Googleは、開発者イベント「Google I/O 2026」で発表した数々のAIツールを、イベントそのものの制作にも使っていたと明らかにしました[1]。短編映画やブランドの世界観づくりから、来場者が遊べるゲーム、その場で注文できるコーヒーアプリ、登壇者の紹介映像やステッカーまで、ステージで披露したのと同じAIが裏側を支えていたといいます[1]。

「発表したAIを、そのまま制作現場で使う」

Googleは今回、ステージで見せているのと同じAIで、自分たち自身をしのいでみようという課題を立てたと説明しています[1]。AIツールが毎月のように進化し、作れるものの常識が書き換わり続けるなかで、人の創造性を引き出しつつ、単調な作業はAIに任せ、人にしかできない仕事に時間を使う。そんな働き方を実演する狙いがあったとしています[1]。出来栄えが良ければ、見る側は「どこでAIを使ったのか」を意識しなくなります。Googleは、その状態こそ共有したいものだと述べています[1]。

段ボールとマーカーから生まれた短編映画

象徴的な例が、I/Oのために働くTPU(テンソル処理ユニット)を主役にした短編映画「TPU Training Day」(通称「Timmy TPU」)です[1]。制作チームは監督のLaurie Rowan氏やNexus Studiosと組み、パペットと伝統的なアニメーション、そしてAIを融合させました[1]。まずパペットや簡単な3Dアニメでキャラクターの演技とカメラワークを押さえ、その素材から画像生成モデル「Nano Banana」でスタイルを付けた最初のフレームを作り出します[1]。フレームの一貫性を保つため、Google AI Studio内に専用ツールを組み、本番の生成前に細部まで一致するかを大量に検証したとしています[1]。最終的に、ベースのアニメとスタイルを付けたフレームを動画生成モデル「Gemini Omni」などで合成し、手作りならではの微妙な「揺らぎ」を残したまま映画として仕上げたといいます[1]。

ブランドの世界観も、会場体験もAIと協働

イベントのビジュアル全体も、チームとAIの共同作業で作られました[1]。過去のブランドガイドラインと5年分のI/O振り返りをGeminiに学習させ、Nano Bananaで生成と修正を何度も繰り返し、4色のグラデーションと組み合わさるアイコンという世界観にたどり着きました[1]。平面の2Dアイコンが立体的な3Dアイコンへ動的に変化する表現に落とし込んだとしています[1]。

会場前のプレショーにもAIが組み込まれました[1]。Monterey Bay Aquariumと組んだ「Jellectronica」では、ミズクラゲの動きを音楽に変換しました。クラゲを追跡するモデルをGoogle Colabで訓練してCoral NPU上で動かし、音楽生成モデル「Lyria 3 Pro」などで音を生み出したとしています[1]。遊びながらステージを生成するゲーム「Infinite Scaler」では、Nano Bananaがプレイヤーの指示からスプライト画像を作り、奥行きを推定して3D空間にテクスチャを貼り付けました[1]。世界中のクリエイターが1から10までの数字をデザインし、コードでつなぎ合わせた「Code the Countdown」も披露されています[1]。

ラテアプリから登壇カード、ステッカーまで

来場者向けには、カスタムアート付きのラテを注文できる「Antigravity Coffee Co.」のアプリも用意されました[1]。Flutterと生成UIで画面がリアルタイムに変化し、FirebaseがフロントエンドとNano Bananaなどのモデルをつなぎます。来場者は開発基盤「Google Antigravity」のエージェント型コーディングで、自分だけの注文アプリをその場で組み立てられたといいます[1]。

登壇者の紹介カードも、一人ひとり生成されました[1]。Google LabsとGoogle Geminiを統括するJosh Woodward氏の場合、デジタルの本人がChrome Dinoに乗り、バスケットボールをダンクする映像が流れたといいます[1]。「Nano Banana Pro」で素材を作り、「Google Flow」内で動画生成モデル「Veo」や「Gemini Omni」を使って、複雑なスポーツの動きまで再現したと説明しています[1]。さらに、20秒以内に落ちてくるお題をキャッチして2つを選ぶと、Nano Bananaがその場でデザインを融合し、即座に印刷されるオリジナルステッカーの企画も行われました[1]。

まとめ

Google I/O 2026の裏側では、Nano BananaやGemini Omni、Veo、Lyria、Google Antigravityといった、まさにステージで発表されたAIが、映像・デザイン・音楽・ゲーム・アプリ開発の全工程で使われていました[1]。単調な作業をAIに任せ、人は創造性の核心に集中する。「AIで実際に何ができるのか」という問いに、Google自身がイベント制作という形で答えてみせた取り組みだと言えそうです。

出典:https://blog.google/innovation-and-ai/technology/ai/io-2026-google-ai/