ベルリンで開催中のIFA 2026で、Ankerがスマートホーム向けの新しいハブ「MindBase」を公開しました。カメラ映像の解析やデバイスの制御をクラウドに投げず、本体の中で完結させるという設計が特徴です。ストレージを内蔵してNASとしても動き、月額料金を前提としない運用を掲げています。価格と発売時期はまだ公表されていません。

処理をクラウドに出さない、という設計思想

スマートホーム機器は、カメラが人を検知したかどうかの判定や、映像の保存をメーカーのクラウドで処理する構成が主流です。動くには便利ですが、家の中の映像が常に外へ出ていくことと、機能の一部が月額サブスクリプションに紐づくことが避けられません。

MindBaseはここを反転させています。Ankerが「TrueSmart Agent」と呼ぶ推論エンジンを本体側に持ち、専用のAIコアで処理する構成です。公表されている演算性能は26 TOPSで、顔や体の姿勢、行動のパターン、車両、ペット、見知らぬ人物といった対象を、本体の中で識別します。判定に必要な映像が外部サーバーへ送られない分、通信が不安定な状況でも動作が止まりにくいという副次的な利点もあります。

Ankerは製品のキャッチコピーとして「The Mind Within Your Home」を掲げており、家の頭脳を家の中に置くという方向性を前面に出しています。

ハブでありNASでもある

MindBaseは単なる中継機ではありません。本体に64GBのストレージを内蔵したうえで、2.5インチと3.5インチのどちらにも対応するドライブベイを2基備えています。増設した場合の合計容量は最大48TBとされており、カメラの録画データだけでなく、家族の写真や動画をまとめて置いておく用途も想定されています。

ハブとストレージを分けずに1台へ収めた構成には、実用面での意味があります。監視カメラの映像を長期保存しようとすると、クラウド保存の月額費用が積み上がるか、別途NASを用意して連携させるかのどちらかになりがちでした。録画先が本体の中にあれば、映像は最初から手元に残ります。

カメラを「見張らせる」ところまでを担う

MindBaseに家の警備をさせる場合は、Ankerのカメラ製品と組み合わせる形になります。IFAでは、新しいドアベル「eufy Video Doorbell S4」、窓に取り付けるカメラ「Window Camera E10」、転倒を検知するセンサー、そして従来からあるパンチルトズーム対応カメラなどが接続対象として示されました。これらの映像がMindBaseへ集まり、リアルタイムで評価されます。

興味深いのは、検知したあとの動きまで製品の説明に含まれている点です。リスクがあると判断した場合、照明を変化させる、音声で警告する、あるいはAnkerが「アクティブディターレンス(能動的な抑止)」と表現する対応を取る、といった選択肢が用意されています。検知して通知を送るところで終わらせず、その場で何らかの反応を返すところまでをハブの役割に含めた設計です。

もっとも、この種の自動対応は誤検知との付き合い方が難しい部分でもあります。宅配業者や近所の住人に対して警告音が鳴ってしまえば、実用上は困ります。ローカル処理の精度がどこまで出るかは、実機が出てからの評価を待つ必要があります。

最初の製品としては、ハブとeufyの新型機器をまとめた「MindBase Security Kit」が用意されます。

Matter 1.5対応で他社の家電ともつながる

囲い込み型のハブになりにくい作りになっている点も見どころです。MindBaseはMatter 1.5のコントローラーとして動作し、照明やセンサー、空調を含む40種類以上のMatterデバイスカテゴリーに対応するとされています。

加えて、Apple HomeKit、Amazon Alexa、Google Home、Home Assistantといった既存のプラットフォームと併用できる構成です。スマートホームは規格とアプリが乱立してきた分野で、ハブを増やすほど管理画面が増えるという状況が続いてきました。既存の環境を捨てずに載せられるかどうかは、この製品を導入するときの判断材料になります。

Ankerは今後、セキュリティ以外にもエネルギー管理や家電制御を担うエージェントを追加していく構想を示しています。ハブを起点に、掃除機やオーディオ、蓄電池といった自社製品群をまとめて動かす狙いが見えます。

価格と発売時期は未定

現時点で、MindBaseおよびMindBase Security Kitの価格は公表されていません。発売時期についても、年内に市場へ投入するという方針が示されているのみで、具体的な日付は出ていません。

ローカル処理を売りにする製品は、クラウド前提の製品と比べて本体側のハードウェアにコストがかかります。月額料金が不要であることの裏返しとして、初期費用がどこまで抑えられるかが普及の分かれ目になりそうです。IFAで実機と方向性が示された以上、次に確かめたいのはそこになります。

まとめ

AnkerがIFA 2026で公開したMindBaseは、AI処理とストレージを家の中に置くスマートホームハブです。26 TOPSのAIコアでカメラ映像を本体側で解析し、最大48TBまで拡張できるドライブベイに録画を保存します。Matter 1.5に対応し、HomeKitやAlexa、Google Homeとも併用できる作りです。価格と発売日はまだ明かされておらず、年内の投入が予告されている段階です。