Xiaomiが、大規模言語モデルの新シリーズ「MiMo-V2.6」を公開しました。最大1兆パラメータ級の「Pro」を筆頭に複数のバリエーションをそろえ、いずれも重みをMITライセンスで無償公開しているのが特徴です。第三者機関によるベンチマークではオープンウェイトモデルの中で最上位クラスの評価を獲得しており、開発コストを抑えながら高水準の性能を実現した事例として関心を集めています。

4種類のモデルと共通仕様

シリーズの中核は「MiMo-V2.6-Pro」で、総パラメータ数は1兆を超え、実際の推論時に働くパラメータはそのうちの一部にとどまる混合エキスパート(MoE)方式を採用しています。軽量版の「MiMo-V2.6-Flash」は総パラメータ数が数千億規模とProより小さく、計算負荷を抑えた設計です。

このほか、Proの応答速度を高めた法人向けホスティング版「Pro-UltraSpeed」(出力が最大20倍高速)と、研究用途向けに用意された100億パラメータ未満の蒸留モデルも同時に公開されました。Pro、Flash、Pro-UltraSpeedはいずれもコンテキストウィンドウが100万トークンに対応し、テキストだけでなく画像・音声・動画を読み込めるマルチモーダル仕様となっています。出力については現時点ではテキストのみです。

内部構造は専門家配分型、動画・画像入力にも対応

Proの内部構造は、数十層のトランスフォーマーブロックの中に数百個規模のルーティングエキスパートを配置し、1トークンごとにごく一部だけを稼働させる設計です。生成速度を稼ぐための投機的デコード機構も組み込まれており、画像を理解するための専用エンコーダーも別途搭載されています。

注意機構には、狭い範囲だけを見るスライディングウィンドウ型と、文章全体を見渡すグローバル型を組み合わせたハイブリッド構成が使われています。実運用にあたっては、フル精度でProを動かす場合はハイエンドGPUを8基程度、Flashであればその半分程度の台数でも稼働できるとされ、企業が自前でホストする際の目安になりそうです。

学習費用を公開、コストパフォーマンスを前面に

Xiaomiが今回のモデル群で強調しているのが、開発コストの低さです。コーディング、汎用エージェント作業、視覚推論、サイバーセキュリティといった複数分野をまとめて対象にした強化学習を単一の学習ランとして実施し、その総費用はおよそ350万ドル(約5億5,300万円)にとどまったとされています。学習手法には効率的な強化学習アルゴリズムの一種が使われ、大量のプロンプトを並列かつ非同期にサンプリングする形で計算資源を無駄なく使う工夫がなされました。Xiaomiはこの学習過程を一般に公開しながら進めるという珍しい手法も取り入れています。

※1ドル158円換算(2026年9月25日時点)

第三者評価機関が算出する総合知能指数のランキングでは、Proがオープンウェイトモデルの中でトップスコアを獲得しました。1タスクあたりの実行コストも1ドルに満たない水準に収まっており、性能と費用のバランスの良さが評価のポイントになっています。

ベンチマークでは業界最上位モデルに肉薄

個別の技術ベンチマークでも高い数値が並んでいます。ソフトウェア開発能力を測る評価やエージェント型タスクの評価、コマンドライン操作の評価などにおいて、Proは軽量版のFlashを上回る成績を残し、いずれも実用レベルの実力を示しました。ファイル操作を伴う複雑な作業やセキュリティ関連の評価でも比較的高いスコアが報告されています。

なお、海外勢の最上位モデルと比較すると、一部の指標ではまだ数ポイントの差が残っているとの報告もあります。とはいえ、重みが無償公開されている点や学習コストの低さを踏まえれば、性能と開放性を両立させたモデルとして独自の存在感を放っていると言えそうです。

提供方法は幅広く、料金はトークン単位の従量制

MiMo-V2.6の重みはHugging Face上でMITライセンスの下に配布されており、研究だけでなく商用利用も認められています。加えて、Xiaomi自身が提供するAPIのほか、複数の外部AIプラットフォーム経由でも利用可能で、開発者が自分の環境に合わせて選べる体制が整えられました。

外部プラットフォーム経由での利用料金は、Proが入力100万トークンあたり1ドルに満たない価格帯、出力側もそれに準じた水準に設定されています。より軽量なFlashはさらに割安な料金体系となっており、高速処理に特化したPro-UltraSpeedはその分割高な価格設定です。開発者向けツールの一部では、公開直後の期間限定でFlashモデルを無料開放するキャンペーンも実施されました。

まとめ

Xiaomiが発表した「MiMo-V2.6」シリーズは、1兆パラメータ規模のモデルをMITライセンスで無償公開しながら、学習コストを350万ドル程度に抑えた点が最大の特徴です。第三者評価でオープンウェイトモデルの最上位スコアを獲得するなど性能面でも存在感を示し、重みの直接配布からAPI経由の利用まで多様な選択肢を用意しています。海外の最先端モデルには一部指標で及ばない面もあるものの、開発コストと利用料金の低さを武器に、オープンなAIモデル開発競争における有力な選択肢として注目を集めそうです。

参考
https://datanorth.ai/news/xiaomi-releases-mimo-v2-6-pro-and-flash