Appleが配布したmacOS Tahoe 26.7の候補版に、未発表のカメラ付きAirPodsを紹介する短い映像が紛れ込んでいました。装着した人が手に持った本をSiriに覚えさせる、という内容です。社内資料の流出ではなく、Apple自身が配ったファイルから出てきたという点で、これまでの噂とは重みが違います。

配布物の中に紛れ込んでいた実演映像

見つかったのは、macOS Tahoe 26.7のリリース候補版に含まれていた動画ファイルです。MacRumorsに寄稿するAaron Perris氏がファイルを掘り起こし、8月18日にX上で公開したことで一気に広まりました[1]。

映像では、AirPodsを着けた男性が手元の本をカメラに向け、Siriに保存を頼みます。そこにかぶさるナレーションは「Visual Intelligenceがあれば、あなたの世界は保存できるものになります。気に入ったものを見つけたら、あとで見返せるように保存してと頼んでください」という趣旨のものです。

肝心のカメラは映像の中では確認できません。装着されているイヤホンは現行のAirPods Proとよく似た形をしており、違いといえば軸の部分が一回り太く見えることくらいです。外観だけを見て新型と判断するのは難しい仕上がりになっています。

カメラは「撮る」ためではなく「見せる」ため

同じ候補版のコード内には、未発表製品を指す「B790」という符号が繰り返し登場します。周辺の記述を追うかぎり、このカメラは写真や動画を撮るための機能ではありません。低解像度の映像をSiri側へ渡し、Visual Intelligenceが何が写っているかを解釈する、という役割に絞られています。

Visual Intelligenceそのものは既存の機能ですが、これまでは主にiPhoneのカメラと画面が入り口でした。耳元にカメラが載れば、iPhoneを取り出して構える動作が省けます。目の前のものについて質問する、あとで思い出せるように記憶させる、といった使い方が端末を持ち替えずに完結する形になります。

カメラが塞がれると警告が出る

もう1つ、実装の細かさをうかがわせる記述が見つかっています。AirPodsのカメラが覆われている状態を検知すると、周囲の情報を正しく取得できないため覆いを外すよう促す警告が出る、というものです。

髪や帽子で耳が隠れる場面は日常的にあります。そこに警告を用意しているということは、カメラが常に外を向いて働くことを前提に設計されている、と読むのが自然でしょう。使うときだけ起動する補助的なセンサーではなく、装着中は基本的に見ている側の機能として扱われそうです。

登場は9月か、2027年にはもう1機種

B790という符号は今回が初出ではありません。BloombergのMark Gurman氏は8月2日付のニュースレター「Power On」で、B790の開発がもう1つのカメラ付きAirPods計画と並行して進んでおり、早ければ9月に登場しうるとの見方を示していました[2]。実演映像が9月のiPhone 18向けイベントを控えたこの時期の配布物に入っていたことは、その読みを補強します。

さらに、B790とは別に、より高機能とされるB798という符号の製品が2027年後半向けに準備されているとも伝えられています。カメラ付きAirPodsが1機種で終わる話ではなく、世代を重ねる前提の製品計画になっている可能性があります。

なお、Appleはカメラ付きAirPodsについて公式には何も発表していません。発売時期も価格も、ハードウェアの設計や画像処理の方式も明かされていない状態です。

残る論点はプライバシーの扱い

解像度が低いとはいえ、耳元に常時外を向いたカメラが載るという事実は変わりません。装着者の周囲にいる人からは、それがカメラ付きかどうかを見分けられないという問題もあります。今回の映像でカメラの位置が分からなかったことは、そのまま周囲の人にも分からないということでもあります。

Gurman氏は、カメラの動作中を示す何らかの表示が用意される可能性を伝えています。屋外で使われる前提のウェアラブルとしては、それが最低限の線になりそうです。撮影しているのか、解釈しているだけなのかという区別は技術的には成立しますが、周囲の人にとっては同じように見えるという点をどう埋めるかが問われます。

まとめ

macOS Tahoe 26.7の候補版から、カメラ付きAirPodsの実演映像とB790という符号が見つかりました。カメラは撮影用ではなくVisual Intelligenceの目として位置づけられ、覆われた際の警告まで用意されています。9月のイベントでの登場が有力視される一方、Appleは正式には何も認めておらず、プライバシー面の設計も明かされていません。

参考リンク