PerplexityがAIエージェント「Computer」を、Microsoft 365のWord・Excel・PowerPoint・Outlookの4つのアプリに正式対応させました。これまではComputerで作った文書や表を各アプリへ手作業で貼り付ける必要がありましたが、今回の対応でその手間がなくなり、アプリ内のサイドパネルから直接、資料作成やデータ分析、メール作成を任せられます。回答には必ず出典が示され、対象は有料プランの契約者です。
コピペ作業が消える、アプリ内に同居するAI
Computerは、利用者の指示に沿って複数の手順を自分でこなす自律型のAIエージェントです。Perplexityによれば、提供を始めてからまだ3か月ほどですが、すでに利用者の作業のうち44億ドル(約7,100億円)相当の労働に匹敵する量をこなしてきたといいます。
※1ドル=約161円換算(2026年6月24日時点)
これだけ使われると、仕事で日常的に触れるツールとの連携を求める声が自然に強まります。実際、これまでもComputerの利用者の約40パーセントが、直近30日のうちにMicrosoft形式のファイルを生成していました。ただし専用の組み込みがなかったため、出力した内容をPowerPointなどへコピー&ペーストする一手間が残っていたのです。今回の対応は、その貼り付け作業をまるごと省きます。アプリを開いたまま、下書きから編集、仕上げまでを完結できるようになりました。
4つのアプリでできること
Computerは、各アプリに組み込んだアドインを通じてサイドパネルから呼び出します。対応するのは次の4つで、用途はそれぞれの定番作業に沿っています。
Excelでは、比較表や財務モデル、DCF(割引キャッシュフロー)のような表計算を更新できます。Wordでは、文章の下書きやリライト、書式の整形を、ほかの文書やウェブの情報を取り込みながら進められます。PowerPointでは、Word文書や表計算、あるいは短い指示からスライドを生成・修正でき、過去の資料を参照して内容を差し替えた新しい資料も作れます。Outlookでは、スレッドの流れや添付ファイルを踏まえてメールを書いたり書き直したりするほか、会議用の要点メモや商談の準備資料もまとめられます。
これら4アプリに先立ち、ComputerはチャットツールのMicrosoft Teamsにも対応しており、メンバーが普段やり取りしているチャンネルから作業を始められます。Computerは20を超えるモデルを束ね、作業ごとに適したモデルを自動で選ぶ仕組みです。
回答には必ず出典、外部データとも連携
業務でAIの出力を使う際にいちばん気になるのが、その内容を信用してよいかという点です。Computerは回答の根拠と、提示した数値の出どころを毎回示すため、共有する前に利用者が裏取りできます。表計算で参照する数字も、一つひとつ出典をたどれる形で残ります。
連携先も社内に閉じていません。SharePointをはじめ、Microsoft以外の400以上のファイルやアプリにつないで、業務の文脈を踏まえた作業ができます。金融情報のFactSetや、データ基盤のSnowflakeのような有料の情報源からデータを引き込むこともでき、引用元を明示したまま資料に反映します。
企業利用を前提にしたセキュリティと管理
Computerは、Perplexityのほかの機能と同じセキュリティ基盤の上で動きます。SAMLによるシングルサインオンや監査ログ、細かな管理者権限といった、企業向けの仕組みを備えます。
管理者は、組織でComputerを有効にしたうえで、使えるモデルの範囲を絞ったり、SharePoint・Outlook・Teamsといった連携先を管理したりできます。企業のデータがモデルの学習に使われることはないとしています。操作の主導権は利用者側に残る設計で、Computerが変更や操作を実行する前に、その内容を確認できます。
使い始め方と対象プラン
導入は、Microsoft Marketplaceから必要なアドインを入れるところから始めます。Word・Excel・PowerPoint向け、Outlook向け、Teams向けがそれぞれ用意されています。アプリを開いてComputerを起動し、一度サインインすれば各アプリをまたいで使えるようになります。対象は、有料のPro・Max・Enterprise Pro・Enterprise Maxの契約者です。
まとめ
今回の対応で、Perplexityの「Computer」は、生成した内容をわざわざ移し替えることなく、Word・Excel・PowerPoint・Outlookという仕事の現場でそのまま動くようになりました。出典を毎回示す姿勢や、SharePoint・FactSet・Snowflakeなど外部データとの連携、企業向けの権限・監査の仕組みは、業務での実用を強く意識した内容です。一方で、利用できるのは有料プランに限られ、本領を発揮するのは社内データや定型のワークフローと組み合わせた使い方になりそうです。Microsoft自身のCopilotをはじめ、Officeの中でAIを動かす競争は激しさを増しており、出典の明示と幅広いデータ連携をどこまで武器にできるかが、Perplexityにとっての見どころといえるでしょう。
