スマートリングを手がけるUltrahumanが、新型「Ultrahuman Ring Pro」を発売しました。2026年2月に発表して予約受付を始め、6月20日に米国を含む世界での出荷が始まっています。最大15日とうたう長いバッテリー持続時間、睡眠時の精度を高めた心拍センサー、チップ上で機械学習を動かす新型プロセッサを備え、心房細動(AFib)の検知などを担う独自のAI「Jade」を組み合わせました。グローバル価格は479ドル(約7万7000円)で、月額のサブスクリプション料金が不要な点を競合との違いとして打ち出しています。

最大15日のバッテリーと専用ケース

最大の進化はバッテリーの持続時間です。Ultrahumanの公称値では、従来機「Ring Air」が1回の充電で4〜6日だったのに対し、Ring Proは最大15日の駆動をうたいます。毎日のように充電する必要があったスマートリングの使い勝手を、大きく引き上げる数値です。

同時に、新しい専用ケース「Pro Charger」も用意されました。ケースに収めて持ち運べば、リングの稼働可能日数を最大45日まで延ばせます。ケース自体はUSBでの充電に加えてQi規格のワイヤレス充電にも対応します。さらに、紛失時に近接ガイドで在りかを知らせる「Find My Case」機能と内蔵スピーカーを備え、リングとケースが直接通信することで、ソフトウェア更新や診断、トラブル対応を素早く行えるとしています。

心拍センサーを刷新、チップ上で機械学習

センサー周りも作り直されました。Ring Proは心拍センサーの構造を見直し、睡眠中やリカバリー(運動後の回復)時の信号品質を高めています。計測の土台となる部分を改良することで、就寝中のように体の動きが少ない場面でも、より安定したデータを取得できるようにした形です。

処理の仕組みにも手が入りました。新たにデュアルコアのプロセッサを搭載し、チップ上で機械学習(オンチップML)を動かすことで、データ処理の高速化と精度向上を図っています。クラウドに送る前に手元の端末側で計算を進める「エッジ処理」の考え方を、指輪サイズのデバイスに取り込んだものといえます。

安全面では「ProRelease Technology」と呼ぶ新機構を採用しました。指のむくみやけがといった緊急時に、リングを簡単に切り離せる構造です。指輪型デバイスは外しにくくなる場面が不安視されがちですが、いざというときに取り外しやすくした点は安心材料になります。

バイオインテリジェンスAI「Jade」

Ring Proと合わせて、Ultrahumanは新しいAI「Jade」を導入しました。同社が「バイオインテリジェンスAI」と呼ぶもので、利用者の健康データを解析し、質問への回答やリアルタイムの気づきを返します。

Jadeが扱う情報は幅広く、血液検査に基づく120を超える「Blood Vision」バイオマーカー、持続血糖モニター「M1 CGM」による血糖の推移、さらに環境データまでを組み合わせて分析します。動作は2つのモードに分かれ、通常の「Standard」と、より踏み込んだ解析で長期的な傾向まで掘り下げる「Deep Research」を切り替えられます。

実際の機能は「PowerPlugs」と呼ぶアプリ内の追加機能(プラグイン)として提供されます。心房細動(AFib)の検知をはじめ、カフェインの摂取に適した時間帯を示す「Caffeine Window」、呼吸器の健康管理、GLP-1(食欲や血糖に関わるホルモン)に関する記録、女性向けの「Cycle & Ovulation Pro」、片頭痛やビタミンDの管理など、項目は増えていく見込みです。JadeとPowerPlugsは、米国の利用者を含むすべてのユーザーが使えます。

なおUltrahumanは、利用者のデータについて、適用される個人情報保護の基準を満たすよう設計した安全な仕組みで処理すると説明しています。ただし、こうした計測値は健康管理の参考用であり、医療診断そのものに置き換わるものではない点には留意が必要です。

価格とサブスク不要という打ち出し

価格はグローバルで479ドル(約7万7000円)です。専用ケースのPro Chargerが無料で付属し、購入時にゴールドかブラックのどちらかを選べます。指のサイズを測る無料のサイジングキットを先に取り寄せてから注文する流れで、本体はチタン素材の複数の仕上げが用意されます。すでにRing Airを持っている人は、下取りに出すことで最大115ドル(約1万9000円)の割引を受けられます。

Ultrahumanが強く訴えるのが、月額料金が不要である点です。スマートリングの一部には機能の利用に継続課金が必要な製品もありますが、Ring Proは追加のサブスクリプション契約なしで使えます。同社のMohit Kumar最高経営責任者(CEO)は、Ring Proのバッテリー持続時間を競合の3〜4倍とし、業界最高水準のハードウェアとJadeのAIを組み合わせることで、利用者が健康に向けた行動をその場で起こせるようになると述べています。

※1ドル=161円換算(2026年6月時点)

まとめ

Ultrahuman Ring Proは、最大15日のバッテリー、睡眠時の精度を高めた心拍センサー、チップ上で機械学習を動かす新型プロセッサ、そして心房細動の検知まで担うAI「Jade」を、479ドル(約7万7000円)でサブスク不要にまとめたスマートリングです。緊急時にリングを切り離せる安全機構や、稼働日数を45日まで延ばす専用ケースなど、毎日身に着ける健康デバイスとしての実用性を細かく詰めています。継続課金のない買い切り型で、どこまで健康管理を任せられるか。指輪型デバイスを検討している人にとって、選択肢の基準を引き上げる1台になりそうです。