1990年代から2000年代にかけて家庭用PCの定番だったPackard Bellが、創業100周年の節目に帰ってきました。ブランドを傘下に持つAcerは、ベルリンで開催中のIFA 2026で、新しいロゴと「Tech it easy」という合言葉を掲げたブランドの再出発を発表しています。第1弾は14.5型ノートPC「DotBook」を中心に、レコードプレーヤーや4Gフィーチャーフォン、オーディオグラスまで含む9製品で、2026年9月から順次、欧州・中東・アフリカ(EMEA)地域で販売が始まります。
ラジオからPCへ、100年の歴史を持つブランド
Packard Bellは1926年にロサンゼルスで創業し、当初は家庭向けラジオ、その後はカラーテレビを手がけ、やがてパーソナルコンピュータを一般家庭に広めた企業です。日本でも1990年代には量販店で見かける機会が多く、比較的安価なファミリー向けPCの代名詞のような存在でした。
2008年にAcerが買収したものの、その後は表舞台から遠ざかり、2013年ごろにはほぼ休眠状態になっていました。今回の復活は、創業から100年という区切りに合わせたもので、Acer Europe SAでEMEA担当バイスプレジデントを務めるValerie Piau氏は、「人々が必要としているのは、学び、働き、つながるための技術を、納得できる価格で手に入れることです」と、原点回帰の意図を説明しています。
「点」を主役にした新しいアイデンティティ
新しいブランドの象徴は、点(ドット)を並べて「P」と「B」の文字を浮かび上がらせた新エンブレムです。点をピクセルではなく細胞になぞらえることで、人間的で生活に根ざした技術という考え方を表しているとしています。製品名にもすべて「Dot」が付き、オレンジ、パープル、グリーン、イエローの4色をキャンペーンから製品本体まで一貫して使う方針です。
宣伝の語り口も、専門用語を並べるのではなく平易な言葉を使い、製品を日常で使う人の姿を前面に出すとしています。販売はまず、若い世代が買い物をするデジタルチャネルからブランドの存在感を築いていく計画です。
第1弾はノートPCからレコードプレーヤーまで9製品
第1弾の中核となるDotBookは、ブラウジングや動画視聴、日常的な仕事を想定した14.5型のノートPCです。かつてPackard Bellの名を家庭に広めたネットブックを思わせる位置づけで、報道向けの情報では16:10のIPSディスプレイ、Intel N150プロセッサ、最大512GBのSSD、約7時間のバッテリー駆動、重さ約1.3kgとされています。価格は499ユーロ(約9万2,000円)からで、9月にEMEAで発売予定です。
DotBook以外のラインアップと価格は次のとおりです。
- DotLoop:スーツケース型のレコードプレーヤー。149ユーロ(約2万8,000円)から、9月発売
- DotTune:家庭での音楽再生を想定したスピーカー。34.99ユーロ(約6,500円)から、9月発売
- DotLine:家族やデジタルデトックス派向けのカラフルな4Gフィーチャーフォン。69ユーロ(約1万3,000円)から、11月発売
- DotLook:イヤホンも画面もなしに音楽と通話を扱うオーディオグラス。99ユーロ(約1万8,000円)から、9月発売
- DotShine:クリエイター向けのリングライト。39ユーロ(約7,200円)から、10月発売
- DotCombo:キーボードとマウスのセット。39ユーロ(約7,200円)から、9月発売
- DotBass:本体色に合わせたカラーバリエーションのヘッドホン。29ユーロ(約5,400円)から、9月発売
※1ユーロ185円換算
いずれも高性能を競う製品ではなく、「必要十分な機能を、手の届く価格で」という方針で揃えられています。特にDotLineのようなフィーチャーフォンや、カメラを持たないオーディオグラスは、スマートフォン漬けの生活から距離を置きたい層を意識した構成と言えるでしょう。
スタートアップとの協業でキッチンにも進出
9製品目は、スイスのスタートアップSteasy(Steasy AG)と組んだコネクテッド型のミニスチーマーSteasyです。持ち運べるサイズで食事を温める調理家電で、199ユーロ(約3万7,000円)から10月に発売されます。Acerはこれを単なる家電への進出ではなく、「日常を第一に考える」というPackard Bellの思想を台所に広げる取り組みと位置づけており、協業製品は2027年にかけて追加していく計画です。
ブランドの運営はAcerグループの基盤に乗る形で、28か国に対応する多言語のカスタマーサポートや、EMEA全域のサービス拠点、長年築いてきた物流・小売の関係をそのまま活用できるとしています。
まとめ
Acerは創業100周年のPackard Bellを、カラフルで手頃な生活密着型ブランドとして再定義し、14.5型ノートPC「DotBook」を筆頭に9製品をIFA 2026で発表しました。499ユーロのノートPCからレコードプレーヤー、4Gフィーチャーフォン、オーディオグラス、さらにはミニスチーマーまでを揃え、9月からEMEA地域で順次販売が始まります。現時点で発表されているのは欧州・中東・アフリカ向けのみで、日本での展開については触れられていません。
