段のブラウジングに寄り添う形へ近づいています。Atlasを使っていた人は、8月9日を待たずにデータの書き出しと移行を済ませておくのが安全です。

参考リンク

[1] Evolving Atlas into ChatGPT for browser-based agentic work - OpenAI Help Center
[2] Browser - ChatGPT Learn