9月29日に開かれるOpenAIの開発者向けイベントDevDayに向けて、同社が「Managed Agents」と呼ばれる仕組みを準備しているとみられます。エージェント本体とその実行環境をOpenAI側で抱える形式で、先行するAnthropicの提供内容に近い構成です。あわせて、ChatGPTに出る広告を静的なリンクではなくエージェントへ直接つなぐ機能の検討も指摘されています。
開発者だけでなく企業の担当者を向いている
DevDay 2026は9月29日、サンフランシスコのFort Mason Centerで開かれます。会場参加は1,500人規模に絞られ、登録料は650ドル(約10万円)です。一方で基調講演は誰でも無料で視聴でき、東京を含む8都市ではサテライトイベントも用意されました。開発者会議としては珍しく、外向きの露出を意識した構えになっています。
※1ドル153円換算(2026年9月8日時点)
その舞台で中心に据えられるのが、今年もエージェントだと見られています。Managed Agentsは、エージェントそのものと、それが動く実行環境をOpenAI側で管理する仕組みです。管理画面はまだ外部に開かれていませんが、プラットフォーム側のコードには、エージェントの作成、環境の管理、スキルやプラグインの有効化といった要素が確認できるとされます。自社で用意した環境で動かす選択肢も想定されているようです。
ここで目を引くのは、想定読者が開発者だけに閉じていない点です。エージェントを自分で組み立てるのではなく、用意されたものを設定して業務に載せる。そういう使い方をする企業側の担当者まで含めて売りにいく構えが見えます。
Anthropicが先に置いた石
同種の仕組みは、Anthropicが先に形にしています。Claude Managed Agentsは、長時間かかる作業を任せるためのホスティング型サービスとして提供されており、セッション管理、隔離された実行環境、権限の範囲指定、資格情報の預かり、監査ログ、スキルやコネクター、サブエージェントまでが一式で揃っています。
つまりOpenAIは、機能の新規性で勝負できる場所に出ていくわけではありません。同じ形の商品で後から並ぶ以上、争点は価格と使い勝手に寄ります。先行するAnthropicの管理型エージェントも、企業や開発者に使われてはいるものの、より安い代替手段を選ぶ利用者が相当数いるのが実情です。コンピュータ操作に強いモデルを自前で持っている点はOpenAIの持ち札ですが、それだけで需要が動くかどうかは見えていません。
3年で畳まれた「作り込む道具」
OpenAIのエージェント戦略は、方向転換の連続でもあります。出発点は2023年11月のカスタムGPTで、2025年10月にはAgentKitの一部としてAgent Builderが登場しました。画面上で処理の流れをつなぐ、いわゆるノーコード型のワークフロー構築ツールです。
ところがそのAgent Builderは、2026年6月3日に廃止が通知され、11月30日で提供を終えます。移行先として案内されているのは、コードとして書き続けるならAgents SDK、自然言語で指示する使い方ならChatGPTのWorkspace Agentsです。埋め込み用のチャットUIであるChatKitは引き続き提供されます。
登場から1年足らずで畳まれた理由ははっきりしています。処理の順番を人が線でつなぐ必要が、モデル側の能力向上によって薄れたからです。手順を自分で組み立てられるモデルが出てくれば、あらかじめ配線した図は制約にしかなりません。Managed Agentsは、その反省の上に置かれた次の答えという位置付けになります。
広告がエージェントに置き換わるかもしれない
もう1つ、DevDayで出るかどうかは別として準備が進んでいるとされるのが、広告とエージェントを直結させる仕掛けです。OpenAIはすでにChatGPT向けの広告とAds Managerを公開しており、目標設定や入札、成果測定といった一通りの機能を提供しています。今回見えてきたのは、回答の中に出る広告が、説明とリンクではなくエージェントへの入口になるという構想です。
商品を紹介されたユーザーが、そのまま手続きを代行するエージェントを受け取る。申し込みや予約の途中で離脱する余地が減るという意味で、従来の広告とは効き方が変わります。仮にこれが機能するなら、広告収入を軸にしてきたMetaやGoogleにとっては、対抗手段を用意するまでの間、無視できない圧力になります。
ただし、この部分は現時点で確定した発表ではありません。コードや準備の痕跡から読み取れる範囲の話であり、DevDayで公開されるとも限らない点は押さえておく必要があります。
まとめ
DevDay 2026は9月29日、Fort Mason Centerで開催され、基調講演は無料で配信されます。そこで示されるとみられるManaged Agentsは、エージェントと実行環境をOpenAIが抱える形式で、Anthropicが先に商品化した領域に正面から並ぶ内容です。Agent Builderを1年足らずで畳んだ経緯を踏まえると、今回の狙いは道具を増やすことではなく、運用ごと引き受ける立ち位置を取ることにあります。広告からエージェントへ直接つなぐ構想も含め、当日の発表内容と価格設定を見てから判断したいところです。
