耳をふさがないクリップ型のイヤホンとして噂されてきたSamsungの新製品が、7月22日のGalaxy Unpackedには姿を見せませんでした。韓国メディアの報道によれば、投入は2026年の第4四半期にずれ込む見通しです。折りたたみスマートフォンや新型スマートウォッチが並んだ発表会で、この1製品だけが伏せられた格好になります。

Unpackedで名前が出なかった1製品

7月22日に開催されたGalaxy Unpacked 2026では、折りたたみスマートフォン3機種と新型スマートウォッチ2機種、そしてスマートグラスが発表されました。ハードウェアの数としては十分に賑やかな内容です。

ところが、事前に何度も噂が流れていたオープンイヤー型イヤホンについては、名前すら出ませんでした。この製品は関係者の間で「Galaxy Buds Able」あるいは「Galaxy Buds On」と呼ばれていますが、いずれも正式な製品名ではありません。Samsung自身が製品の存在を認めた発表も、現時点ではありません。

つまり、公になっているのは業界筋の話と韓国メディアの報道だけという段階です。仕様も名前も時期も、まだ動く余地が残っていると考えるのが妥当でしょう。

耳をふさがない「クリップ型」という形

伝えられている設計は、耳の外側を挟み込むクリップ型です。イヤーカフ型と呼ばれることも多い形状で、耳の穴をふさがないため、音楽を聴きながら周囲の会話や交通音を聞き取れます。

この形状はノイズキャンセリングとは方向性が逆になります。外の音を遮って没入するのではなく、外の音を残したまま音を足すという考え方です。移動中や在宅勤務中、屋外での運動時のように、周囲から完全に切り離されると困る場面で選ばれてきました。

一方で、耳の穴に密着させないぶん、低音が抜けやすく音漏れも起きやすいという弱点があります。装着位置が少しずれるだけで聞こえ方が変わるため、フィット感の設計も難しくなります。クリップ型が後発のカテゴリーであり続けているのは、このあたりの難しさが理由です。

年末に単独で出したい、という判断

報道によると、Samsungは製品の完成度と投入時期を見極めるために発売を後ろ倒しにしたとされます。第4四半期、なかでも10月ごろが有力視されています。

もう一つ挙げられているのが、単独の舞台を用意したいという意図です。今回のUnpackedは折りたたみスマートフォンとスマートウォッチが主役で、健康・フィットネス関連の話題が中心に据えられていました。ここに新カテゴリーのイヤホンを混ぜても、説明に割ける時間はわずかです。

Samsungのイヤホン製品としては、2月のGalaxy S26シリーズと同時に発表されたGalaxy Buds 4/Buds 4 Proが3月に発売されたばかりでもあります。標準モデルは耳の穴に差し込まないオープンフィット型、Proモデルはカナル型という住み分けです。ここに3つ目の形状を足すのであれば、なぜ必要なのかを丁寧に説明する場が要る、という判断はうなずけます。

先行組が固めた市場に、どう入るか

クリップ型・オープンイヤー型は、この数年で急速に選択肢が増えた領域です。骨伝導で知られるShokz、ノイズキャンセリングの評価が高いBose、コストパフォーマンスを押し出すHuaweiなどが、それぞれクリップ型や耳をふさがない形状の製品を投入しています。中国市場では、ワイヤレスイヤホン全体のなかでオープンイヤー型の比率が伸びているという調査もあります。

Samsungが後から入る以上、Galaxyのスマートフォンやスマートウォッチとの連携が武器になるはずです。端末をまたいだ自動切り替えや、音声アシスタントへの入り口として常時身につける機器という位置づけは、単体のイヤホンメーカーには真似しにくい部分でもあります。

とはいえ、音質と装着感という基本のところで先行製品に見劣りすれば、連携機能だけで選ばれることはありません。発売を遅らせてでも品質を詰めるという判断は、この点を踏まえたものと見るのが自然です。

まとめ

Samsungが開発しているとされるクリップ型のオープンイヤーイヤホンは、7月のGalaxy Unpackedでは発表されず、2026年第4四半期、10月ごろの投入が見込まれています。理由として伝えられているのは、製品の完成度を見極めることと、新カテゴリーとして単独で紹介する場を用意することの2点です。製品名も仕様もSamsungの公式発表を経ていないため、現時点の情報はあくまで見通しとして受け取っておくのがよさそうです。