Anthropicは、チームでClaudeと働くための新しい仕組み「Claude Tag」を発表しました[1]。まずはSlackから提供し、Claudeをチームの一員としてチャンネルに迎え入れられます。指定したチャンネルやツール、データ、コードベースへのアクセスを与えておけば、メンバーは誰でも投稿に「@Claude」とタグ付けするだけで作業を任せられます[1]。Claude Enterpriseとteamの契約者向けに、本日からベータ版として使えます[1]。
チームの一員としてSlackに参加する「Claude Tag」
Claude Tagは、Claudeをチャットの相手ではなく、チャンネルに常駐する同僚のように扱える点が特徴です。利用者が「@Claude」と呼びかけて要望を簡単な言葉で伝えると、Claudeはタスクをいくつかの段階に分解し、与えられたツールを使って順番に処理し、完了するとSlackのスレッドに結果を返します[1]。Claude CodeやCoworkを触ったことがあれば、操作感はなじみやすいはずだとしています[1]。
AnthropicはClaude Tagを、Claude Codeの延長線上にある進化と位置づけています。モデルをより能動的にし、個人の作業だけでなくチーム全体での協働に適した形に広げる狙いです[1]。同社では「@Claude」へのタグ付けがすでに主要な仕事の進め方の一つになっており、プロダクトチームのコードの65パーセントが社内版のClaude Tagによって書かれているといいます[1]。この使い方はエンジニアリングにとどまらず、プロダクト指標やデータの調査、サポートチケットの処理、やっかいなバグの原因究明にまで広がっているとしています[1]。
最初の提供先としてSlackが選ばれたのは、チームとAIが協働する場として自然で、Anthropic自身の日々の業務の多くもそこで進んでいるためです[1]。同社は今後、Slack以外の働く場所へも提供範囲を広げていく方針を示しています[1]。
「@Claude」ならではの4つの強み
Claude Tagには、従来の1対1のチャットとは異なる利点があるとされています[1]。
1つ目は、複数人で同時に使える「マルチプレイヤー」である点です。1つのSlackチャンネルには全員と同じClaudeが存在するため、誰もがClaudeの作業状況を確認でき、前の人が途中まで進めた会話を引き継げます[1]。これは単発のチャットやタスクとは違い、同僚と協力して進める感覚に近いと説明されています[1]。
2つ目は、時間をかけて学習する点です。Claudeはチャンネルの流れを追いながら業務の文脈(コンテキスト)を蓄積していくため、利用者が毎回ゼロから説明し直す必要がありません[1]。許可を与えれば、ほかのSlackチャンネルやデータソースからもClaudeが自動的に学べます。ただし非公開チャンネルの内容を外部に持ち出して報告することはないとしています[1]。
3つ目は、自分から動く点です。「アンビエント」と呼ばれる挙動を有効にすると、Claudeは利用者が知っておくべきだと判断した情報を先回りして知らせます[1]。参加しているチャンネルや接続されたツールから関連情報を拾い上げ、解決されずに止まっているスレッドやタスクにも自分からフォローを入れます[1]。
4つ目は、非同期で働く点です。タスクを任せておけば、利用者は別の優先事項に集中できます。Claudeは自分でタスクを予約し、数時間から数日にわたってプロジェクトを自律的に進めることもできます[1]。Anthropicはこの非同期性が特に役立っているとし、現在では多くのClaudeに並行してタスクを任せる時間が大きく増えたと説明しています[1]。なお、Claudeにダイレクトメッセージを送れば、各自が設定した個人用のツールやコネクターを使って非公開で応答します[1]。
管理者が権限と支出を細かく制御
Claude Tagは企業や組織での利用を前提に設計されており、機微なデータやタスク専用のツールへのアクセスを細かく制御できます[1]。システム管理者は、どのチャンネルでどのツールや情報にアクセスさせるかを指定します[1]。
仕組みとしては、用途ごとに別々のClaudeの「人格」を作るイメージです。記憶を含むすべてが、管理者の定めたチャンネルの範囲に閉じ込められます[1]。たとえば営業向けに設定したモデルがエンジニアリング向けのモデルへ記憶を引き継ぐことはなく、エンジニアが営業データやツールに触れることもありません[1]。権限を設定すれば、あとは誰でもすぐにタグ付けを始められます[1]。
管理者は組織全体とチャンネルごとにトークンの利用上限(支出の上限)を設定でき、「@Claude」が実行したすべての操作と、各タスクを依頼した人物の記録(ログ)を確認できます[1]。導入は、Slackワークスペースとの連携、ツールへのアクセス付与、月間支出の上限設定、非公開チャンネルでの動作確認という4つの手順で進めます[1]。
既存アプリからの移行とベータ提供
Claude Tagは、従来の「Claude in Slack」アプリを置き換えるものです。管理者は30日以内にオプトイン(利用への切り替えを申請)することで移行できます[1]。複数の海外メディアは、旧来のClaude in Slackアプリが2026年8月3日に終了すると報じています[2]。対象となるEnterpriseおよびTeamの組織には、全社で試せるよう導入用のクレジットが提供されます[1]。
Claude TagはOpus 4.8で動作します[1]。Claude EnterpriseまたはTeamの契約者であれば、本日からベータ版を利用できます[1]。
まとめ
Claude Tagは、Claudeをチャットの相手から「チャンネルに常駐する同僚」へと押し上げる試みです。マルチプレイヤーでの協働、文脈の継続的な学習、能動的なフォロー、非同期での長時間作業という4つの強みに加え、管理者が権限・記憶・支出の範囲を細かく制御できる点が、企業利用を意識した設計の核になっています。Anthropicが社内コードの65パーセントを社内版で生み出していると示した点は、その本気度を裏づける数字といえるでしょう。もっとも、現時点での提供はSlack上のEnterpriseとTeam向けベータに限られ、自律的に動くAIをどこまで安全に・有用に運用できるかは、各組織での実運用による検証を待つ段階です。
