Razerが、薄型のアナログ光学式キーボード「Razer Huntsman V3 Pro Low-profile Tenkeyless 8KHz」を発表しました。同社のフラッグシップであるアナログオプティカルスイッチを、前面高19.5mmという低い筐体に収めた製品です。アクチュエーションポイントは0.1mmから2.8mmの範囲で調整でき、通信は8,000Hzに対応します。日本での発売は9月を予定し、価格は税込37,980円です。

薄型とアナログ光学を両立させた新スイッチ

これまでのロープロファイルキーボードは、姿勢の楽さや持ち運びやすさと引き換えに、入力性能の面で妥協を求められる場面がありました。Razerはこの製品を、広く流通しているアナログ光学式のeスポーツキーボードとしては世界初のロープロファイルモデルだと説明しています(2026年8月20日時点の自社調査に基づく)。

中核にあるのは新開発のRazer Low-profile Analog Optical Switchesです。アナログ光学式は、キーがどこまで沈んだかを連続的に読み取れる方式で、単純なオンとオフの2段階しか持たないメカニカルスイッチとは挙動が異なります。この製品ではアクチュエーションポイントを0.1mmから2.8mmの範囲で設定でき、浅く速く反応させるか、深く確実に反応させるかをプレイヤー側で決められます。

キーストロークの総移動量は2.8mmに抑えられており、指の上下動そのものが小さくなります。あわせて、固定されたリセット位置を待たずにキーの動きに追従して入力を解除するRapid Trigger Modeを備え、同じキーを連打する場面での取りこぼしを減らす設計になっています。

8,000Hzと平均0.39msという数字

通信面ではTrue 8000 Hz HyperPollingに対応します。ポーリングレートはキーボードがPCへ状態を報告する頻度のことで、8,000Hzであれば理論上は0.125msごとに状態が伝わる計算です。

Razerは、比較対象のキーボードをすべてアクチュエーションポイント0.1mmに揃えて20回計測した社内テストで、本製品が平均0.39msのレイテンシーを記録し、最も近い競合製品に対して52パーセントの優位性を示したとしています。ここでのレイテンシーは、スイッチが作動してからホストPCのUSBポートに信号が届くまでの時間であり、画面に反映されるまでの全体の遅延とは別物である点には注意が必要です。

数字だけを見れば差はミリ秒未満です。それでも、判定がフレーム単位で動く競技タイトルでは、同じ操作を数千回繰り返すうちに積み上がる差として扱われます。

1つのキーに複数の役割を持たせる機能

上位モデルのHuntsman V3 HE Magnetic 8KHzシリーズで導入されたAdvanced Input Controlが、本製品にも引き継がれました。

Razer Snap Flexは、押したときと離したときに別々の動作を割り当てられる機能です。Razerが挙げる例では、押した瞬間にグレネードを構え、離した瞬間に投擲とジャンプを同時に発動させるといった使い方ができます。Dynamic Keystrokeはさらに踏み込み、沈み込みの深さに応じて1つのキーへ最大4つの動作を割り当てます。Instant Cancel Controlと組み合わせれば、状況が変わった時点で後続の動作を取り消せます。

Dual-Keypress Priorityは、複数の方向キーが同時に押された場合でも意図した移動を優先し、誤入力で移動が乱れるのを防ぎます。設定はキーボード本体のオンボードメモリーに保存でき、ソフトウェアを入れずにブラウザーから設定を呼び出せるRazer Synapse Webにも対応します。大会会場のように自分のPCを使えない環境を意識した作りです。

長時間使うための造り込み

前面の高さは19.5mmで、手首の角度を寝かせやすい形状になっています。スイッチにはあらかじめ潤滑処理が施され、内部には厚みのあるフォームを入れて打鍵音と振動を抑えています。競技向けの製品でありながら、打鍵感の質を落とさない方向にまとめられている点は、日常的な入力作業と兼用する人にも意味があります。

なお、この製品は発売前からプロの現場に投入されています。BLAST Bounty Season 2では、MOUZのLotan「Spinx」Giladi選手が未発売の本製品を使用して優勝し、大会後には自身初のHLTV MVPを受賞しました。ロープロファイルというだけで競技用途から外される時代ではなくなった、という実例です。

価格と入手時期

日本での価格は税込37,980円で、発売は9月を予定しています。海外では希望小売価格が229.99ドル(約3万7,000円)と259.99ユーロで、Razer.comとRazerStore、各国の一部販売店ではすでに販売が始まっています。

※1米ドル=159円換算(2026年8月24日時点)

まとめ

Huntsman V3 Pro Low-profile Tenkeyless 8KHzは、薄型という形状の都合で性能を落とさざるを得なかった部分を、アナログ光学スイッチと8,000Hz通信で埋めにきた製品です。0.1mmから2.8mmまでの調整幅、平均0.39msという計測値、そして1つのキーに複数の動作を持たせるAdvanced Input Controlが揃い、フルサイズ高のモデルを選ぶ理由は減りました。税込37,980円という価格をどう見るかは人によりますが、姿勢の楽さを理由にロープロファイルを選んできた人にとっては、性能面での言い訳が要らない選択肢が増えたことになります。