Amazonが、生成AIで作り直した音声アシスタント「Alexa+」を米国のすべての利用者に開放しました。Prime会員は追加料金なしで世帯ぐるみの使い放題となり、Prime非会員でも月19.99ドルのサブスクリプション、あるいは機能を絞った無料チャットで試せます。長かった早期アクセス期間が終わり、Alexaは名実ともに次の世代へ移りました。

数千万人の早期アクセスを経て、ようやく全開放

Alexa+の一般提供は、いきなり始まったものではありません。Amazonは前年に早期アクセスプログラムを立ち上げ、招待制で少しずつ利用者を広げてきました。担当バイスプレジデントのDaniel Rausch氏によれば、公開直後から数百万人が利用を求めて連絡してきて、最終的には数千万人が早期アクセスに参加したといいます。

その期間に集まったフィードバックが、今の形を作りました。Amazonが最大の収穫として挙げているのは、利用者がこれまで通りAlexaを頼りにしつつ、同時に「これはもう同じAlexaではない」と受け止め始めたという手応えです。そして今回、米国の全顧客が対象になりました。

料金は3段階、Prime会員は実質ゼロ円

課金の設計は分かりやすく3つに分かれています。

Prime会員は、追加料金なしでAlexa+をフルに使えます。対象はAlexa対応デバイス、ブラウザ版のAlexa.com、スマートフォンのAlexaアプリで、しかも世帯全体が対象です。Amazon Photos、Prime Video、Amazon Musicといった既存のPrime特典を引き出す役割も担います。

Primeに入っていない人は、月19.99ドル(約3,100円)のサブスクリプションで同じ内容を無制限に使えます。加えて、課金なしで試せるテキストチャット版も用意されました。こちらはAlexa.comとAlexaアプリから使え、簡単な調べ物や下調べ、計画づくりに向いていますが、利用量に応じてアクセスが制限されます。

※1ドル154円換算

中身はAmazon NovaとAnthropicの大規模言語モデル

Alexa+は従来のAlexaを改良したものではなく、アーキテクチャそのものが刷新されています。土台になっているのは大規模言語モデルで、Amazonは自社のAmazon Novaに加えてAnthropicのモデルを使っていることを公表しています。

効果は使われ方に出ています。従来は「タイマーを5分」「今日の天気」といった定型的な短い指示が中心でしたが、Alexa+では深く込み入ったやり取りへと重心が移り、利用量そのものが従来の2倍以上に増えたとしています。話し方が変わると使う量まで変わる、というのは音声アシスタントらしい変化だと感じます。

会話を覚え、代わりに手を動かす

具体的にできることも、従来の一問一答から離れています。

会話の文脈を覚えているため、その日のニュースについて話し合ったり、夕食の席で始まった議論を数日かけて続けたりできます。移動中はAlexaアプリで話しかけ、腰を据えた調査や計画、文章の生成はAlexa.comで進める、という使い分けも想定されています。

エージェント的な機能では、テイクアウトの注文、レストランの検索と予約、配車の手配、住宅修繕といったサービスの予約までを任せられます。家まわりの自動化も一段深くなり、Ringのカメラと組み合わせて普段と違う動きを知らせたり、学校から届いた予定表のメールをAlexa+に転送して家族カレンダーへ自動で取り込ませたりできます。子どもの宿題の手伝いはAlexa.comが受け持ちます。

始め方と、日本から見た距離

Prime会員が使い始める手順は拍子抜けするほど簡単で、Alexa対応デバイスに向かって「Alexa, upgrade to Alexa+」と話しかけるか、Alexa.comに自分のAmazonアカウントでログインするだけです。Prime非会員は、Alexa.comから無料のチャット版をすぐ試せます。

一方で、今回の全開放はあくまで米国の話です。国外への展開はオーストラリアから始まっており、そこから順に広がっていく形になります。日本での提供時期は、現時点で示されていません。ニュースや交通、飲食店予約といった生活に密着した機能ほどローカライズの負担が大きいだけに、待つ側としてはもうしばらく辛抱が必要そうです。なお米国では、Fire TVでもAlexa+が追加料金なしで使えるようになっています。

まとめ

Amazonは生成AI版の音声アシスタント「Alexa+」を米国の全利用者に開放し、Prime会員は追加料金なしで世帯ぐるみの無制限利用が可能になりました。Prime非会員は月19.99ドルのサブスクリプション、または利用量に制限のある無料テキストチャットを選べます。中身はAmazon NovaとAnthropicの大規模言語モデルを組み合わせた新アーキテクチャで、予約や注文といった実務を任せられるエージェント機能を備えます。提供は米国が中心で、国外はオーストラリアから広がり始めた段階です。