ソニーのノイズキャンセリングヘッドホン「1000X」シリーズが誕生から10周年を迎え、その節目を記念するプレミアムモデル「1000X THE COLLEXION」(型名WH-1000XX)が2026年6月5日に発売されました。価格は89,100円(税込)です。金属と新開発の合成皮革をまとった上質な外装に、新世代の統合プロセッサーV3を初搭載。ヘッドホンとして初めて「DSEE Ultimate」に対応するなど、中身も10年の集大成と呼ぶにふさわしい1台に仕上がっています。

「WH-1000XM6の上」に位置する10周年記念モデル

1000Xシリーズは2016年の初代「MDR-1000X」以来、ノイズキャンセリングヘッドホンの定番として支持されてきました。現行のフラッグシップは「WH-1000XM6」ですが、今回の1000X THE COLLEXIONはその置き換えではなく、シリーズ10年の技術を結集した記念碑的なポジションの製品です。型名も従来の数字を重ねる方式ではなく「WH-1000XX」という特別なものが与えられています。

カラーはプラチナとブラックの2色展開。発表は2026年5月20日で、全国のソニーストア(銀座・札幌・名古屋・大阪・福岡天神)では発表当日から実機が展示されています。89,100円という価格は一般的なワイヤレスヘッドホンとしてはかなり強気ですが、後述する素材や音質チューニングへのこだわりを考えると、「所有する満足感」まで含めた価格設定と言えそうです。

統合プロセッサーV3を初搭載 ヘッドホン初の「DSEE Ultimate」対応

中身でまず注目したいのが、新しい統合プロセッサーV3の初搭載です。これにより、圧縮されたデジタル音源をEdge-AIでリアルタイムにハイレゾ級へアップスケーリングする「DSEE Ultimate」に、ヘッドホンとして初めて対応しました。ストリーミング再生が主流になった今、圧縮音源の底上げ技術はカタログスペック以上に日常の聴き心地へ効いてくる部分です。

ドライバーユニットは本機向けに専用開発されたもので、繊細な高域とボーカル・楽器の分離感に優れた広がりのある音場を狙ったとされています。さらに音質の最終調整には世界的に著名なマスタリングエンジニアが共創パートナーとして参加しており、アーティストの意図を忠実に再現する自然なバランスを目指したチューニングが施されています。

空間音響面では、ステレオ音源を立体的な音場に変換する「360 Upmix」が進化し、Music・Cinema・Gameの3モード構成になりました。本体にはリスニングモードの切り替え専用ボタンが用意され、音楽鑑賞から映画、ゲームまで、コンテンツに合わせて手軽に音場を切り替えられます。

ブラスト加工の金属と新開発の合成皮革 デザインは「シームレス」が鍵

外装の作り込みは、このモデルの最大の見どころかもしれません。ヘッドバンドの外装にはブラスト加工を施したマットな金属素材を使い、手作業で磨き上げたポリッシュ仕上げのヒンジ部とのコントラストを演出。肌に触れる部分には、約2年の開発期間をかけて完成させたという、なめらかな手触りの新しい合成皮革を採用しています。

USBジャックやマイク開口部の凹凸を抑え、視覚的にも触覚的にも継ぎ目を感じさせない「シームレス」なデザインを徹底しているのも特徴です。イヤーパッドは人間工学に基づいた形状で、耳の周囲に自然にフィットし圧力を分散。幅広でクッション性の高いイヤーパッドとヘッドバンドにより、長時間の装着でも疲れにくい設計です。遮音性と装着感はノイズキャンセリングの実効性能にも直結するため、この部分への投資は音にも効いてきます。

ノイキャンは12マイク構成 バッテリーはNCオンで最大24時間

肝心のノイズキャンセリング性能は、12個のマイクを使ったマルチノイズセンサー技術と、装着状態や周囲の環境に応じて自動最適化する「アダプティブNCオプティマイザー」の組み合わせです。高性能ノイズキャンセリングプロセッサーQN3を採用し、1000Xシリーズで培ってきた静寂を作る技術をそのまま受け継いでいます。

バッテリーはノイズキャンセリングオンの状態で最大24時間。通勤や出張はもちろん、数日の旅行でも充電なしで乗り切れる容量です。クリアな通話品質やスムーズな接続性など、シリーズの使い勝手も継承しています。

付属品では、マグネットで開閉できるバッグ型キャリングケースがユニークです。イヤーパッド内側のL/R表示や、形状で区別できる電源ボタンとNC/AMBボタンなど、手探りでも直感的に使えるインクルーシブデザインへの配慮も行き届いています。環境面では本体プラスチックの約25パーセントに再生プラスチックを使用し、個装パッケージはプラスチック不使用です。

同時発表のWH-1000XM6新色とWF-1000XM6用ケースカバー

今回の10周年記念モデルと同時に、既存フラッグシップ「WH-1000XM6」には新色サンドストーンが追加されました(6月5日発売)。ナチュラルで温かみのある色合いで、既存のブラック・プラチナシルバー・ミッドナイトブルー・サンドピンクに加わる5色目です。また、完全ワイヤレスイヤホン「WF-1000XM6」向けには、ケースに装着したままワイヤレス充電できる専用ケースカバー(ブラック・ライトグレーの2色)が5月29日に発売されています。

まとめ

1000X THE COLLEXIONは、ノイズキャンセリングヘッドホンの代名詞となった1000Xシリーズの10年を、素材・音質・デザインのすべてで形にした記念モデルです。統合プロセッサーV3とDSEE Ultimateへの初対応、3モード化した360 Upmix、12マイクのノイズキャンセリングと、技術面でも現行最高峰の構成。89,100円という価格は気軽ではありませんが、毎日使う道具として長く付き合える1台を探している人には、検討する価値のある選択肢でしょう。